この "デジカメ"、特別に凄いというのではない。にもかかわらず注目してみたいと思ったのは、思わず「いいね!」と言わせる製品コンセプトが光っていると思えたからだ。とにかく製品コンセプトの "切り口" が 上手い!
何が "上手い!" と言って、今や、"アーリーアダプター" ユーザーとしては一目置くべきであろう "スマートネイティブ" の、その感性にムリなく浸透するかに思えたからだ。やや強調して表現するならば、"スマートネイティブ御用達デジカメ" だとさえ言えようか......。
キーコンセプトは、<自己愛をくすぐる>カメラという点に違いなかろう。
「全アングルから撮影できる」というフレイズで濁されているが、"スマートネイティブ" の感性にスパークするのは、<カメラの正面から撮影画面を見ることができるので、腕を伸ばして、自分や友人(主に自分)を撮影>という、一点に尽きるはずだ。
ちなみに、下の<広告動画(YouTube)>でも、ファーストシーンは "Self-shot" についての画面となっている。
そして、"スマートネイティブ" の感性のコアは、"パーソナル×パーソナル" 以外ではなく、その点では<自己愛!>(限りない自己への......)というコンセプトと見事に重なる......。
―――― <「全アングルから撮影できる」変形デジカメ:Samsung
韓国Samsung社が、ふたつ折りのコンパクトカメラ『MV800』を発表した。撮影画面が見えるリアパネルを開くことで、多様な利用方法が可能だ。
韓国Samsung社の『MV800』は、ふたつ折りになるデジタルカメラだ。いやむしろ、(とても厚い)2ページからなる本のように開くカメラと言うべきか。
リアパネルで撮影画面を見ることができるのだが、このリアパネルを少し開いた状態にすることで、カメラを好きな角度で使うことができる。
カメラの正面から撮影画面を見ることができるので、腕を伸ばして、自分や友人(主に自分)を撮影しやすい(フロントパネルの裏には、第2のシャッターボタンを備えている)。
1610万画素のセンサー、3インチのタッチパネル(103,600ドット)、26mm(35mm相当)からのレンズを搭載する。光学ズームは5倍で、撮影感度はISO80~3200だ。720pの動画を撮影できる。
この自己愛をくすぐるカメラの価格は280ドル。
[ 以下の広告動画では、仰角での撮影や、低い位置にある対象物の正面からの撮影がしやすい「すべてのアングルからの撮影」を謳っている。また、2つの写真を組み合わせたり、さまざまなフォトフレームに入れたりする機能もある ]
TEXT BY Charlie SorrelWIRED NEWS 原文(English)>( 「全アングルから撮影できる」変形デジカメ:Samsung/WIRED JAPANESE EDITION/2011.09.05 )
TRANSLATION BY ガリレオ -緒方 亮
ところで、"スマートネイティブ" の感性との関連で、補足説明代わりに以下の叙述を引用しておきたい。
<新しい感じ方で新しい切り口を提案するものたち
これからの時代を動かしていくのは、スマートデバイスとソーシャルメディアが当たり前に存在する環境で育った、"スマートネイティブ" たちだ。彼らは、かつてのインターネットネイティブたちと同様、旧世代とは異なるコンセンサスの下に新しい文化やビジネスを生み出していくだろう。
それは具体的にはどんなことだろうか。日本のお家芸とも言えるデジタルカメラについて考えて欲しい。撮影機能や仕上がりの美しさに関して、日本のデジタルカメラに勝る製品はない。ところが、新しい使い方の提案という面では、スマートフォンの簡便な内蔵カメラには到底かなわないのだ。これは切り口の違いであり、感じ方の違いだ。
旧世代のカメラ産業の発想からすれば、重要なのは撮影機能や仕上がりの美しさだ。それより楽しいことがあることを理解し受け入れることはできない。しかし、いまや世界中のカメラフリークたちが、クラウド型サービスとスマートフォンを統合したユニークなアプリケーションを提案し、開発を競い合っている。......>( 本田雅一著『携帯電話がなくなる! これからスマートフォンが起こすこと。 パソコンは消える!』[ 東洋経済/2011.06.02 ] )
"スマートネイティブ" の感性のコアは、"パーソナル×パーソナル" 以外ではないと大雑把に言ったが、取りあえず "良いの、悪いの" という議論ではなくて、ジックリと現状を認識することから始めるべきなのだろう...... (2011.09.06)
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