日本語 "縦書き" 表示が "鮮やか" なのに魅了されて、ついつい "青空文庫形式" による、"i文庫HD"(for iPad)や "SkyBook"(for iPhone)向け "Text 電子書籍" の話題に前のめりとなってしまった。
"是非とも" 日本語 "縦書き" 表示を! との依頼を受けた場合には、こうした "Text 電子書籍" の方式で応じるのが最も妥当ではないかとの確信を深めた。ただ、それが貴重な選択肢であることを一応確認できれば、とりあえず "Text 電子書籍" の話題はそろそろ "通過" しても良さそうな気がしている......。
"ChainLP" による "縦書きテキスト画像化" という "ePub 変換" も、場合によっては採用しなければならないケースも無いとは言えない。だが、テキスト本来の属性(検索やフォントサイズ変更など)が保持されたままで "縦書きテキスト" ファイルを "電子化" するとなると、やはりこの "青空文庫形式" 関連の "Text 電子書籍" か、あるいはより大きな汎用性を踏まえて "PDF 電子書籍" (→ ※ 注.1)ということになるのであろう。
※ 注.1 "PDF 縦書き表示電子書籍" の制作については下記を参照。
◆ <"Word"を使った"Text文書のPDF変換"/メリットは①縦書き可②ページ単位編集可!(当日誌 2010.09.28)>
◆ <"縦書き指定"の"Word"×"印刷"操作からの"PDF変換"法⇒"縦書き"の"PDF電子書籍"(当日誌 2010.09.29)>
で、まだまだ習熟しなければならない課題を多々残す、"ePub 電子書籍" の制作技法へと話題を旋回させるべきかと思っている......。
"横書き" 仕様を基本とする "ePub 電子書籍" を主要なターゲットとする理由というのは、簡単に言えば、この間 "縦書き" について書いてきたことと矛盾するようだが、時代と日常文化は "横書き" 仕様で占められている、という一点に尽きるはずであろう。
日常の文章に入り込む "アルファベットや数字" の頻度を思い浮かべただけで、おおよそ了解できる。また、もはや情報一般に占める "Web 情報" を無視し難い環境でもある。そして、その "Web 情報" を紡(つむ)ぎ出すのが "Web スクリプト" であり、"ePub 電子書籍" はこの "Web スクリプト" を何よりもベースにして構築されている。
このように考えただけでも、"電子書籍" の主流が "ePub 電子書籍" であることは疑う余地のない事実だと思われる。
ところで、この日誌での "電子書籍" についての主要な関心は、その "読み手" の立場からという点もさることながら、"書き手"・"制作者" の立場に重点を置いている。しかも、"インディ" による "セルフパブリッシュ" という観点である。そもそも、それが "電子書籍" というものに託された時代の要請だと思われるからなのかもしれない。
そこで、何度も書くようだが、"ePub 電子書籍" 制作の大半の課題は、タブレットという「デバイスにあわせたレイアウト」を、いかに的確かつ迅速に進めるか、という点に収斂(しゅうれん)するのではないかと理解している。(→ ※ 注.2)
※ 注.2 参照。
◆ <ePub電子書籍制作/「デバイスにあわせたレイアウト」の観点でやはり"XHTML&CSS"か(当日誌 2010.11.29)>
やがて、現行の "多種類" のタブレットも主要なものに絞られて行くに違いなかろうが、それでもともかく現在は "多彩" なタブレットとブックリーダー・アプリが普及している。だからこそ、それらの多くが "可読" なより汎用的なフォーマットとしてのコンテンツが求められ、それが "ePub" という規格を生み出す背景にもなっていたはずだ。
しかし、過渡期の現状では、たとえ多くのタブレットに "可読" ではあっても、レイアウトの表示のされ方にさまざまな問題が噴出しているのが実情であろう。
そこから、「デバイスにあわせたレイアウト」という "悩ましい" 課題が立ち上がってくるということになるわけである。
したがって、言うなれば "ePub 電子書籍" 制作においては、「レイアウトを制する者が、電子書籍を制する!」とさえ見なしても見当はずれではなさそうである。
再度、"XHTML & CSS" 周辺の課題に関心を向け直したいと気構えしているところなのである...... (2010.12.11)
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