今年の自分は、かなりのエネルギーを割いて "電子書籍" ジャンルにのめり込んできたようだ。Apple が "画期的タブレット" である "iPad" シリーズおよびその環境を世に問い、またこれに熱狂で応えるユーザーが多かった年だけに、自然な流れであったかと思っている。いわゆる時代の "流行" から疎くなり始めている自分ではあるが、久々にワクワクする雰囲気に包まれたりしたものであった。
もはやPCが身体の一部、いや頭脳の一部だとさえ感じている自分などにとっては、PCへの概念を覆(くつがえ)さんばかりに斬新なこの種のタブレット(PC)は、やはり奇妙な興奮をもたらすもの以外ではなかったわけだ。
もちろん、"ポータブル性" や "操作性" のスマートさや "手頃な価格" に象徴される "モノとしての魅力" が、先ずは大きな誘引だっただろう。
しかし、"iPad" シリーズの魅力は決してそればかりではなく、ネット環境をふんだんに活用した "簡便なダウンロード環境" の併設完備という点の意義が大きいと言える。いわゆる "本のアンビエント化" (佐々木俊尚『電子書籍の衝撃』/ディスカヴァ一携書/2010.04.15)環境のことである。
<≪iTunesによってそうした手間のほとんどは消滅し、いつでもどこでもどんな場面でも、自分が音楽を聴きたいと思った瞬間に手元のデバイスから魔法のように楽曲をひきだすことができるようになりました。これがアンビエント化です。≫(前述書)......
≪本はこれから電子ブックによってアンビエント化していくということです。そして、アンビエント化された本の世界では、古い既刊本も新刊も、あるいはアマチュアの書いた本もプロの書いた本も、すべてがフラットになっていきます。≫(前述書)>(<"電子書籍"は、"アンビエント"化状況によって書き手をも読み手をもアクティブに! (当日誌 2010.11.13)>)
そして、その "本のアンビエント化" 環境というものは、決して読み手側が "超・便利!" になるだけではなかったのである。
< "読み手" 側が、何の苦労や手間もかけずに "電子書籍" を入手する "本のアンビエント化" 状況のすぐ裏手には、"書き手" 側が、"コンテンツ" 面に加えて、その制作技術面においてもさほどの苦労や手間をかけずに "電子書籍" 制作が可能となる、そんな大道具・小道具などの舞台設定が出来上がっている、と言えるのではなかろうか。>(上述 2010.11.13 当日誌)
詳細は、上述日誌を参照していただくとして、<つまり、普及の一途を辿る "DTP(Desktop publishing、デスクトップパブリッシング)" 技術は、さらにデジタル面で進展し、"電子書籍" 制作に関しては、もはや "いつでも、どこでも、誰でもが" アプローチし得る "低いハードル" に仕上がってきている、と想定できるからである。高価な関連アプリでなければというひと頃の制約も、少なくないフリーソフトで置き換えられつつあるのが現状であろう。しかも、関連技術情報はネット環境でかなりの量が流布されている。>という事実、これらを、"画期的タブレット" の出現はわれわれにしっかりと気づかせてくれたのである。
こうして、自分も含めた多くのユーザーは、"読み手" 側で満足するだけではなく、"書き手" 側の立場へとシフトする試みを始めたのではなかったか......。
自分の場合、多少の "Web サイト" 作りの経験と "DTP" への関心が強かったこともあり、"電子書籍" と呼ばれる "ePub" , "PDF" , "Text(for i文庫HD,SkyBook)" などの関連フォーマットでの制作(おまけに "自炊 PDF" 作成習熟)を、とりあえず一通りカバーし得るところまで来たかに自負している(唯我独尊!我田引水!の四字熟語だが......)。
こんな位置で、今思うことは、"制作技法" の習得で満足していては始まらない、ということ。"制作技法" が活かせる "コンテンツ" 自体にも旺盛な意欲を注ぐべきだろう、ということかと......。
<"ePub 電子書籍"制作テクニックに慣れて気づく、新たなコンテンツ作りへの意欲!(当日誌 2010.11.15)>
"小説" にはこだわってみたい気もしているが、"ノンフィクション"、"教材"、"写真集"、"教材" などのジャンルのほかに、量販志向ではない個人向けの "自分史"・"アルバム" などの "電子書籍" 形態としての編集制作、商用としての "製品の詳細紹介" ......。
要するに、"書籍" イメージをコアとしながらも、"Web ページ" とは "差別化" したところの、メディア特性を活かしたコンテンツ作りをもっと旺盛に探るべきではないかと思うのである。しかも、"インディ" ならではの "小回り、低コスト性" をフル活用した制作範囲の模索を...... (2010.12.29)
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