去る3月11日に発生した"東日本大震災" は、事実が判明するごとにその "傷口" の広さと深さとが自覚されて行くようである。そして、"テロ事件" と "自然災害" という歴然とした差異はあるものの、そのダメージの甚大さにおいてはあの "9.11" 事件に匹敵、あるいは凌駕する巨大危機であったことが益々思い知らされる。
今後も、さまざまな困難な局面を迎えることを余儀なくされるに違いないが、その時点その時点での最大限を追及して行く以外はない。
現時点では、<原子炉の水 地下を通し漏出か>(下記記事[1])という問題が、恐らく "緊急課題" ではないかと思われる。<高濃度の放射性物質を除去しないと復旧作業が進まないうえ、汚染が周辺地域や海に拡散していくのを抑える必要もある。>と見られるからだ。
ただし、想像以上の困難さを伴っているようで、<福島原発、収拾に数カ月も 放射性物質拡散で作業難航>(下記記事[2])とあるのが口惜しい。
そんな状況の中、原子力分野でノウハウを持った各国から頼もしい援軍が駆けつけてくれているというニュースには、大いに勇気づけられる。
<汚染水処理、米独仏から機材やノウハウ 福島第1>(下記記事[3])や<米海兵隊、放射線専門部隊が来日へ 緊急事態に備え>(下記記事[4])という動向がそれらである。
こう言っては語弊があるが、"3.11クライシス" の不幸の中には、事態収拾主役の当事者東電・政府が、今一つ国民からの絶大なる信頼を勝ち得てはいない嫌いがありそうな点が気になるわけだ。
そして、こんな未曾有の苦悩のただ中で、被災者や国民を勇気づけるものは、"ビジュアルでダイナミックな支援アクション" であるような気がする。それほどに、今回の巨大地震は、人々の五感を引き裂いて余りある強烈な悪魔のイメージを炸裂させてしまったからだ......。
息の長い長丁場の支援はもちろん必須である。だが、今、急を要するものの中には、放射能汚染の封じ込めとともに、痛々しく病む被災者たちのメンタル面に、"手堅い安心感" を提供することであろう。"雄々しくパワフルに支援活動をする光景" は、被災者たちの赤く爛れた心の粘膜をきっと癒すはずである......。
◆記事[1] <原子炉の水 地下を通し漏出か
福島第一原子力発電所の2号機で、タービン建屋の外にある「トレンチ」と呼ばれるトンネルにたまっていた水から、運転中の原子炉の水のおよそ3万倍の濃度の放射性物質が検出されました。2号機のタービン建屋の地下にたまっていた水からは、さらに高濃度の放射性物質が検出されていることから、東京電力では、原子炉の水がタービン建屋の地下を通して、外に漏れ出している可能性があるとみて調べています。
福島第一原子力発電所2号機のタービン建屋の外にある「トレンチ」と呼ばれるトンネルで見つかった水の表面からは、今月27日、1時間当たり1000ミリシーベルト以上の強い放射線が計測され、東京電力が詳しい分析を進めていました。
............
2号機のタービン建屋の地下にたまっていた水からは、原子炉の核燃料が損傷して出たと見られるさらに高い濃度の放射性物質で汚染された水が見つかっていて、東京電力は、トレンチで見つかった水は、タービン建屋の地下を通して漏れ出している可能性があるとみて調べています。>(<原子炉の水 地下を通し漏出か/NHKニュース/4月1日 0時36分>)
※注. なお、この<3万倍の濃度の放射性物質......>について東電は、再び "計測誤算" の可能性ありと発表!(<東電 放射性物質データ見直し/NHKニュース/4月1日 15時2分>)
◆記事[2] <福島原発、収拾に数カ月も 放射性物質拡散で作業難航
東京電力福島第1原子力発電所の事態収拾は数カ月と長期化する恐れもあり、大量に放出されている放射性物質の対策が大きな焦点となってきた。高濃度の放射性物質を除去しないと復旧作業が進まないうえ、汚染が周辺地域や海に拡散していくのを抑える必要もある。ただ、汚染の拡大を防ぐための合成樹脂の散布が31日は見送られるなど、作業は厳しい状況が続いている。......>(<福島原発、収拾に数カ月も 放射性物質拡散で作業難航/日本経済新聞 夕刊/2011/3/31>)
◆記事[3] <汚染水処理、米独仏から機材やノウハウ 福島第1
