"電子書籍" での読書に熱を入れ始めると、"読みたい本" を探すのに結構手間取ることを実感する。
その点、"紙の書籍" の場合には、とりあえず "Amazon" での書籍検索をしてみると、多少出版時期が古いものでも何らかの手掛かりを得ることができて助かる。
そろそろ "電子書籍" に関しても、こんな簡便なイメージで探せないものかと思ったりするのである。
今のところ、"電子書籍" については、「こんな "電子書籍" コンテンツがあるから読んではどうですか?」という "デバイス主導型" の案内が一般的であり、逆に、「こんな本(例えば古典など)は "電子書籍" となっていませんか?」という読み手側のニーズに沿う "読み手主導型・読み手検索型" の環境にはなっていない。
"電子書籍" の数量も増加しているようだし、なお一層の "電子書籍" 普及・発展を目指すのならば、この辺で、出版済み "電子書籍" を総合的(横断的)に案内し、スピーディな検索も可能であるような "電子書籍用ポータル・サイト" のようなものが現れても良さそうに思うのである。こんなことを望むのはまだ時期尚早なのであろうか......。
こんなニーズを自覚させられたのにはいくつかの原因がある。
その一つは、現状の環境が分散的で煩わしいことや、その上それらのそれぞれの水準も決して上出来の水準には至っていない点がある。
"iPad/iPhone/iPod touch" 向けで、"iTunes" の内部で、"iTunes Store" や "iTunes U" を物色し回っても、どこにどんな Book が置かれているのか今一つ分かりづらい。まあ、一応 "検索窓" も設置されているからいいようなものであるが、決して使い勝手が良いとは言えまい。
また、"Kindle" ならば、"キンドルストア" に出向くことになるし、"青空文庫" ならば同サイトということになる。さらに、"Android" であれば "アンドロイドマーケット" ということになるのはもちろんである。その他、個別の "アプリ Reader" を含めると、出向く先が多過ぎる(?)というのが実感だ......。
こうした現状を、こんなもんでしょ、と当然視するのか、何とかならないものかと感じるかで感想は異なってくるのではあろう。だが、主役は "読み手" なのであり、お客様は神様なのだとすれば、神様を引き廻していいはずがない......。
今一つ、これを書くきっかけとなったのは、以下のような記事があったからでもある。
―――― <インプレスR&Dと大日本印刷が 読者の電子書籍読書環境を一元化するための 「オープン本棚(仮称)」を開発
インプレスグループで法人向け情報コミュニケーション技術関連メディア事業を手がける株式会社インプレスR&Dと大日本印刷株式会社は共同で、読者の利便性を最大化するための電子書籍用ソフトウエア「オープン本棚(仮称)」を開発しました。
この「オープン本棚」は、読者が文書フォーマットやビューワの異なる複数の電子書籍販売サイトで購入した電子書籍を、一元管理する本棚を作ることができるものです。
オープンな電子書籍流通の環境整備を目指し無償で提供する予定です。
現在、電子書籍にはさまざまな文書フォーマットやビューワが存在しており、読者が利用する読書端末も異なっています。電子書店によって、文書フォーマットやビューワ、対応端末に加え、利用方法も異なることから、通常、購入した電子書籍を整理・収納する本棚は、電子書店別に提供されています。このため、読者は、異なる電子書店から電子書籍を購入した場合、それぞれの電子書店の独自ルールに従って、複数の本棚を使用しなければなりません。また、しおりやアンダーラインなどの機能も共通化できません。このような状況を受け、両社は電子書籍の読書環境を統合するインターフェイスとして「オープン本棚」を開発しました。......>( インプレスR&Dと大日本印刷が 読者の電子書籍読書環境を一元化するための 「オープン本棚(仮称)」を開発/株式会社インプレスR&D 大日本印刷株式会社/2011年7月7日 )
この「オープン本棚」は、必ずしも、このエントリーでの関心の焦点である "読み手が読みたい本を探す" というニーズに応えることになるのかどうかは不明である。が、<オープンな電子書籍流通の環境整備>という点で "読み手主導型" の環境に接近していることは確かであろう。
こうした試みが積み重なって、"読み手主導型・読み手検索型" の、いわば "電子書籍用ポータル・サイト" 的なシステムへと進化を遂げてくれると有難いと思えた。
いずれにしても、"物珍しさ" で客寄せ(?)をするステージから次のステージへと進化しようとしている "電子書籍" にとって、よりスムーズでリーズナブルな "流通" を可能にするための環境整備は重要な課題だと思われる...... (2011.07.18)
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