"電子書籍制作" と言えば "ePub" フォーマットでの制作が定番ではある。もちろん間違いではない。"柔軟かつ総合的な可能性" を秘めた "ePub" 形式で制作することが王道であろうと思われる。
だが、制作のフォーマットだけに囚われず、"eBook Reader アプリ(i文庫HD、Copper Readerなど)" 側に目を向けておくことも大事だと思える。
優れた "reader アプリ" も存在するのだし、また、"縦書き、ルビふり" など、"ePub" 形式での実現ではこの先多少とも時間がかかりそうな事情もあるからだ。
先日も、 "Android" の "apk(アプリケーション)" である "Copper Reader" では、横書きの "ePub" を、見事に "縦書き" 表示させてしまうことについて書いた。
―――― 未だに "ePub 電子書籍" の "縦書き" 仕様については妙な思い入れをしているのだが、先日来、関わっている "Android" のジャンルでは、電子書籍リーダー側でオリジナルの "ePub 電子書籍" が "横書き" のものを、実に鮮やかに "縦書き" 変換表示してしまう優れモノがあったのだ。実際、自分もこの間の "Android SDK エミュレータ" でのテストで試してみたのであるが、これがなかなかイケル! その Android 向け "apk(アプリケーション)" とは、"Copper Reader" のことだ。< Android向け縦書き対応電子書籍リーダー Copper Reader
( Android向けフリー電子書籍リーダー"Copper Reader"の"縦書き対応"はスマート!( 当誌 2011.04.15 ) )
Copper Reader は Copper Engine の自動組版技術をベースとして、Android OS 採用端末向けに開発された電子書籍リーダーです。
世界的な標準である「EPUB形式」の電子書籍を高速に表示するだけでなく、高品質な縦書きへのリアルタイム変換表示にも対応しているのが特徴です。
縦書き表示への切り替え
現在、EPUBの電子書籍規格は横書きだけですが、Copper Reader ではファイルに一切手を加えないままの、リアルタイム縦書き変換表示をサポートしました。横書きの電子書籍を、「ブログ出版局」で培った高品質な縦書き組版で読むことができます。>(Copper Solution)
また、これに匹敵する成果が、"iPad/iPhone/iPod touch" 系のアプリである "i文庫HD" によっても達成されているわけだ。両者ともに "めくりアニメーション" も備えているから、"縦書き" などの日本語表示好みの読者も不満を言うことがないはずだ。
"i文庫HD" についても、以前に次のように書いた。
―――― ところで、今回は、"iPhone 4,iPod touch" における "SkyBook" と同じ意味合いで人気を集めている "iPad" 専用版の "i文庫HD (iPad専用App)" についての話題なのである。......
このアプリで "青空文庫" を読むという一般的、ありきたりな利用法についてはおくとして、関心を向けたのは、次の点であった。
<あなたが作ったファイルも i文庫HDで
あなたが書いた文章なども簡単に i 文 庫 H D で読むことができます。
テキストファイルや画像ファイルを、まるで出版された本のように楽しんで下さい。><カスタマイズ自在/i文庫HD/ベンダーサイト>ところで、当アプリが扱えるファイルについての説明では、
<使用できるファイル形式
フォルダ機能で使用できるファイル形式は以下の通りです。
その他は転送できても閲覧することはできません。>(<使用できるファイル形式/i文庫HD/ベンダーサイト>)とあり、"txtファイル"、"zipファイル"、"pdfファイル" が指定されている。
<フォルダ機能......>というのは、ユーザが使用中のPCから、所定のファイルをこのアプリ向けに転送できる "フォルダ" とその関連機能を指し、その転送方法としては3種類が挙げられている。
① FTP転送
② URL指定ダウンロード
③ USB転送もっとも簡単なのは、"iTunes" を利用した "③ USB転送" ということになろう。
実際に、"③ USB転送" の方法を使って試してみると、簡単にファイル転送が実現された。アプリ画面の最下段にあるメニューボタン、<フォルダ>をタップしてみると既存のフォルダと並んで、転送したファイル名がリストアップされているのがわかる。
( "i文庫HD(iPad専用App)"で、"自炊PDF電子書籍"や"自作Textファイル"を読んでみる( 当誌 2010.12.01 ) )
そして当該ファイルをタップしてみると、<情報>というウィザード小画面が開く。
ここで、このファイルを書籍として並べる<本棚>をセレクトしたり、<詳細設定>での各種設定(<本棚>に並ぶ際の<表紙の変更>、<表題の変更>という編集であるとか、<縦書き/右開き、横書き/左開き>の別のセレクトなど。"縦書き"、"横書き" の選択がオリジナルとは関係なく選べるのがうれしい!)を行うことになる。
その上で<読む>をタップすると、鮮やかに、 "めくり感覚" 機能付きの "電子書籍" が展開し始めるのである。
このように、電子書籍対応 "readerアプリ" の中には、人気があり、かつ実力も十分に備わった優れモノがある。電子書籍制作に携わる者としては、これらをもしっかりと視野に入れて、カスタマーのニーズと予算に対応すべきではなかろうか...... (2011.06.21)
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