東京電力は31日、福島第1原子力発電所のタービン建屋地下や屋外のトレンチ(坑道)で見つかった高濃度の放射性物質に汚染された水を、順次タンクに移送した。ただ冷却装置の復旧が可能な作業環境からはなお程遠い。政府は原子炉や放射線の管理技術で優れたノウハウを持つフランスやドイツ、米国の協力も得て、汚染水の処理と原子炉の冷却を急ぐ。
日本はフランスの原子力大手アレバなどから放射線防護服1万着や防護マスク3000個、環境測定車2台、ポンプ10台、核反応を抑えるホウ酸100トンなどの無償提供を受けた。さらにアレバは汚染水処理のほか使用済み核燃料プールの管理、原子炉の専門家ら20人を日本に派遣する。既に一部が来日、今後増員も検討するという。
アレバはフランスの再処理工場で高濃度の放射性廃液を扱っている。「米国のスリーマイル島や旧ソ連のチェルノブイリ原発事故の処理にも取り組んだことがある」(ロベルジョン最高経営責任者=CEO)といい、そのノウハウを生かせると見ている。フランス政府は日本に放射性物質で汚染された場所で活動できる無人ロボットも提供する意向だ。
ドイツからはウェスターウェレ副首相兼外相が2日に来日、松本剛明外相と会談する方向で調整している。ドイツ製機材の使用などについて協議するとみられる。ドイツのメルケル首相は30日に菅直人首相と電話協議した際に、原子炉の修復作業などに使う遠隔操作ロボットの提供を提案。政府は汚染水除去などに活用を検討している。
米国も支援を本格化している。原子炉の冷却に使う真水を積んだ米軍横須賀基地所属の「はしけ船」1隻が31日、原発近くに接岸し東電側への引き渡し作業を終えた。1隻に約1100トンの水を積める。もう1隻あり、機器の試運転を終えた後、待機している小名浜港(福島県いわき市)を出港する予定だ。
また折木良一統合幕僚長は31日の記者会見で、放射線管理や放射線被害のノウハウを持つ米海兵隊の専門部隊140人が2日にも来日すると発表した。専門部隊は1995年の日本の地下鉄サリン事件を機に創設。生物、化学、核などの各兵器による被害に対応するための検知や除染、現場医療を主な任務とする。防衛省は緊急時の除染所への増援部隊としての活動を想定する。>(<汚染水処理、米独仏から機材やノウハウ 福島第1/日経新聞/2011/3/31 20:45 (2011/4/1 0:23更新)>)
◆記事[4] <米海兵隊、放射線専門部隊が来日へ 緊急事態に備え
折木良一統合幕僚長は31日の記者会見で、東京電力福島第1原子力発電所での事故を受け、放射線管理や放射線被害に関するノウハウを持つ米海兵隊の専門部隊140人が近く来日すると発表した。具体的な支援活動については今後、日米間で調整する。折木氏は「緊急事態への対応で、すぐに展開するわけではない。日米で態勢を強化することは国民の皆さんに安心感を持ってもらえると確信している」と述べた。
来日する米海兵隊の専門部隊は1995年の日本の地下鉄サリン事件を機に創設。米メリーランド州の基地に所属し、生物、化学、核などの各兵器による被害対応として検知や除染、現場医療を主な任務とする。今回の原発事故対応として防衛省は、緊急時の除染所への増援部隊としての活動を想定する。2日にも来日する見通しだ。 原発事故対応で米国側は日本政府の要請を受け、建屋内部の状況把握などのため最新鋭の無人偵察機「グローバルホーク」を投入。米海軍の核管理の専門家もすでに来日し、対処のアドバイスをしている。原発の冷却支援として真水を搭載可能な米軍横須賀基地所属の「はしけ船」2隻も提供した。米以外にもフランスや中国、韓国から機材の提供や専門家の助言などを受けており、各国が支援に乗り出している。
専門部隊の派遣に関しては、ウィラード米太平洋軍司令官が21日の折木氏との会談で、米の専門家450人のチームを事故対応に向ける用意があると表明していた。>(<米海兵隊、放射線専門部隊が来日へ 緊急事態に備え/日経新聞/2011/3/31 21:03>)
本来は、"技術大国・日本" こそが、他国のこうした悲惨な災害に対して "雄々しくパワフルに支援活動" をしたいところだったはずだ...... (2011.04.02)
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