"電子書籍" 制作に携わる者は、"制作" 段階以前の "読書経験" 段階での "電子書籍" システムの "メリット" の諸々を実感しておくことが重要だろうと思っている。
これまでにも、"辞書" 機能や "読み上げ" 機能にこだわってきたのもこうした観点からであった。
今回は、"iPad/iPhone/iPod touch" 向けの "iBooks" の標準装備機能である "メモ" 機能に関心を寄せている。
"メモ" 機能は、本体に単独アプリとしても備わっているが、ここでの話は、"iBooks" で "ePub" 書籍を読む際に活用できる "メモ" 機能のことなのである。
"辞書" 機能と同様に、ページの任意の(textなどの)部分を "長押し" して部分選択をすると、"コピー 辞書 ハイライト メモ 検索" というメニュー・バーがポップアップするので、ここで "メモ" の項をタップすれば、"メモ入力用紙" が表示され、入力できるようになる。
これだけのことでしかないが、相応のメリットが見込めると思えた。
先ず、(1) "メモ" が残せることによる"自分独自の読書体験" が可能となるという点があるだろう。こうした "メモ" を書き残すことによる"読書体験" の深化は、あながち馬鹿にしたものではなかろう。
しかも、(2) この "メモ" は、同一 "電子書籍" を複数のデバイス、iPad/iPhone/iPod touchなどで読書中の場合、任意のデバイス、"iPod" なら "iPod" で "メモ" 入力をすると、残りの他のデバイスすべてに "自動同期" され、どのデバイスの "電子書籍" を起こしても "共通した内容" の "メモ" を読むことができる。ちょっとした "手品" めいているが、一々、PCの "iTunes" に繋がなくとも、 "Wi-Fi" (3G)水準で "自動同期" 処理されるのだ。
それがどうした?! と言われればそれまでである。この "同期" は、読書中の "付箋/しおり" では知られた機能であろうが、"メモ" についても可能である点は意外と知られていないのかもしれない。
いや、"読書の実質的な軌跡" とも言えるこうした "メモ" 活用において、デバイス間の "同期" が図られるのは、結構、使えるかと思えたのである。
以下、この実際を "iPod touch" と "iPad" との間で試したので紹介しておきたい。
( 1 ) 先ず、"iPod touch" 側で、読書中の "電子書籍" のとある箇所(ここでは、ページ全体に表示された表紙)を "長押し" して選択し、メニュー・バーが表示されたら "メモ" の項をタップする。
( 2 ) "メモ" 入力スペースが表示されたら、"メモ" の内容を入力して "終了" ボタンをタップする。
( 3 ) すると、ページ全体が "色枠" (色は指定可能)で囲まれると同時に、 "右上" に "メモ" のあることを知らせる "小さな紙片" が貼り付けられる。これをタップすれば、いつでも "メモ" が再表示される。
( 4 ) 次に、"iPad" を起動して上記と同一の "電子書籍" を開いてみる。この前に "iPod touch" 側の "電子書籍" は終了させておく。
すると、先ほど "iPod touch" 側で入力した "メモ" と"色枠" とが、同じパターンで再現されているのが分かる。"メモ" を開いてみると、入力内容にも問題がないことが確認できる。
( 5 ) 今度は、"iPad" 側で入力したものが、"iPod touch" 側に "同期" されて反映されるかどうかを試すことにした。赤線部分を追加修正してみたのだ。
( 6 ) そして、"iPod touch" 側を開き、同一 "メモ" を開いてみると、以下のように "iPad" 側で追加修正入力をしたとおりに変更されているのが確認できた。
この"iBooks" での "メモ" 機能については、この "発展形態" があればなお有難いのてはないかと考えたりしている。
例えば、"メモ" 内容に関して、書籍単位で "一括管理" が可能となり、"読書ノート" 風のものにまとめ上げることができたり、さらに言えば、これらのデータが "SNS" 水準で公開・共有できたりという風にである。
いずれにしても、"読書体験" を充実させるツール類を期待し得る、そんな "電子書籍" こそが求められているように思われてならない...... (2011.07.19)
コメントする