体制変革運動"Occupy Wall Street"とソーシャルメディア/SNSはどこに導くのか? ......

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 いろいろな意味で"影響力" が多大な "ソーシャルメディア" とは一体何なのか?
 その姿を追い求めると、一方では企業活動における新しい "マーケティング戦略" の課題に行き着くと同時に、もう一方では今さら言うまでもない "Occupy Wall Street" 運動(← "アラブの春" )に行き当たらざるを得ない
 そして、これら二つの事象の足元には、爆発的に普及し続ける "スマートフォン" の存在があり、その今日的活用形態である "ソーシャルメディア" 空間が横たわっている。
 言ってみれば、これら "二つの事象" は "ソーシャルメディア" という一つの事象における "表情の違い" に過ぎないものなのかもしれない。少なくとも、"二つの顔" という程に異質ではなかろう。"一つの顔" での "表情の違い" と見ておくるのが妥当なのであろう。

 そこで今回は、"闘争" としての表情である "Occupy Wall Street" 運動の方を対象とした。レビューする "サイト記事" は、下記のとおりの『 体制変革運動「Occupy Wall Street」とソーシャルメディア 』(松下博宣氏)となる。
 この記事では、先ず「Occupy Wall Street」運動について初めて接する者にも理解し易いように、この事象が包括的に解説される。
 この運動の担い手は<以前アメリカ社会の分厚い層を作っていたミドルクラスで下方に没落しつつある階層が中心>であり、<中央で統制、コントロールするような組織的な機能は見当たらない。リーダーらしいリーダーがいない>いわば<自己組織的なムーブメント>であること。
 そして、この背景には米国社会での<(1)大量失業問題><(2)格差問題>、そしてこれらの元凶に向けられた<(3)反大銀行、投資銀行、大企業>という問題意識が横たわること。
 つまり、<強欲・金融資本主義、大企業中心資本主義への反抗>であること。
 また、この運動の一つの特殊性として、<ソーシャルな問題意識を行動化させるSNS>という側面のあることがしっりと指摘される。
 そして、この運動の周囲には、<Occupy Wall Streetへの賛同と批判>とがあることにも触れた後、<このソーシャルイノベーション運動が日本に伝搬・創発?>という末尾において、この運動の今後の動向について "幾分かの懸念(?)" を添えつつ "問題点" が指摘される......。次のような点となる。
 <何に「反対」するのか、的を絞り切れていないこと自体がこの運動を象徴するもの/メッセ―ジの再デザインが必要/ソーシャルメディアで共創される集合的問題意識をどのような方向で言語化し、行動に結びつけてゆくのか
 これらが、<ソーシャルな問題意識を行動化させるSNS>という面、つまり "ソーシャルメディア" というツールに依拠し、そこで "束ねられた(?)" 分の "裏返し" 的課題なのだと見ることはさほど難しくはないはずである。
 ここには、"ソーシャルメディア" が形成する "(疑似)コミュニティ" のあり様が注意深く見つめられなければならない課題が潜んでいそうだ。この点は、企業の "マーケティング戦略" の課題においても共通するところであるに違いない......。

 なお、下記の引用にあたっては、主旨が歪まない範囲で "要約" してあります。厳密さを必要とする場合は 原文 をお読みください。

―――― 第24講:体制変革運動「Occupy Wall Street」とソーシャルメディア

 2011年9月17日に米ウォール街で始まったとされる体制変革運動「Occupy Wall Street」。チュニジア、エジプト、スペインから大西洋をまたいで、米国でもソーシャルメディアが体制変革運動を伝搬、創発させている。社会変革のトリガーになることによってソーシャルメディアは進化してきたが、日本での社会変革運動はどのような形態をとるのだろうか。
東京農工大学大学院産業技術専攻 教授
松下博宣

 大量失業問題や格差社会への抗議運動である「Occupy Wall Street(ウォール街を占拠せよ)」が、Wall Streetでの活動にとどまらず全米に拡大し、小規模ながら日本にも伝搬する勢いも見せている。

 日本では、Occupy Wall Street運動は若年の失業者や低額所得者中心の運動であるかのような表層的な報道が幅を利かせているが、これは大きな間違いである。

 ここ数週間で、この運動に参加する人々は、失業者、求職者は言うに及ばず、あらゆる社会階層に拡大し、以前アメリカ社会の分厚い層を作っていたミドルクラスで下方に没落しつつある階層が中心だ。
 失業者、求職者はもちろんのこと、大学生、大学院生、自営業者、プロフェッショナル、退職者、中小企業経営者、医師、看護師、大学教授、科学者、評論家、政治家、宗教コミュニティー、自然愛好家、環境運動グループ、農林畜産業など幅広いバックグラウンドを持つ人々が参加しつつある。

