"電子書籍"ビジネスの関係企業は、"日暮れて途(みち)遠し"の困惑の最中なのか? ......

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 脳味噌が沸騰(?)でもしそうなこの猛暑の中、東京は有明の会場で "第15回電子出版EXPO" という、"電子書籍" イベントが開かれていたようだ。

 ◆ 参照 電子書籍めくり放題! 有明で"電子出版EXPO"開催/ASCII.jp×デジタル/2011.07.07

 大体、自分はこの種の "お祭り(EXPO)" なぞは、でぃ嫌い! と言うか、肌に合わないと言うかなので、とんと関心を向けなかった。
 パッとする商機に乏しい今のIT業界にあっては、何が何でも "電子書籍" ジャンルをヒートさせたいという関係者たちの、その期待と意欲は分からないわけではない。
 しかし、日本勢はどうも "空転(?)" しているかのような印象が払拭し切れない......。
 Apple、Amazon、Googleといった米国勢による荒技の "土地区画整理事業(?)" に対して、マイホームのささやかな庭の図面引きでもやっている、という印象か......。

 公表されていた "セミナー・イベント" でのテーマを覗いてみても、あっ、行けば良かった! と思わされるものは乏しかった。
 『ソーシャルネットワーク時代の「読書」の可能性』あたりに、幾分かの妥当性を感じたものだったが、『利益を生みだす電子出版物制作手法の最適解とは ~スピード・コスト・スキルの課題解決について~』なんぞは、このジャンルはそうした商機が持ちこめる領域なんですかねぇ? という違和感さえ禁じえなかった。
 つまり、"電子書籍" とは何であり、今後どう展開して行くのか、という本質的議論に関する "予見性" に満ちたビジョンが見えてこない、と感じさせられるのだ。

 表題に、"日暮れて途(みち)遠し"と揶揄した動機は二つある。
 その一つは、未だに "ローカルな eBook Reader" 作り(ユーザーを囲い込もうとするアナクロニズム!)に拘泥している点である。二、三周遅れの "後発" で、米国勢が既設して席巻してしまっている "オープン" なスタンダーズにどう立ち向かおうというのか......。先日も以下のように書いた。


―――― < とある "eBook-Reader" を試してみた。
 特に、何かがあるかもしれないと期待を抱いたわけでもなかった。どちらかと言えば、「どうしてこんな "ローカル(!)" な仕掛けに誘い込もうとするのかなぁ?......」という不可解な思いがあったからかもしれない。
 ちなみに、このライブラリーは、"他の一般的な eBook-Reader"(たとえば、"ePub電子書籍"向けの Reader や、"text Reader" 、"PDF Reader" 、ブラウザなど)で読めるものかと "査定" してみたのだが、案の定、これらのライブラリーは、これら向けの "固有の Reader" でしか読めない!
 なるほどネ、モノ分かりの悪い企画者がプロデュースするとこうなるんだ! と合点したものだった。
 ......そんな脈絡もないままに、せっと目先の仕掛けの彫琢に専念して、ユーザーを囲い込もうとするアナクロニズムには不快感を禁じえない。......>
"ePub電子書籍"スタンダーズの時代に、ユーザー囲い込みのeBook-Readerは無用!( ADHOCRAT 2011.07.07 )


 もう一つは、"電子書籍" という特殊なプロダクツに関して "新たな定見" が何ら用意されているとは思えないからである。
 もし、ビジネスサイドが "電子書籍" の制作・販売に関与する際に、従来、"紙の書籍" の大手出版企業が採ってきた "マスメディア動員型" の販売スタイルをそのまま踏襲できると考えているのだとすれば、勘違いも甚だしいと思われる。仮に、現時点ではその方法による効果の名残を刈り取ることができたとしても、近々、想像を超えて "無効化" して行くに違いないからである。
 この辺りについては相応の説明を要するところであるが、今は、前記の『ソーシャルネットワーク時代の「読書」の可能性』というフレーズ周辺にだけ関心を向けておきたい。

 多分、<本と本の読まれ方はいかに変わっていくか?>(佐々木俊尚『電子書籍の衝撃』/ディスカヴァ一携書/2010.04.15)をリアルに問うならば、注意を向けるべきは一点に収斂するのではないかと思っている。
 佐々木氏は、読み手側が読み手側として "再・受けとめ" し直すことを<リパッケージ>と呼び、以下のように解説している。

<(リパッケージとは)マスモデル的なパッケージではなく、
「自分にとって面白いか」
「いま興味あることに内容が近いか」
「自分の人生との接点があるか」
「自分が参加している場で盛り上がっているコンテンツか」
といったコンテキストだからです。そうしたコンテキストは、マスメディアやランキングではなく、小さな圏域でしか流れません。そういう小さな圏域でこそ、同じような好みの本を探しやすくなるのです。......
 そしてこのようなミニマム(最少)化した情報圏域は、いまや日本の社会にも大きく広がっています。
 それがソーシャルメディアです>
(同上)


 他の製品/商品でも、生産・販売側による "マスメディア動員" の "触れ込み" が奏功しにくくなっていて、消費者側での独自の "再・受けとめ" が影響力を発揮しつつあるのがシビィアな現状かと思われる。
 まして、本、"電子書籍" は、読み手側のまとまった価値観(価値感)・世界観(世界感)と密着せざるを得ないプロダクツであろう。
 こうしたある意味で "ナーバス" な商品についてビジネスをしようとする側ならば、それ相応に深みのある "定見" を持つことが不可欠であろう。それがなくてただ "知名度" だ、"営業力" だとどうこう言っても何も始まらないのが現在ではなかろうか...... (2011.07.10)













【 SE Assessment 】 【 プロジェクトα 再挑戦者たち 】








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