"iTunes" で、アプリ "iBooks" の更新通知があったのですぐにインストールをしてみた。さして目新しい点があるようにも見えなかったが、目を凝らしてみると、これまでの "本棚" 、つまり最上段のメニューバーに<ブック>、<PDF>と二分類されていたボタンが消えている。その代わりに左側に<コレクション>という見慣れないボタンが添えられていた。
これをクリックすると、<ブック>、<PDF>と従来どおりに分類された二段が表れる。どうもこれらが、 "従来の本棚" への入り口のようであった。とともに、これら以外にも "別の本棚" が作れそうなニュアンスが確実に伝わってきた。
◆ブック/PDF本棚に、自分の "コレクション" 向け本棚を追加できる!
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念のため、"iBooks" のサイトで確認してみると以下のように新バージョン 1.2 が紹介されている。
<バージョン 1.2 の新機能
• 子供向けの絵本から美しいデザインのアートブックまで、イラスト満載のブックをiBookstoreでダウンロードしてお楽しみいただけます。
• ブックやPDFをコレクションにまとめることができます。左や右にスワイプして、コレクション間をジャンプできます。
• PDF書類、およびiBooksで作成したメモを、AirPrintを使ってプリントできます。
• 自動行末ハイフン処理機能(iOS 4.2以降でのみ使用可能)により、1ページあたりの表示可能文字数が増えました。>(<iBooks 開発: Apple Inc.>)
新バージョンではユーザーが独自に本棚を追加でき、作成した本棚に "ブック" や "PDF" を移動させて整理できるというわけなのだ。これが "コレクション" と呼ばれている。
上記の例では、仮に<コレクション・ブック/PDF>と名付けてみたが、<My Collection>とかの名を付けてもよさそうだ。あくまで "本棚の名称" は任意なのである。増設個数も任意のようである。
なお、追加したこの<コレクション>本棚には、 "ブック" と "PDF" を混在させることが可能であり、まさに、"氏(うじ)素性" には関係なく "気に入った!" という一点で括り直してください、というわけなのである。
また、<ブック>/<PDF>/<追加コレクション>の間を移動するには、メニューバーの<コレクション>ボタンからそれぞれの本棚を選択するか、本棚を "左右にスワイプ(画面に触れた状態で指を滑らせる操作)" する。
この<コレクション>本棚は、確かに有難い機能だと思われる。"登録 eBooks" が増え続けると、結構、セレクトが煩雑となりがちだからである。
関心のあり様の違いに対応する<コレクション>本棚を複数追加するならば、さらに "分類整理" がはかどりそうでもある。
ところで、こうした "分類整理" への貢献という観点のほかに、やはりこうなって行くのだろうな......、と目を向けた点があった。
つまり、"ePub" eBook/"PDF" eBookという境界は、次第に希薄となって行く、ということなのである。少なくとも、ユーザーにとっては "コンテンツの中身" こそが関心の焦点であり、作られ方や操作上の多少の差異はさほど問題とはならないのかもしれない。
この辺から、ふと "本のアンビエント化" という視点を思い起こしたりした。
<本はこれから電子ブックによってアンビエント化していくということです。
そして、アンビエント化された本の世界では、古い既刊本も新刊も、あるいはアマチュ
アの書いた本もプロの書いた本も、すべてがフラットになっていきます。
音楽の世界で、これはすでに起きています。>( 佐々木俊尚『電子書籍の衝撃』2010.04.15/ディスカヴァ一携書)
"ユーザー主導型~" とでも言う "時代のうねり" が驀進する現在、壁で隔てられていると思われていた種々の "差異" の仕分けが薄れ始め、そしてやがては "すべてがフラットに" なって行くのかもしれない...... (2010.12.21)
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