"電子書籍"という"読書体験難民救済ヘリ"は、"読書体験=ヤバイ経験"を救うか? ......

| | コメント(0) | トラックバック(0)

 読書とは本来、プロセスを楽しみ、苦しみ、そのプロセスで自身の脳と心とが撹乱され、そこで崩れたバランスを急いで取り戻そうとするような、そんな結構 "ヤバイ経験" なのかもしれない。(自身の頭で考えるということは、どんな場合でも "ヤバイ経験" であろう!)だから、"読書" なんぞと軽々しく(?)呼び捨ててはいけないわけだ。少なくとも、語尾にワケがわからないにしても二文字を絡ませて、"読書体験" とでも言った方が良さそうである......。
 しかし、"本来の読書" というものは、書籍コンテンツにビルトイン(エンコード)されたお宝を、デコードし切る読み手側の "想像(想像)力" を大前提にしていたのではなかったかと思ったりする。
 ところが、現代人たちはそんな "古風なパワー" を持ち合わせているとは言い難い。TV画像に、会話音声などが一々字幕としてスーパーインポーズされるご時世であるから、より確かな知覚以外は用無しということになっていそうだ。"想像(想像)力" のような "リスキー(?)" さの塊(かたまり)みたいなパワーは視野の外へと追い出されていそうでもある。

 ここに最大のミスマッチが喰い込んでいるのであろう......。"想像(想像)力" を暗黙のうちに大前提としている本来的な "読書" と、もはや "想像(想像)力" を度外視し始めた現代人とその環境!
 正直言ってこれじゃあ、"読書" は成立しようがない......。"想像(想像)力" なんぞを一切必要としないハウツーもののような書籍制作に限定するか、衰退した "想像(想像)力" をさまざまな角度からサポートするような読書環境を提供する以外に、"読書" の推進策はないかのようだからだ。
 それで......、ということもないのかもしれないが、 "電子書籍" の出現とは、読書を前にして体力(想像力)に喘ぐ現代人たちを支援し、救済すべく、"読書体験難民救済ヘリ" よろしく降り立った......、と考えたらシニカル過ぎるであろうか......。

 新しくデビューするIT機器やニューメディアというものは、従来型アナログ製品よりもはるかに "高性能" であることを看板にして登場するものであろう。その中には "低価格、利便性" という代表的メリットが含まれる。
 "電子書籍" も同様であり、"情報量の飛躍的拡大"、いつでもどこでも入手可能といった "アンビエントな環境"、"ポータブルな利便性" などなど列記すれば切りがない。
 これらのメリット群が、人々の "読書" を促進するであろうことは間違いはない。

 "だが、待て" と言わなければならない。
 人々が "読書" から遠ざかっていた(とするならば)その理由は、何だったと考えられるのであろうか?
 確かに、"紙の書籍" は嵩張り、持ち運びにも蔵書管理にも不便である。読みたい時に入手できないといった "非・アンビエントな環境" も意を削ぐことになっていた。
 しかし、人々が "読書" から遠ざかっていた(とするならば)その理由は、そうした "外部" 環境の問題がどうこうというよりも、われわれの "内部" 環境の変化自体に棹差していたような気がしてならない。
 本来的な "読書" が不可避としてきた "ヤバイ経験"、つまり<自身の脳と心とが撹乱されて、崩れたバランスを急いで取り戻そうとする>、そして否応なく、"想像(想像)力" を駆使したり、自身の頭で考えたりする、そんな "体力" を、哀しいかな喪失してしまっていることが、"読書" を遠ざけているのではなかろうか......。

 だとすれば、"外部" 環境のスマートな改善のレベルだけで "電子書籍" のメリットを多々付け加えたとしても、やがて訪れる "読書" 離れへのリバウンドは時間の問題だと言うほかなさそうだ。
 もし、"電子書籍" というものがホントの意味で "読書体験難民救済ヘリ" であろうとするならば、"電子書籍" のメリット探し! は、別の視点でなされなければならない。
 "外部" 環境改善のレベルだけで模索されるのではなく、"読書" という "ヤバイ経験" に立ち向かって、それでもなお "読書体験" に臨む者たちをどう支援するのか、それに役立つ支援環境が、どんな風に用意されるべきなのか......、というレベルで、"電子書籍" のメリット探し! は行われる必要がありそうである。

