心配になって、先月に書いたばかりである。
<いよいよ "3G回線が数年内にもパンクする恐れ" が出て来た>( スマホで回線パンク寸前 定額制見直しも>/回線が数年内にもパンクする恐れ!( 当誌 2011.08.19 ) )と。
だが、スマートフォンでの大量通信による、"携帯電話回線のパンク危機" は、かなり "深刻な様相" を呈しているようだ。
言うまでもなく、<抜本的な対策として、高速・大容量の次世代携帯通信への移行>がとにかく急がれなければならない。なのに、<LTEが本格的に普及する時期は14~15年ごろと見込まれ、それまでをどう乗り切るかが焦点。>なんぞと、当事者意識の希薄なことを言っているから、事は "深刻" だと覗えるのだ。
多分、ここに来て "Andoroid" が急速な普及を遂げていることを視野に入れると、回線のひっ迫状態は公式発表を遥かに上回るのではなかろうか。
通信の専門事業者であれば、スマホのような通信機器が "通信量" を貪欲に食い荒らすことは十分に予想されたはずなのである。
それは、まるで日本の池や湖に無造作に放たれた "ブラックバス" や "ブルーギル" のように、湖沼の生息環境をあっという間に変える "獰猛さ" を秘めた通信ツールであり、その点は、十分にマークされていたのではなかったか......。
スマホを咎めるつもりはさらさらない。"ブラックバス" や "ブルーギル" 自体を責められないのとまったく同様である。
それを、この期に及んで、「まさか、これほどまでに......」という方便はない。それではまるで、先ごろの "原発事故" への方便として、「まさか、これほどまでの規模の津波になることは......」と言うのと同じではないかと思えてしまう。
何とも、"場当たり的" な対応に呆れ返るばかりだ......。
―――― <携帯電話回線:スマートフォンで大量通信、パンク危機 ソフトバンク、定額制見直しも
動画など大量のデータをやりとりするスマートフォン(多機能携帯電話)の急速な普及で、現行の携帯電話回線が混雑し、放置すれば、数年後には回線がパンクする恐れが出てきた。このため、携帯各社は、通信量の抑制に乗り出したり、通信料金の見直しを検討したりするなどの対策に動き出している。【乾達】
米アップルの「iPhone(アイフォーン)」に代表されるスマートフォンはパソコン並みの機能を持ち、データ量が大きい動画やゲームなどを楽しめる。だが、携帯各社によると、従来型の携帯電話に比べ、1人当たりの通信量が10~20倍に増える傾向にある。スマートフォンは今後も販売が大幅に伸びると予想され、KDDIは国内全体の携帯でのデータ通信量が15年には10年実績の18倍に達すると試算。「このままでは13年には通信量が携帯回線の容量を超す」(田中孝司社長)と懸念する。既に都心部では通信速度が遅くなったり、つながりにくくなったりしている。
このため、KDDIは10月から、3日間の通信量の合計が一定の基準を超えた利用者に対し、通信速度を遅くして通信量を抑える措置を導入する。NTTドコモとソフトバンクモバイルも既に通信量を抑える措置を取っており、携帯大手3社が足並みをそろえる。
「一定の料金を払えばデータ通信を使い放題」という定額制の見直しも検討されている。日本と同様の問題を抱える米国では、通信大手のベライゾン・ワイヤレスが7月に定額制を廃止し、通信量に応じて料金を課す従量制に切り替えた。「アイフォーン」の販売でスマートフォン市場をリードするソフトバンクモバイルの孫正義社長は「料金体系を含めて(通信量を)管理していかないといけない」と定額制(同社は月4000~5000円台)見直しを検討課題に挙げている。
携帯各社は、抜本的な対策として、高速・大容量の次世代携帯通信への移行を目指している。ドコモは昨年末に始めた次世代通信「LTE」の普及を図り、今冬にLTEを使えるスマートフォンを初めて発売する。ソフトバンクやKDDIも12年度以降にLTEのサービス開始を予定している。また、各社は、データ通信を携帯以外の回線に移して混雑を緩和しようと、スマートフォンが接続できる公衆無線LANを駅やカフェなどに設置することも急いでいる。
ただ、LTEが本格的に普及する時期は14~15年ごろと見込まれ、それまでをどう乗り切るかが焦点。定額制の見直しが検討されているのは、「利用者の2%がデータ通信量の4割を占める」(孫社長)というヘビーユーザー対策だが、定額制は一般の利用者にも浸透している。スマートフォン市場の競争が激化する中、定額制を見直すと顧客離れにつながりかねず、難しい判断を迫られている。>( 携帯電話回線:スマートフォンで大量通信、パンク危機 ソフトバンク、定額制見直しも/毎日jp/2011.09.04 )
この深刻な事態への対応こそは、通信事業各社の真価が問われる "試金石" ではないかと見守りたい心境である。今さら、<顧客離れにつながりかねず......>といった "内向き" の発想は適さないと思うのだが...... (2011.09.08)
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