この二、三日、<GoogleがMotorolaを買収>というニュースが大きく取り上げられてきた。そして、"9600億円" とも言われる買収額の大きさもさることながら、"端末製造(ハードウエア)参入" か!? という憶測が独り歩きすることにもなっている。
こうした文脈で、戦々恐々とした空気が立ち込めているのは、何も米アップル周辺だけではなく、同サイドの<Android連合>側にも "波風が立つ" 雰囲気だそうである。
ただ、どうも大局的には、<今回のGoogleによる買収は、Motorolaの特許がその狙いであるとみてほぼ間違いない。......少なくともハードウエアが主目的ではないことは明らかだろう。>と読むのが妥当なように思える。
以下、そうした内容・事情を興味深く伝えているサイト記事を抜粋引用しておく。
―――― <GoogleがMotorolaを買収、Android連合に影響もGoogleはMotorolaとの新しい関係が、悪影響を与えることはないことをパートナー企業に納得させなければならない。
Googleは、ソフトウェア業界でいつも恵まれた地位にあり、各メーカーの要求にも十分に応えている。GoogleはAndroidの生産を分け隔てなく認めており、各メーカーはGoogleから恩恵を受けている。しかし、この超大企業がMotorola Mobilityを買収するという本日付けのニュースを聞いて、各メーカーが懸念を抱くのも当然だろう。これまでとは打って変わって、Googleがえこひいきを始めるのではないか、と。
HTCをはじめ多くの会社が、Androidを無料で利用して携帯電話を開発し、多額の利益を得てきた。しかしGoogleがハードウェアに参入すれば、ハードウェアを製造するパートナー企業のいずれもがこの先、利益を受けられる保証はなくなり、さらにはMicrosoftのような競合するプラットフォームをもつ企業にも門戸が開かれる可能性がある。
「スイスのように中立を保ってパートナー各社にソフトウェアを平等に提供する一方、パートナー各社と個別に応対するのはなかなかできることではない」と、IT調査会社フォレスターのアナリストであるジョン・マッカーシーはWired.comに語った。「Googleは今大きなリスクを冒している。これからもチャンスは平等であると、パートナー会社に対し必死に説得に回らなければならない」。
Googleは携帯電話のオペレーティング・システム(OS)としてAndroidを開発し、2008年に携帯電話業界に参入した。それ以降、メーカー各社がAndroidを利用して自社のデバイスを開発・生産することを認めてきた。その結果、HTCなどの企業が急速に成長し、多くの利益を得ている。ソニーエリクソンやLGは、HTCと同様に携帯電話から収益をあげたいと考えている。
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Google本体、Sumsung、ソニーエリクソン、LGなど、どの声明も奇妙なほど似通っている。いずれも買収を褒め称え、(LGが述べるように)Googleが「Androidとそのパートナーたちと共に歩み続ける」ことを歓迎している。しかし、業界の専門家は、パートナー企業がこの先も無傷であるとは思えないと、懐疑的だ。
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「Googleは、パートナー企業と結束してAndroidのプラットフォームを推し進めてきたが、ハードウェア事業に参入することによってその結束がひどく弱まるかもしれない。そのリスクをあえて冒している」。フォレスターのアナリストであるチャールズ・ゴルビンは今日付けのブログにこう記している。
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「Sumsung、LGそしてHTCの製品戦略担当者が、Windows Phoneを利用したリスク・ヘッジ戦略を再検討することは確実である」。ゴルビンは記している。
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しかし、今回のGoogleによる買収は、Motorolaの特許がその狙いであるとみてほぼ間違いない。Motorolaが有する特許数は合計12,000から17,000といわれている。Googleは、現在係争中のロドシスの件や、Apple/Microsoft/Oracleとの訴訟合戦などを抱えているが、今回の買収によって将来数多く発生するかもしれない同様の知的財産訴訟から身を守ることができるかもしれない。Googleはハードウェアのために参入しているのではない、という見方が優勢である。少なくともハードウエアが主目的ではないことは明らかだろう。>
( GoogleがMotorolaを買収、Android連合に影響も/WIRED JAPANESE EDITION/2011年8月17日 )
こうしたニュースに接するごとに、皮肉にも気づかされるのは<シリコンバレーが仕掛けたスマホ戦争、日本勢の姿は見られない>という大前研一氏による以前の指摘(「存在感を強める米西海岸のサイバー企業、スマホ戦争でも優位に立つ」/大前研一の「産業突然死」時代の人生論 )であろうか...... (2011.08.18)
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