"あるべき姿の電子書籍"への鍵!"独自アプリビューワ"の解消!/"SNS"との融合! ......

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 "電子書籍" が本格的に社会に定着して行くためには、単に新規デバイスへの "技術的興味" や、あるいは "秀逸なコンテンツ" 登場といった条件だけではムリであろう。
 "電子書籍" の社会的定着には、多方面でのイノベーション活動が必要だと思われるが、象徴的な言い方をするならば、(1) 垣根を解消すること、(2) on-line上での "off 会" 的要素の整備、とでもいうことに尽きそうな気がする。
 要するに、意味のない "閉鎖的分散化の基盤" を取り除き、その上で、"読み手間における読書体験の交換" が充実したかたちで展開する、そんな環境を創ること。これ以外にないと思われる。


 (1) "垣根を解消すること" とは、"独自仕様" の "アプリビューワ" である "eBook Reader" が乱立することによって、結果的には、"電子書籍" の読み手たち間での意思疎通が妨げられているわけで、この現状は解消されることが望ましい、という点なのである。
 もっとも、"ePub(3.0)" フォーマットという国際標準普及が進展することで、ローカルな "垣根" は次第に解消れて行くのだろうとは思う。

 なお、この "独自仕様" の "アプリビューワ"をめぐる点に関しては、以下のエントリーを参照。

―――― <...... 今や "オープン・ソース" の時代である。それが "ユーザー・フレンドリー" と言うものであろう。  ユーザーが負担した "有料データ" は、どんなに時代環境が変わろうとも、新規の "デコーダー"( "eBook-Reader" )で、問題なく再生される! というのが常識的自然なのではなかろうか。  したがって、 "固有の eBook Reader" で挑みたい "メーカー(ベンダー)" は、それはそれとして自由だしても、少なくとも "他の一般的な eBook-Reader" でも読むこと可能という配慮をすべきだと思う。......>"ePub電子書籍"スタンダーズの時代に、ユーザー囲い込みのeBook-Readerは無用!( ADHOCRAT 2011.07.07 )


 (2) on-line上での "off 会"( 注 ) 的要素の整備とは、これまで "紙の書籍" では、"孤立した読書体験"(= "孤読" )しか望みようがなかったわけが、"電子書籍" のネット環境的メリットを活かすならば、当然、"SNS/Social Network Service" がもたらす成果と "融合" してよい、ということなのである。
 その中身は、読者間での読後感想交換から始まって、書き手側との意見交流に至るさまざまなコミュニケーション・パターンが想定できよう。
 別に、文字通りの "off 会" を想定しているわけでもないが、 "インフォーマルな交流の場" をイメージした時に、パソコン通信時代のこの言葉が浮かんできたのである。

 ( 注 ) <オフ会 【off-line meeting】 パソコン通信やインターネット上で活動するグループに所属するメンバーや、ネットワーク上の特定の掲示板・チャットなどによく出入りする人々が、実際に集まって行う会合のこと。ネットワーク上、すなわち「オンライン」に対し、現実世界を「オフライン」としてこのような呼び方がされている。ネットワーク上の知り合いが実際に顔を合わせる数少ない機会の1つであり、主に談笑など、インフォーマルな催しとして行われる傾向が強い。>IT用語辞典より)

 "紙の書籍" に対する "電子書籍" としてのプラスαという点では、実は、この "SNS" との融合! という側面はきわめて重要だと思われる。この側面での充実こそが、"電子書籍" 普及での有効なエンジン機能を果たすのではなかろうか。
 この点に関しては、以下のエントリーを参照。

―――― <...... 現代の環境における「読書」(とりわけ "電子書籍" 読書)が、もはや "ソーシャルネットワーク" 環境、あるいは "SNS / Social Network Service" の環境に大きく依存していることは軽視できない。いや、重要な課題に転じているのではないかと思う。  漠然とした "インターネット" 環境と言わずに "ソーシャルネットワーク" 環境と限定する点にこそ意を払わなければならない。  "ソーシャルネット" 呼ばれるものが、比較的 "スモール" であり、"インフォーマル" であること、言ってみれば "無縁社会" と懸念される現在にあって、"新しい縁" 作りへの可能性が残された貴重なコミュニケーション・チャンネルだという点に着目する必要があろうかと思う。......>"電子書籍"ビジネスの突破口は、やはり"SNS/Social Network Service"に潜むか?( ADHOCRAT 2011.07.10 )


