今や、"電子書籍" 読書では "めくり感覚" (めくりアニメーション)機能付きのブックリーダーが当たり前のようになった。別に、この機能がないと読書としての雰囲気・臨場感がないというほどのものではないにしても、この機能に慣れてしまうと、無いとやや物足りなくなるのも事実であろうか。
となると、"電子書籍" は "ePub " ファイル形式でないとマズイということになるのであろうか。今のところ、"めくり感覚" 機能付きで人気を集めているのが、"iBooks" の "本棚/ブック" であり、そこに収めるためには "ePub " ファイル形式でなければならないからだ。
"PDF 電子書籍" ("Text ファイル" の場合も)の場合には、"iBooks" にせよ、"GoodReader" にせよ、ページ移動は "スライド" 型移動となっている。
ただし、"Text ファイル" のままでこの機能を発揮している App もあるにはある。あの "青空文庫" をターゲットとした "SkyBook" がそれである。
また、"SkyBook" では、"自作Textファイル" をも転送して、既成の書籍と同じスタイルで読むことも可能となっている。
"自作Textファイル" をブックリーダーで読むことが可能という点については、一目置いてよい点なのかもしれない。何も "めくり感覚" 機能の有無にかかわらず、頻繁に使う "自作 Textファイル" がブックリーダーで扱えることの意義は小さくないからだ。
以前の当日誌での以下を参照。
◆<"iPhone/iPod touch"での"ポケット文庫 SkyBook"で、"自前のテキスト文書"を読む(当日誌 2010.07.31)>
◆<"iPhone"などでの"PDF、TEXT"文書対処法まとめ/SkyBook向け転送ソフト"i-FunBox"(当日誌 2010.08.01)>
ところで、今回は、"iPhone 4,iPod touch" における "SkyBook" と同じ意味合いで人気を集めている "iPad" 専用版の "i文庫HD (iPad専用App)" についての話題なのである。
◆<i文庫HD/iTunes プレビュー>
◆<i文庫HD/ベンダーサイト>
このアプリで "青空文庫" を読むという一般的、ありきたりな利用法についてはおくとして、関心を向けたのは、次の点であった。
<あなたが作ったファイルも i文庫HDで
あなたが書いた文章なども簡単に i 文 庫 H D で読むことができます。
テキストファイルや画像ファイルを、まるで出版された本のように楽しんで下さい。><カスタマイズ自在/i文庫HD/ベンダーサイト>
ところで、当アプリが扱えるファイルについての説明では、
<使用できるファイル形式
フォルダ機能で使用できるファイル形式は以下の通りです。
その他は転送できても閲覧することはできません。>(<使用できるファイル形式/i文庫HD/ベンダーサイト>)
とあり、"txtファイル"、"zipファイル"、"pdfファイル" が指定されている。
<フォルダ機能......>というのは、ユーザが使用中のPCから、所定のファイルをこのアプリ向けに転送できる "フォルダ" とその関連機能を指し、その転送方法としては3種類があけられている。
① FTP転送
② URL指定ダウンロード
③ USB転送
もっとも簡単なのは、"iTunes" を利用した "③ USB転送" ということになろう。
実際に、"③ USB転送" の方法を使って試してみると、簡単にファイル転送が実現された。アプリ画面の最下段にあるメニューボタン、<フォルダ>をタップしてみると既存のフォルダと並んで、転送したファイル名がリストアップされているのがわかる。
そして当該ファイルをタップしてみると、<情報>というウィザード小画面が開く。
ここで、このファイルを書籍として並べる<本棚>をセレクトしたり、<詳細設定>での各種設定(<本棚>に並ぶ際の<表紙の変更>、<表題の変更>という編集であるとか、<縦書き/右開き、横書き/左開き>の別のセレクトなど。"縦書き"、"横書き" の選択がオリジナルとは関係なく選べるのがうれしい!)を行うことになる。
その上で<読む>をタップすると、鮮やかに、 "めくり感覚" 機能付きの "電子書籍" が展開し始めるのである。
なお、二つほど補足説明をしておこう。
その一つは、"txtファイル" について、以下のような解説があることに関係する。
<txtファイル
txtファイルはShift-JISまたはUTF8形式で、改行はCR+LFとなります。
txtファイル内の装飾形式は、青空文庫準拠の形式となります。
青空文庫形式についての詳細は青空文庫のページを参照して下さい。
拡張形式として、以下の形式をサポートします。
<PBR> 改ページ
<IMG SRC="xxx.jpg"> 挿絵、同zip内の画像ファイルを挿絵として表示します。>(同上箇所)
これを読む限り、まだ試してはいないのだが、"転送" 前の "txtファイル" を上記の解説に沿って編集しておくならば、"青空文庫" 並みに読み易い "電子書籍" として表示させることができるのかもしれない......。
二点目は、"PDF 電子書籍" に関してである。今回の試みでは、"自炊 PDF 電子書籍" (漫画、つげ義春)やその他自作の "PDF 電子書籍" も転送してみることにした。
何の問題も発生しなかったばかりか、これまで "PDF 電子書籍" では味わうことのなかった "めくり感覚" 機能がしっかりと実現されていることがわかった。
"つげ義春" 漫画の主人公の醒めた表情などが、ページめくり表示の "波" に運ばれていく光景は、漫画を楽しんでいる! という臨場感が何となくを高められた感触であった...... (2010.12.01)
コメントする