これまで、自作の "ePub/PDF 電子書籍" の制作では、専ら "iPod touch" をターゲットにして作業を進めて来た。実にポータブルな "iPod touch" というポケット・コンピュータに好感を抱いてきたことや、人気のある "iPhone 4" がこれと同仕様、同サイズだという点などが理由であった。
だが、"iPod touch" を使い慣れ、なおかつ "電子書籍" 制作技法にも一定程度習熟してくると、"iPad" 本体によって自作 "電子書籍" の表示感触を試したくなって来たのである。
別に、"iPad" での表示が、"iPod touch" での表示と比べて、画面サイズ以外の点での想定外の事態があるとは考えられない。それが、Appleのこの種のタブレットPCの良さでもあるはずだからだ。
が、それでも念のためと言うか、いや、要するに "iPod touch" の使い勝手の良さに惚れ込んでしまうと、その "兄貴分" というか "親御さん" というか、"iPad" 自体とさらにお付き合いがしたくなったというのがホンネなのかもしれない。
"懐具合" を考慮して、これまで買い控えして来た "iPad" を漸く入手する運びとなったのである。
もし、"iPod touch" を受け入れることなく、"iPad" が到来していたならば、さぞかし "大騒ぎ(大喜び)" していたに違いなかろう。だが、既に、この種のタブレットPCが与える感動(?)については、"iPod touch" で洗礼を受けてしまっていたので、さほど特別な感慨もなかった。
むしろ、自作の "ePub 電子書籍" が、この "iPad" でどんな表示となって映るのかが楽しみだった位である。ちなみに "電子書籍" でも、"PDF 電子書籍" (一連の "自炊 PDF" など)の場合には自動的にサイズが調整されるため、何の心配もあり得なかった。
既にコンテンツ同期用のソフト、 "iTunes" はPC上にインストール済みであったため、一連の初期設定はあっと言う間に完了した。"Wi-Fi" にしてもほとんど手間を掛けずに首尾よく済ませることができた。
で、さっそく、 "iPod touch" 用に設定していた "ブック・ライブラリ" を、先ずは転送(同期)することになった。ほどなく、すべてが恙無く完了。
"iTunes" というシステムは、異なったデバイス(タブレットPC)を接続しても、「ああ、身内の方ですね」といった調子で臨機応変(?)にスムーズに対処するので、"うれしく" なってしまう。まさに、"アンビエント性" に徹したシステムだと言えよう。
ところで、関心の焦点であった自作の "ePub 電子書籍" の表示状態についてである。
結論から言えば、"iPod touch" の画面サイズに合わせて作成したものであっても、そんなに大きな違和感はない! ということがわかった。
もちろん、"リサイズ・リメイク" はするつもりであるが、それがなければ通用しない、といったほどの無秩序状態(?)にはなっていなかった、ということなのである。
それと言うのも、"iPad" には、 "見開き表示" という表示スタイルがあり、これはタブレットを "横(長)" にすると自動的に採用されることになる。そうすると、"iPod touch" の狭い横幅の画面サイズを基準にして作成したコンテンツであっても、"見開き" の両ページに "結構スマートに!" 配置されてしまうのである。
ただ、タブレットを "縦(長)" にしてしまうと問題が表面化する。一ページ大表示となり、ページ幅の中央三分の一に、扉の隙間から覗いた光景のような帯状で表示され、 "如何にも見っともない" 格好となる。
したがって、結論を言えば、当然ながら "リサイズ・リメイク" は必要! ということになる。かつて、以下のように書いた通りなのである。
< "Web ページ" の制作に当たっては、今でも閲覧者側での "ブラウザ" の種類を意識させられるが、"電子書籍(eBook)" の制作に当たっては、読み手側の "Book Reader" のサイズを当然踏まえなければならない。
ちなみに、自分は今のところ、"iPhone,iPod touch" サイズを仮の基準にしている。しかし、 "iPad" の画面サイズは、"9.7インチ/1,024 * 768" であり、"iPhone 4、iPod touch" のそれは "3.5インチ/960 * 640/480 * 320" であり、流用できる域を大幅に超えて異なっている。>(<各種サイズの"BookReader"向けの"電子書籍(eBook)"制作には、"XHTML&CSS"が必須!(当日誌 2010.11.09)>)
ただ、再調整要の箇所は多岐にわたるものではなく、"表示幅" 、"フォント・サイズ" を "CSS" の数字を変更することで調整可能かと思われる。あとは、挿入した画像のサイズなどの再調整ということになろうか......。いずれにしても、"XHTML & CSS" の作法にしたがって Web スクリプトを順当に書いていれば、タブレットの画面サイズの差異には比較的容易に対処可能だという実感を深めた。
そんなことならば、"ePub" ではなくて "PDF" の "電子書籍" としようかという向きもあろうかと思えるが、やはり、"書籍風の体裁" や "捲りアニメーション" などの感触を伴った "ePub" の "ブック" の方が数段上のバリュー感がある、というのも実感としてわかった...... (2010.11.27)
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