 もう一度、<新しくデビューするIT機器やニューメディアというものは、従来型アナログ製品よりもはるかに "高性能" であることを看板にして登場するものであろう。>に戻って考えてみる。
 この<新しさ>の中には、文字通りの "新規性" とともに、現代の環境が現代人から奪ってしまった何か(現代人が喪失してしまった何か)、それを "代替的に補填する" 機能というものが含まれていそうである。
 その典型は、"時間(忙しさ)" であり、それを "代替的に補填する" 機能として "効率性、便利さ" という "時間節約" 機能が盛り込まれていると考えられる。

 しかし、"電子書籍" の場合を考えると、"代替的に補填する" ための機能としては、"効率性、便利さ" だけでは圧倒的に不十分であろう。
 書籍の検索・入手などでは "効率性、便利さ" は、確かに読み手を支援する。だが、前述したように、"読書体験" での本質的問題は "効率性、便利さ" のレベルにあるのではなく、"ヤバイ経験" への "対処パワー" 自体の衰弱のようだからである。
 したがって、これを支援、サポートする機能こそが、"電子書籍" のホントのメリットだと見なし得る
......。だが、これはとてつもなく難しい機能のはずではないか。
 と言うのも、もし完全な支援、サポート機能が働くとした場合、"読書体験" からは一切の "ヤバさ" がスポイルされ、それではもはや "ヤバイ経験" としての "読書体験" ではなくなってしまうからである。この課題は、"自立性" 教育の難しさに似た気配がありそうだ。

 となると、"電子書籍" のホントのメリットはどのように模索されるのか? あるいは、どのような機能として盛り込まれるべきなのか?
 簡単に例示できないのが残念であるが、この間こだわってきた "辞書" 機能や、"読書ノート" 作成にもつながる "メモ" 機能、あるいは "読書体験" の共有につながる "SNS" へのリンクなどが乏しい構想力で浮かんでいるヒントなのである...... (2011.07.21)













【 SE Assessment 】 【 プロジェクトα 再挑戦者たち 】








トラックバック(0)

このブログ記事を参照しているブログ一覧: "電子書籍"という"読書体験難民救済ヘリ"は、"読書体験=ヤバイ経験"を救うか? ......

このブログ記事に対するトラックバックURL: http://adhocrat.net/mt/mt-tb.cgi/1590

コメントする

2020年11月

1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30          














関連サイトへのリンク


  • 電子書籍(eBooks)制作にフォーカスしたサイト
  • 明けない夜はないことを確信するサイト
  • Green(地球環境改善)にフォーカスしたサイト
  • ソフトウェア技術者やSEのための評価と育成、人事考課制度を考えるサイト
  • さまざまな業種・業態でご利用可能なモバイル活用の予約システム!
  • 創作小説『海念と保兵衛』のサイト
  • 創作小説『かもめたちの行方』のサイト
  • 当ブログ推奨の商品を展示したAmazon ストアー!
  • 当AdhocBlogブログの過去のエントリー
  • 株式会社アドホクラット当時のサイト

★売れ筋! No.1!
家庭用"放射線測定器"

日本通信 bモバイルWiFi ルータ+1 ヶ月定額SIM BM-U300W-1M
価格:¥ 20,208
国内配送料無料 Amazon





このブログ記事について

このページは、yasuo hiroseが2011年7月21日 00:01に書いたブログ記事です。

ひとつ前のブログ記事は、
 「"iBooks"での"メモ"機能活用で、"My読書ノート"作り,"SNS"での読書情報共有も! ......
です。

次のブログ記事は、
 「"電子書籍"での"インタラクティブ(!)読書"は、"読書体験"の充実/深化に繋がる?! ......
です。

最近のコンテンツは、
 インデックスページ
で見られます。

過去に書かれたものは、
 アーカイブのページ
で見られます。

年月別アーカイブ

最近のトラックバック