奇跡の"クロネコヤマトなでしこ"(外猫)/行方知れずの十日後に疲労困憊で生還! ......

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"クロちゃん"(1)

 こんなに "ささやかな事件" でも心揺さぶられるのが人間というもの。震災や巨大台風で身内の方が突然行方不明となったり、不幸な災難に襲われたならば、如何ばかりのご心痛かと察して余りある。
 事の発端は、先月の25日であった。
 朝、玄関のドアを開けると、親子二匹の "外猫" たちが待ち受けているはずであった。ことさら鳴き騒ぐミーコ(子)と、その声が食事合図とばかりに駆けつける親猫クロとの二匹である。
 ところがこの朝は、クロの姿が一向に見えない。いつもの舌打ちでの合図を付け足してみても、戻って来る気配がない。やや "不吉な予感" に襲われた。
 その後、昼過ぎと夕刻に与える餌の際にも、ミーコだけは幾分奇妙な面持ちで戻って来るのだったが、クロの姿はなかった......。


 "不吉な予感" に結びつけたのには、ちょっとしたワケがないではなかった。
 この朝に限って、電話の呼び出し音で起床させられたのである。家内は前日から実家のお母さんのケアに向かっていて留守であり、やむなく電話に出ることとした。が、出てみると、すぐに切れてしまった。着信履歴を確かめると、市内局番が同じだったところから、近所に発信者がいるらしいと思わせた。念のため、コールバックをしたがその後はつながらない......。
 そうしたことがあった後での "クロの行方知れず" だったことが、ワケのわからない "不吉な予感" を醸し出したのだった。
 さすがに "身代金目当ての誘拐" とまでは考えない。しかし、クロが何らかの事故に巻き込まれ、首輪のペンダントに刻んだ電話番号が手掛かりとなり今朝の朝一の電話に繋がったのでは......、といった"不吉な" 思いは打ち消し難かった。


 結局、この "不吉な予感" は、延々と十日間も支配し続けたことになる。
 そしてこの十日間というもの、能天気な気性の自分もさすがに居心地の悪い思いが続くのだった。
 失踪の翌日には、クロが、カーポートのコンクリート床をのそのそとこちらへ向かって戻ってくる、そんな弱々しい姿となって朝方の夢に現れた......。正直言ってかなり落ち込んだ心境に浸され続けた。
 生きものならば避けられない "死という別れ"、その哀しみや切なさを、しんみりと思い巡らさざるを得ない日々が続いた。
 一縷の望みといえば、何かの間違いで "遠方に転送" (?)されてしまったクロが、"猫の帰巣本能" で時間は掛かるもののひょっこりと生還すること......。
 そんなケースを想定したのにもワケがあった。かつてクロが、家内のクルマの中に紛れ込み、そのまま家内が三四日後に実家から戻るまでの間、行方知らずだったという、そんなとんでもないことが起こったからだ。
 今回も、宅急便(クロネコヤマト......)のクルマの車内に紛れ込み、どこかで飛び出たというような、本来ならありそうもないケースがまことしやかに想像されたのである。

 クロは、何故か "クルマ好き" のようであった。どうも、野良猫となる前の以前の飼い主が、頻繁にクルマに同乗させていたふしがある。
 飼い主と言えば、クロは元は近所の "寿司屋" 経営の若い夫婦に飼われていた。一時繁盛していた様子であったが、やがて夜逃げをしたという話を耳にし、同時に、クロがわが家の近辺をうろつき始めた経緯を覚えている。
 クロは、"クルマ好き" であるとともに無類の "刺身好き" でもあるが、その理由は "寿司屋" に飼われていた猫だったからだろうと勝手に思っている。
 姿を消したクロを慕う気持ちは、簡単に薄らぐことはなく自分を苦しめたのだったが、そんな気分に立ち上がって来るのが、せめてもう一度、"好物の刺身" を嫌というほどに食べさせてやりたかったという思いであったからおかしい。


 クロは、今どき珍しいほどに "食べること" に真摯(?)な猫であった。刺身ではなくとも、日頃のキャットフードでも決して食べ残すことがなく、プラスチック餌皿に転がる最後の一粒までを平らげる。まるで、戦時中の日本国民さながらなのである。
 さらに好感を与えるのは、仮に食べ残していたりすることがあったりすると、人の顔を見るなりすぐに餌皿に近寄り、その食べ残しを平らげようとさえする仕草である。
 そんな律儀さ(?)、ひた向きさ(?)もあってか、自分は、こうした野良猫(自由猫)であるクロを、内猫として飼っている二匹以上に気を許すことになっている。


