このニュースが素晴らしい点は、単に "IT" が "単独" で活用されるのではなく、高性能な "IT" と、ヒューマンな善意の努力とが見事に歩調を合わせて事を成しているところであろう。
"音声" の "文字変換" の技術も "部分的" には高度化しているが、その技術の認識率には多々問題が残されていて、残念ながら外国語翻訳での "同時通訳" ほどの実用的水準には至っていないようだ。
"同時通訳" とて、専門能力を持つ "人力" が介することで実用に耐えているのが実際であり、"音声" の "文字変換" に当たっても同じことが言えそうである。"音声" を聴きながらの "口述筆記的キータイピング" とでも言えようか。
しかも、その "タイピング" 成果の文章を即座にネット配信して、所定の "スマートフォン" を手元に置くユーザーが、流れるテロップを見るように閲覧できるというものなのである......。それもビジネスではなく、聴覚障害学生の受講サポートのために、ボランティア学生ら "口述筆記的キータイピング" を行っているというのが感動的!
マイクを通した教官の "音声" をヘッドフォンで聴きながら、別室(別箇所)で集中しながら "同時入力" を敢行して、即、ネット配信するのだそうだ。
実は、この事を知ったのは下記の報道ではなくて、今夕のNHKの報道番組からであった。だが、その番組に関する文字となった記事が見当たらなかったので、同一のニュースと思しき下記の記事を紹介することになった次第である......。
<聴覚障害の学生に講義録作成 関学大生ら被災地応援
東日本大震災の被災地で学ぶ耳の不自由な大学生を支援しようと、西宮市の関西学院大で10日、携帯電話を使って届いた講義の音声を即座に文字化し、現地の学生に届ける取り組みが始まった。宮城県の4大学から要請があるといい、関学大をはじめ全国11大学で分担し、支援に当たる。
聴覚障害のある学生のサポートは、ボランティアの学生らが隣に座ってパソコンや筆記で講義内容を文字化する「ノートテイク」が一般的。しかし被災地では、こうした学生の確保が難しい状況といい、聴覚障害学生を支援する大学間組織が、遠隔地からでもサポートが可能な今回の取り組みを企画。関学大などが、呼び掛けに応じた。
教官の胸元にマイクを取り付け、聴覚障害のある学生が持つ多機能携帯電話(スマートフォン)を通じて、音声を支援側に伝達。入力された文字を、ほぼ同時に携帯画面で閲覧できるという。
ノートテイクのボランティア学生が約170人いる関学大は、聴覚障害の学生9人が在籍する宮城教育大を担当。関学大法学部4年の女子学生(21)は「板書などを見られないので、難しい点もあった。改善点を相談しながら支援を続けたい」と話していた。(田中真治)>(<聴覚障害の学生に講義録作成 関学大生ら被災地応援/神戸新聞ニュース/2011/05/11 10:26>)
このニュースの "主役" は言うまでもなく "ノートテイクのボランティア学生" である。"IT 環境やスマートフォン" は、いわば "名脇役" ということになろうか。
高性能 "スマートフォン" が乱立するこの環境にあって、実を言えば、ヒューマンな "主役" たちこそがスクッと立ち現れる番なのかもしれない...... (2011.06.01)
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