フリーソフトの ePub変換 Editor で "定番" と目されて来た "Sigil" は、長らく "Version 0.3.4" 版で "足踏み(?)" をしていた。片や "Calibre" が絶え間なくアップデートされ続けているのに対して......。
が、ここに来て久々に最新版"Version 0.4.0"へとアップデート(β版)された。"Sigil" ファンは少なくないので、喜ばしいニュースだと思えた。
うかつにも、その第一報は、"Sigil" の公式サイトからではなくて、下記のサイトの記事で気付かされたのである。
<オープンソースのEPUB電子書籍エディタ「Sigil」が大幅アップデート、OPF/NCXファイルの直接編集にも対応
【編集部記事】オープンソースのEPUB電子書籍エディタ「Sigil」の開発者であるStrahinja Markovic氏は現地時間の3月20日、Sigil最新版となるVersion 0.4.0をベータ公開した。
Sigilは、EPUB電子書籍の編集者たちの間で定番となっているフリーのエディタで、Windows/Mac/Linux版パッケージが用意されている。このVersion 0.4.0では現場から要望が多かったOPFファイル(メタデータファイル)とNCXファイル(目次情報ファイル)の直接編集にも対応した。
なお、Verion 0.4.0はまだあくまでもベータ版であるため、細かい不具合について報告を募集しているとのこと。【hon.jp】
問合せ先: Sigilの配布サイト( http://code.google.com/p/sigil/ )>(<オープンソースのEPUB電子書籍エディタ「Sigil」が大幅アップデート、OPF/NCXファイルの直接編集にも対応/hon.jp DayWatch/2011-03-28 12:35:12>)
なお、実際、<Sigil ver.0.4 Downloads> において最新版のダウンロードが可能となっている。
そこで早速、"Sigil" の最新版 "Version 0.4.0" をレビューしてみた。
と言っても、とりあえず "外見上" の改変レベルだけであり、内部の機能面については今のところ掴めていない。
あきらかに改変された部分はというと、昨日の報道記事のとおり、<このVersion 0.4.0では現場から要望が多かったOPFファイル(メタデータファイル)とNCXファイル(目次情報ファイル)の直接編集にも対応した。> (上記サイトに同じ) という点であろうか。
"Sigil" の編集画面には、その最左翼に "Book Brouser" というフォルダを並べた列がある。従来、そこには、"ePub" を作ろうとするユーザーが素材として持ちこむファイル類を納めるフォルダとして、"Text"(Section0001.xhtml)・"Styles"・"Images"・"Fonts"・"Misc" が用意されていた。
それに対して最新版では、これらの下に "ontent.opf" と "toc.ncx" という新しいファイルが付け加わえられている。
これらのファイルは、多少なりとも "ePub 変換" 作業を経験した者であれば、見覚えがあるのではなかろうか。だが、これらは従来の "Sigil" での編集作業では "水面下" に隠されていたのである。(自動生成!)
と言うのも、ある程度 "ePub" 仕様に精通した者、いわば "エキスパート" でなければ扱いにくいファイル類だったからであろう。うかつに変更すると "支障" が生じる可能性も潜んでいるからなのである。
そうした点から、今回の最新版でも、これらのファイルをクリックして開こうとすると以下のような "メッセージ" が表示される。
「 Editing the OPF and NCX files is for experts only! Continue? 」
( OPF や NCX のファイルの編集は、エキスパートに限られます! それでも続けますか?)
ちなみに、それぞれのファイル概要は下記のとおりだ。
(1) "toc.ncx" ファイルとは、ePubファイルの "目次" であり、"xhtml" の形のスクリプトが書かれている。そもそも、"toc" とは、 "Table of Contents" 、コンテンツテーブルつまり目次のことだ。
"navMap" とか "navPoint" とかの属性タグがあり、やや特殊なルールがあるために慣れなければ扱いにくい。
(2) "content.opf" ファイルとは、ePubファイルを構成するファイルへのパスとファイル名を記述した"xhtml" の形のスクリプトである。
"metadata" である "title タイトル"、"language ランゲージコード"、"identifier URIやISBNなどを使用したユニークなID" や、そのほかに "manifest" などが記載されている。これらの中には、"必須" 項目のものもあり、これを欠くとエラーとなることもあり得る。
自分の場合、これらのファイルを手作業で修正編集しなければならないケースには出会ってこなかった。だが、"ePub" エキスパートたちの中には、その必要性を訴える者も少なくなかったのかもしれない......。
なお、"Sigil" での "toc"(目次)設定の実際については当誌の下記を参照。
◆ <"ePub電子書籍"では自前の"目次/TOC"は不要!"Sigil"での"TOC"の完璧作成技法!(当誌 2011.01.04)>
◆ <自炊PDFから作成の"ePub"に,"Sigil"で"目次/TOC(Table of Contents)"機能を追加 [ 図解 ] (当誌 2011.01.09)>
いずれにしても、"Sigil" の久々に行われた "アップデート" が、"ePub" エキスパートたち(現場)からの要望に応えるものであったということは、"Sigil" が如何に "実用的に活用" されているかを如実に示すもののように思えたものである...... (2011.06.04)
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