 考えてみれば、昔は、野良猫なぞは珍しくないほど見かけたし、また野良猫たちがさほど不自由しない、そんな街の環境もあったかに思う。木造家屋が建ち並ぶ下町には、様々な "隙間" とともに "弱者への寛容さ" とでも解釈できる状況が惜しみなく振舞われてもいたような気がする......。
 ところが、今のご時世では、昔の下町、日本社会が "あぶれ者" を許し、振舞っていた寛容さをことごとく回収してしまった観がある......。だから、いわば野良猫たちは "野垂れ死に" と引き換えに "自由" を選んでいるのだとさえ見えたりする。
 自分が、クロのことを気に掛けるのは、そんな野良猫(自由猫)クロが、生き抜く知恵を疎かにせず、それでいて "毅然" とした姿勢も堅持しているかのように見えるからかもしれない。
 そうであれば、内猫を二匹を超えて増員ができない以上は、冬の耐寒を支援すべく "猫小屋" を設けてみたり、湯たんぽを支給してみたりと、自由猫を精一杯かばってやりたい気持ちが促されたりもするのだ。
 そんなこんなでこの十日間というもの、自由猫の鑑(かがみ)であったようなそんなクロにもう一度会いたい! という心境に苛まれ続けたものであった......。


 
"クロちゃん"(2)

 事態が急展開したのは、 "びっこをひくクロ" を、近所の奥さんが二三日前に目撃したと家内が聞きつけてきたことからであった。
 昨夜の夕食時にそんなことを家内がポロリと漏らした時、自分は、すぐさま箸を置き、懐中電灯を携えて表に飛び出るのだった。近所の道路の縁という縁を隈なく探索してみた。しかし、そうしていながらどこかに虚しい気分が漂うのを自覚した。こんなことは、ここ何日も繰り返しているのに叶わなかったのだから、今さらクロがひょっこりと顔を出すなんてことは......と。
 膳に戻って食事を済ませたが、再び、もしやと思って表に出る。
 そうしているうちに今度は、一計を図ることにしようと思った。もし、クロに何かがあって "身を潜めている" としたならば、その警戒心を解かなければ出てくることはなかろう。そうだ、"ミーコの鳴き声が誘い水" となるやもしれない、と思ったのである。
 幸い、舌打ち合図を繰り返したら、ミーコは「お呼びですか?」と言うように、どこからともなく姿を現した。そして、歩き出す自分の足元近くを、ミーコは、意味もなくニャオニャオと大きな鳴き声を出してついてくるのだった。ミーコの "シュプレヒコール" を伴って、夜のデモ行進が繰り広げられたというわけである。
 もし、近所の奥さんの目撃が正しかったとすれば、このミーコの鳴き声はしっかりとクロの耳に届くに違いなかろう。そして、長い日々の警戒心を解き、姿を見せるかもしれない......。


 三度ほど往復したが、何も起こらない。落胆気分に包まれながら家に戻ろうとしてカーポート越しに玄関に向かった......。ミーコのうるさいばかりの鳴き声も終わろうとしたその時であった。小さな奇跡(?)が訪れたのだ。小さく一声、ミャーとか細く鳴く声がどこからともなく聞こえた。聞こえたような気がしたのだった。その弱々しさゆえに、それがミーコのものでないことだけはすぐに分かった。
 ひょっとしたら! という素朴な期待感が背筋を走る。どこにその鳴き声の主がいるのは分からなかったが、とりあえず振り返ってみる。
 すると、わが家の向かい側のアパートの駐車場の暗がりの真ん中に小さな黒い塊が仄見えたのだ。思わず、懐中電灯がその塊を照らし出していた。
 そこには、スポットライトを浴びた主人公よろしく、赤い首輪をした黒猫が疲れ果てた格好でちょこんと座っている。
 ミーコも確認できたのであろう、その黒猫に駆け寄り身をすり寄せて甘える素振りを始めていた。
 自分は、驚かさないようにクロに近づき、まるで紙模型のように軽くなっていたクロを抱えた。どうも "怪我" をしている気配であり、クロはその激痛を痛々しい鳴き声で訴え続けるのだった。


 こうして昨晩、クロは最大の理解者にとにかく "保護" されるに至った。
 先ずは、想像に余りある "空腹" を癒してやるために、"刺身"、いやそれはなかったため、家内が飛んで買いに行った "猫缶" を二缶開けてやった。その食べっ振りはクロの本領発揮そのもの、いや今までで最高のがっつき振りであり、人の手を押しのけるようにむしゃ振りついた。ムリもない......。
 その後、階下の居間に用意したケージの中で、自らを癒すようにして眠り込んでいた。敵からと死から忍び寄る恐怖を耐えた長い十日間の緊張から、やっと自由になったことを満喫しているかに思えた。
 今日、掛かりつけのペット医院に連れて行ったところ、どうも、クルマなどとの接触事故ではなくて、野良猫同士の喧嘩によるものと思われる手酷く噛まれて腫れた箇所が見つかった。しばらくは、歩行も困難であり "自由猫" は "保護観察猫" となる...... (2011.09.06)













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このページは、yasuo hiroseが2011年9月 6日 00:01に書いたブログ記事です。

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