"ePub editor" である "Sigil" と付き合い続けていると、これを単に "ePub 変換ツール" だと見なすのはかなり "見くびった見方" だと思えてくる。
確かに、"ePub editor = Sigil" は、 "Web ページ(HTML ファイル)" や "一般文章(Text ファイル)" を簡単に "ePub" ファイルへと変換してくれる。
しかし、それだけしかできないのであれば、他の "ePub 変換" ソフト、たとえば "Calibre" であっても一向に差し支えなかろう。
"Sigil" は "ePub 変換" ソフトであるばかりか、"ePub editor" でもある点が有難いわけであり、評価すべきポイントなのであろう。
つまり、"Sigil" は "ePub" ファイルを読み込んだら、この圧縮ファイルを "解凍" した上で、 "構成要素" 別に仕分けながら、"再構築=再編集" 可能な状態を作り出してくれるのである。ここが有難いのである。
もし、こうした "Sigil" を使わずに既存の "ePub" ファイルを修正したり、改造したりといった "再構築=再編集" をしようとするならば、次のようになろう。
先ず、"ePub" ファイルという圧縮ファイルを "解凍" して、"XHTML ファイル(プラス CSS)" を抽出し、これらをテキスト・エディタで再編集し、それが終わったらその結果を他の付随するファイル類と一緒に "再圧縮" をかけ、 "zip" という拡張子を "epub" という拡張子に書き換える......、といった、まさに "まどろっこしい作業" をしなければならないのである。しかも、再編集過程では、逐一、ブラウザを起動してチェックするという手間もかかるわけだ。
これらの面倒な作業が、"Sigil" を使うならば、"Sigil" というソフト一本で、他のファイルを開くことなく賄えるのである。しかも、処理方式は "WYSIWYG" 方式なので、修正など手を加えたその結果を即座に目で確認することもできるわけだ。
さらに有難い点は、"Sigil" は、素材となったソースファイル類(HTML,CSS,画像ファイルなど)を、一度、読み込むと、すべてを抱え込んだまま内部処理を進め、ソースファイル類への "反映(保存)" をしないのである。
この点は、あれこれと "試行錯誤" をしてソースファイル類を "汚す(=混乱の元)" ようなことが避けられるため、結構、有難い。"試行錯誤" が "不調" に終わるならば、"Sigil" を閉じればソースファイル類は "温存" されるからである。
うだうだと書いてると、"Sigil" の価値はわかったから、早く "上手に気持ち良く付き合うための前提やコツあれこれ" を示せ、と言われそうだ......。
先ず、最低限注意したい点は、"Sigil" が適切に受け入れる "文字コード" は、 "UTF-8" だという点。"shift-JIS" ファイルを読み込むと、"文字化け" となって作業ができないことになる。もし、ソースファイルが "shift-JIS" の場合は、あらかじめ "UTF-8" へと "文字コード" を変換しておかなければならない。こんなことも、気持ち良く作業を始めるためには気をつけておきたい。
次に、これも大した話ではないが、意外と知っていて損のない点である。
"Sigil" を起動させると、ウインドウの左側に<Book Browser>という欄が目に入る。( なお、このバーをダブルクリックすると "フロート" 状態となる。再びダブルクリックすると元に戻る......。ワークエリアを広く使いたい時には役立つ? )
ここには、"ePub" ファイルを構成する "フォルダ" が表示されている。上から、<Text><Styles><Images><Fonts><Misc>となっている。
<Text>には、メインの "(X)HTML" ファイルが並び、<Styles>には、"CSS" ファイルが、そして<Images>には、使用され(てい)る "画像" ファイルが並ぶ。
それはそれとして、ここで書こうとしていることは、次の点なのである。
既存の "XHTML & CSS" を読み込んだ場合、一連のファイルが同一のフォルダにあった場合には、"Sigil" の裁量(?)でそれぞれのファイルを<Styles><Images>に仕分け、さらに "(X)HTML" スクリプトでの "リンク先指定(src="" の部分)" もそれに応じて書き込んでくれる。
だが、もし、元の "XHTML & CSS" の "フォルダ" 構成において、"CSS" や "画像" ファイルが固有の名称の "フォルダ" に収めてあった場合には、若干の "行き違い" が生じる場合がある。"画像" ファイルのフォルダが探せずに<Images>のフォルダが "空" となる場合もあったりする。その場合には、<Images>のフォルダを "右クリックして、" 元の構成から "Add(追加)" してやらなければならない。<Styles>についても同様である。
したがって、この点に留意して、「郷に入れば郷に従う」のごとく、元のフォルダ名をあらかじめ<Styles><Images>にリネイムして、もちろんリンク指定も変更しておく必要があるが、それから "Sigil" に読み込むようにしてやると、後々、何かと手がかからないで済むようだ。――以下続く(はず)―― ...... (2010.12.14)
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