 ところで、今日、まるで "念を押す" ようにこれらについて書いているのは、"電子書籍" についてのこうしたビジョンを思い描くのは、決して自分だけではないことを知ったからなのである。
 そこで、それらについて以下引用して紹介しておきたいと思う。

―――― アプリのビューワはもう古い?――ソーシャル時代の電子書籍のあるべき姿とは  [池田憲弘,ITmedia]

7月7日~9日に東京ビッグサイトで行われた「国際電子出版EXPO」において、Webブラウザを用いた電子書籍ビューワ「Books in Browsers」を展示したボイジャー。そのボイジャー代表取締役の萩野正昭氏が、同イベント内で行われたセミナーで本の未来研究所 代表のロバート・スタイン氏と、これからの電子書籍のあるべき姿について対談を行った。

どのデバイスを使っていても同じ体験を
 電子書籍の過去を振り返り、未来を語るというテーマで行われたこのセミナーは、ボイジャーの電子書籍に対する取り組みを振り返った後、ロバート・スタイン氏が、現在進行している「ソーシャルブック」プロジェクトについて紹介した。

 映像や音声などのリッチコンテンツを取り込んだページをオンライン上で展開し、コミュニティーを形成することで、本をソーシャル体験ができる場所にする――これがロバート氏が語ったソーシャルブックプロジェクトの概要である。これはソーシャル時代の読書体験を示しているともいえるだろう。
 このソーシャルブックを実現するための前提としてロバート氏は「各社独自のアプリやビューワを使うのではなく、あくまでブラウザで作品を読めるようにする必要がある」と述べた。iPhone、Android端末など比較的近年に登場したデバイスだけでなく、CD-ROMで電子書籍を作っていた時代ならばWindows用、Mac用など、ユーザーや時代によって環境やデバイスはさまざまだ。それぞれの環境に特化したビューワを使っていては、規格の違いなどから情報共有の妨げになってしまう。どのようなデバイスを使っていようとも、すべての人が同じ条件で、同じ環境で読書ができること、これこそがソーシャルな読書体験に必要な条件だというのだ。

 ロバート氏は続けて、このソーシャルな読書体験、ソーシャルリーディングには以下のような4つの要素が存在すると述べた。

 ・知り合いと本について語り合うスペースがあること
 ・同じ本を読んでいる人のコメントにアクセスできること
 ・書籍の内容に関する専門家の解釈が読めること
 ・本の作者とコミュニケーションが可能であること

 これからの電子書籍はこのような機能を軸に進化していくとロバート氏は話す。ただ、このアイデアは決して新しくはないと記者は考える。昨年、三井ベンチャーズとティーガイアが共同で開催した、次世代携帯電話向けのアイデアプランコンテスト「i*deal Competition 2010」で最優秀賞を受賞した「Layered Reading」に代表されるように、電子書籍の進化を考える上でソーシャルネットワークとの融合は多くの人が考えていたのではないか。しかし、今のところ機能として具体的に実装はされていない。

 主な理由としては、日本国内ではデジタルコンテンツやソーシャルネットワークにおける著作権の法整備が不十分であることや、ソーシャルネットワーク上で文章の一部や作品の内容についての情報交換がされることで、書籍の売り上げが下がる可能性があるという懸念から、出版社がソーシャルネットワークの活用に慎重になっていたということが挙げられる。だが、ソーシャルネットワークとの融合こそが、電子書籍が人々の生活の中に受け入れられるためのカギなのではないだろうか。ソーシャルブックプロジェクトの話は、多くの人が望んだ"未来の電子書籍"が実現へと動き出した、という印象を受けた。>アプリのビューワはもう古い?――ソーシャル時代の電子書籍のあるべき姿とは/eBookUSER/2011年07月13日 08時00分 更新


 なお、この記事の末尾にある<ソーシャルネットワークとの融合>が躓いている理由の指摘は、重要なことであろうと思う。
 ここでも "問題!" は、"非・技術的" 現実に根を張っている、そんな真相が見えてくるからである。
 くれぐれも、"電子書籍" 関係者は、"技術的" 分野の輝かしい事柄に目を奪われていてはならない、ということになろうか...... (2011.07.16)













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