<Apple社はなぜクラウド・サービスが苦手なのか (WIRED.jp)/ITpro/2011/06/15>と題された記事を興味深く読ませてもらった。
"米Apple社" と "米Google社" という現代を代表する二大企業は、しばしば比較され、そして "対照的" な存在だとも評されて来た。
その "米Apple社" が、いわば "苦手(?)" なジャンルである "クラウド・サービス" に乗り出したことをオーソドックスな "企業組織論" 的な視点からクリアに分析していたので感心させられたのである。
そこそこ "長文の記事" であったため、全文引用は憚られた。そこで、以下のように "抜粋要約" および部分強調の編集をさせてもらった。(これでも "長い" か......)
Apple社はなぜクラウド・サービスが苦手なのか (WIRED.jp)米Apple社は『iCloud』を発表した(日本語版記事)が、同社のクラウド・サービスがうまく動くかどうかについては懐疑的な意見も多い。
Apple社がスケーラブルなオンライン・サービスを作るのが苦手であるのは偶然ではない。同社の企業文化は、中央集権的で、これはユーザーが使いやすい優れた製品を生み出しているが、信頼性のある高速なオンライン・サービスを生み出すには、脱中心的で、エンジニアが主導する企業文化が必要なのだ――米Google社のような。Apple社は、何よりもユーザーインターフェース(UI)の会社であり続けてきた。
Apple社のUIにおける成功は、デザイナーを中心とした同社の企業文化によって可能。ひとりのデザイナーが製品開発全体をコントロールすることで、デザインが統一され、ユーザーが使いやすい美しい製品が生まれているのだ。一方、Google社は、スケーラビリティへの執着によるところが大きい。そして同社の組織と企業文化は、スケーラビリティのあるシステムの構築に最適化されている。Google社は、自律的な小さなチームから成り立っており、中央からの監視は最小限だ。
Google社の分散的でデータ重視の組織運営方針。この方針があるから、Google社は信頼性のある高速なオンライン・サービスの提供に必要な複雑なインフラの構築と維持管理に強いのだ。
Apple社では、何回もテストが行われる。どんなに内部テストを行っても、実際に大量のユーザーが利用したときの様子を再現することはできないのだ。企業文化というものには影響力がある。Apple社はユーザー・フレンドリーな製品を作ることが得意だし、Google社はスケーラブルなネットワーク・サービスを作ることが得意だ。モバイルOS市場の支配をめぐる競争は、究極的には、このふたつの分野のどちらが、一般ユーザーにとって価値があるかによって決まってくるだろう。
スティーブ・ジョブズCEOは、同社がノースカロライナ州に作った巨大なデータセンターによってクラウド・サービスは今度こそ成功すると考えているかもしれない。しかし同社には、企業文化の美点と欠点がある。iCloudのパフォーマンスや信頼性に問題が生じても驚くことはないだろう。 (上記サイト記事要約)
この記事は、価値ある技術的プロダクツが、単純化された "技術力" のみで成立したわけではないこと、固有の "企業文化" にこそ立脚していること、そして "企業文化" と "製品・サービス" ジャンルとの間には、実は深い相関関係があることなどをしっかりと踏まえている。
勝手なことを言えば、果たして "野球型" 組織文化の "米Apple社" と "サッカー型" 組織文化の "米Google社" のどちらが今後の "モバイルOS市場" をリードして行くことになるのか...... (2011.06.19)
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