"iPad/iPod" 向け "ePub 電子書籍" に、"オーディオの埋め込み" を実現したいと望んでいた。コンテンツに関する解説の音声などを盛り込みたいという意図からだ。
そのきっかけは、"iPad/iPod" の "先読みスタンス" にあったかもしれない。
つまり、本来は現行の "ePub" 仕様は "HTML5" 規格を受け容れないにもかかわらず、"iPad/iPod" は "ePub ファイル" での "video" や "audio" といった "HTML5" 規格水準のメディアを許容するという点である。それならば試してみない手はない......、と促されたのであった。
しかし、いざ作業に取り掛かると、途端にとある "伏兵" に遭遇してしまった。
いつものように、"Sigil" 向かって作業を開始したのである。"HTML5" 規格に則って、 "audio" 組み込み(ちなみに、"HTML5" における "audio" 組み込みのためのスクリプトは、 "video" 組み込み方法とほとんど同一である)のスクリプトを書き込んだのであった。
"XHTML5" スクリプトの骨格となるコードは次のようなものである。
////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////
<?xml version="1.0" encoding="UTF-8"?>
<html xmlns="http://www.w3.org/1999/xhtml" xml:lang="ja" lang="ja">
<head>
<title>Audio-Sample</title>
<link type="text/css" rel="stylesheet" media="all" href="style.css" />
</head>
<body>
<h1>オーディオ・サンプル</h1>
<audio src="*******.mp3" controls="true" autoplay="false" />
<p>これは、"iPad" 向けのオーディオ・サンプルのテストです。</p>
</body>
</html>
////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////
ところが、"Sigil" にこのようなスクリプトを打ち込んでみたところ、"勝手に" スクリプトが "変容!" してしまったのには意表を衝かれた。
先ず、冒頭の "文書型宣言" のコードが、"XML宣言" は残されていたものの、"XHTML5" 向けの "宣言" の代わりに、"XHTML1.1" の "宣言" に切り替えられてしまうのだ。
しかも、事の中心である以下のコードの行、
<audio src="*******.mp3" controls="true" autoplay="false" />
が、吹っ飛んでいたのである。
すぐに了解せざるを得なかった。"Sigil" は、あくまでも現行の "ePub" 規格に順応し、"XHTML1.1" に忠実に構成されていたのであり、未だ馴染みの薄い "XHTML5" 規格には未対応(埒外!)だったのである。
となると、"Sigil" でねばろうにもやり様がなかった。
さてどうするか......?
ここで問題だと思えた事は、"XHTML5" 対応で "ePub 変換" を行うツールというよりも、(というのも現行では "ePub" は "XHTML5" には未対応だからである!)ユーザが書き込むスクリプトをとにかくそれとして "ePub 変換" を実行してしまう "ツール" の存在だったのである。
しばし、考えたが、思い付く "ePub 変換ツール" は、あの "eCub" しかなかった。
ただ、正直言って、これまで "eCub" にはさほどの期待をしていなかった。
参照 <"Sigil"と同種の"ePub変換"ソフト"eCub"のメリットは、"カバー・ページ"挿入可か?(当日誌 2010.08.17)>
だが現状では、"eCub" を試してみる以外に手はなかった。
ところが、この "窮地" から救い出してくれたのは、一度は軽く往なしてしまったダークホースさながらの "eCub" だつたのである。
詳しいことは後日に回すとして、"オーディオ埋め込み EPUB 電子書籍" 制作のコア部分を見事クリア! させたのは、まさに "eCub" 以外ではなかったのである。
"iPad/iPod" の "iBooks" で表示された "audio" の "ゲージ" も表示されたし、これをタップしたら、テスト用の "新日本紀行" のテーマ・ミュージックが "おめでとう!" と言わぬばかりに鳴り響いたのであった...... (2011.01.17)
コメントする