グーグルが、中小企業を対象に1年間無料で自社ウェブサイトを作成できるサービス「みんなのビジネスオンライン」を始めたことは、ここでも既にレポートした。
―――― <グーグル:中小企業支援 1年間無料で自社サイト作成
グーグルは13日、中小企業を対象に1年間無料で自社ウェブサイトを作成できるサービス「みんなのビジネスオンライン」を始めた。農業、レストラン、美容室などの業種ごとにひな型を用意し、業務内容や連絡先、商品の画像などを登録すれば15分程度でサイト作成が完了する。2年目以降は月1470円の料金がかかる。 サイト作成システムはKDDIウェブコミュニケーションズが提供する。また、サイトのアドレスも、空きがあれば末尾「.jp」のものを自由に設定できる。サイトでは店舗紹介だけでなく商品販売にも対応する。......>( <グーグル:中小企業支援 1年間無料で自社サイト作成>を活用しない手はない!( 当誌 2011.09.18 ) )
それはそうとして、これに関しては穿った見方というよりも "よりリアルな読み" をしているとでもいえる記事を眼にした。なるほど、"無料" にするには、それなりの根拠があるワケか......と。
―――― <グーグルが「みんビズ」で挑むネットの未開拓地[ ソーシャルメディアの歩き方(藤代裕之) ]
―― 前半部分は省略 ――
■15万社でも月2億円の売り上げにしかならない
料金は最初の1年間は無料だが、その後は毎月1470円の利用料がかかる。目標の15万社を獲得しても、毎月2億円の売り上げにしかならない。日本各地でのキャンペーンやサポートを考えると、利益率が高いビジネスとはいえないはずだ。それなのに、なぜ乗り出すのか。
記者発表で有馬氏は、グーグルの有名なミッション「世界中の情報を整理し、世界中の人々がアクセスできる」を紹介した。検索事業こそがグーグルの根幹であり、新サービスで直接に利益を得るのではなく、あくまで検索対象を広げるための施策と位置づけている。これまでも、ウェブ上にない書籍のデータはスキャンし、街の風景は専用車を走らせ「ストリートビュー」として提供するなど、グーグルはさまざまな情報を自ら収集して検索サービスの向上につなげてきた。先の総務省の調査によると、国内の中小企業の約8割がまだウェブ上に「存在していない」ことになる。ネット市場で「未開拓」ともいえるこの部分をグーグルがカバーできれば、検索サービスのさらなる向上になる。
■ソーシャルメディアの活用増に「くさび」
だがソーシャルメディア全盛の時代に、中小企業が自社でサイトを開設する意味があるのだろうか。簡単に作れるのはうれしいが、無理に導入しなくてもフェイスブックの「フェイスブックページ」やミクシィの「mixiページ」を活用すれば、自社サイトと同様な役割を果たせるはずだ。飲食店なら「ぐるナビ」に登録してもいいし、小売業なら楽天がある。ユーザーの位置情報と連動させるソーシャルサービスも登場している。個人ユーザーのブログの書き込みが宣伝になる例も多い。
だが、こうしたソーシャルメディアの活用が増えると、グーグルの検索サービスに影響を及ぼしかねない。ミニブログのツイッターやフェイスブックなどの内容まで検索サービスの対象にするには、グーグルはソーシャル企業に「お願い」しなければならないからだ。
以前、ツイッターの投稿を検索できるようにするため、グーグルは10億円以上を支払ったことがあるという。情報が集まるのはオープンなウェブ上か、それともソーシャルなプラットフォームか、情報の囲い込みはし烈さを増している。今回、グーグルが取り組む背景には、ソーシャルメディアの活用増に「くさび」を打ち込むという理由もあるのだろう。
もちろん、新サービスでサイトがどれだけ開設されるかは未知数。中小企業のネット活用は、これまでも政府や多くのIT企業が取り組んだものの、思ったほど進んでいないのが実態ではないか。「狙った効果を得られなかった」という経験や、「後継者がいないので将来を見越したIT投資をためらう」という意見もあり、IT化に対する中小企業の意欲は薄れがちだ。
記者発表に同席した中小企業基盤整備機構の前田正博理事長は、「サイトを使って海外に手早く販路を拡大できれば、中小企業の経営力向上に役に立つ」と期待を込める。
新サービスを成功させるには、IT化のメリットを明確に示せるかどうかが勝負になりそうだ。>
( グーグルが「みんビズ」で挑むネットの未開拓地[ソーシャルメディアの歩き方(藤代裕之)]/日本経済新聞/2011.09.29 )
それにしてもグーグルの "検索サービス" の構想が如何に大きいかが分かる。とともに、そのグーグルをも脅かす存在となろうとしている "ソーシャルメディア" の動向から眼が離せないという事実も...... (2011.10.01)
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