 そしてこの運動はTwitter上で#OccupyWallStreet、 #OWSなどのハッシュタグで急速に拡大してきている。FacebookでもAnonymous(Occupy America)、Occupy Buffaloなどのコミュニティーが立ち上がり、全米70以上の都市、地域を巻き込んだ運動となっている。

■ 自己組織的なムーブメントの背景

 この運動の言い出しっぺはカレ・ラスーン氏とその背後に存在する勢力だが、今のところ中央で統制、コントロールするような組織的な機能は見当たらない。リーダーらしいリーダーがいない
 では、何がこの運動の真ん中にあるのかというと、それは現下の体制に対する大いなる問題意識と変革への鬱勃たる欲求であり、かいつまんで言うと以下のようなものだ。

(1)大量失業問題
 米国の統計では失業率は9パーセントと言われているが、非正規労働者で十分な賃金を得ることができないアンダー・エンプロイメントを含めると17パーセントもの高い数値となっている。オバマ政権は、失業問題に対して有効な政策をとっていないという問題意識が根強い。

(2)格差問題
 富裕層上位1パーセントが全米所得の20パーセントを占め、資産規模では上位10パーセントが全米の資産の90パーセントを占めるという強烈な所得格差、資産格差。"We are the 99%"という標語は、「1パーセントのアメリカ人が占有する富に対して99パーセントのアメリカ人は排除されている。本来のデモクラシーは1パーセントの側にではなく99パーセントの側にあるべきだ」という主張が端的に表現されている。

(3)反大銀行、投資銀行、大企業
 リーマンショックで世界を金融不安に陥れ、税金で救済されたにもかかわらず、莫大な給与、ボーナスを得て悪びれもしないウォール街の金融機関経営者。大企業を優遇した共和党の政策を否定するどころか、継承しているオバマ政権への不信感。

■ 強欲・金融資本主義、大企業中心資本主義への反抗

 オバマ政権を揺るがしているTea Party運動と比較すると、アメリカ人大衆の自己組織的な改革運動が、右派(保守派)ではTea Party運動となって現れたのに対し、左派(リベラル派)では、Occupy Wall Street運動となったといえよう。

 2つのムーブメントの共通点は、「現状は本来のデモクラシーのあるべき姿からほど遠く、それを取り戻そう」という主張。

 異なっている点は、Occupy Wall Street運動において米国型キャピタリズムに対する先鋭な批判意識が根底にあるということ

 今回の運動の特徴は、特定のイデオロギーから出発するものではなく、身の回りの深刻な社会問題から出発するものである。端的に言えば、それは富の配分、税金の配分も問題だ。

■ ソーシャルな問題意識を行動化させるSNS

 Occupy Wall Street運動の根底にあるものは現下体制に対する大いなる問題意識と変革への欲求であり、これらの問題意識、変革への欲求を瞬時に伝搬、創発させる共創的コミュニケーションの道具としてTwitter、Facebook、Tumblr、SkypeなどのSNSツールが多用されている。

 これらのツールを用いることによって、意識、欲求をテキスト、画像、動画、音声などを低コストで効果的に共有化することができる。そして同類の問題意識、変革欲求を持った個人、グループを凝集させ、コミュニティーを組成させ特定の集団的行動をサポートするのに適している。

 このような情報活動を支援するために、ボランティアやOccupy Wall Street運動の参加者によってメディアセンターという場が組成され、ここではラップトップPC、カメラ、発電機、無線LANが実装され、Zucotti 公園全体からインターネット接続が可能。運動継続、拡大のためのリソース調達もネットで行われている。
 当初、Zucotti 公園の衛生環境は劣悪だったが、200人もの運動参加者が寝泊まりできる寝具、寝袋が確保されている。

■ Occupy Wall Streetへの賛同と批判

 デモを支持する著名人も増えている。マイケル・ムーア氏は、現在米国が直面している問題は「21世紀の資本主義」が根本の原因だと主張した。

 ノーベル経済学賞を受賞したコロンビア大学のジョセフ・スティグリッツ教授も参加。2008年のリーマンショック以後、政府が市場を十分に監視していなかったことを批判

 米国内の反体制運動は、米国と対立する国々から見ると、格好の米国批判の口実を与えている。
 米国の諜報機関は、Occupy Wall Street運動が米国と敵対する勢力、それらからの分子、細胞と呼応することに神経をとがらせている。いずれ諜報機関や外交機関のOccupy Wall Street運動に対する諜報活動も暴露されることになるだろう。

■ このソーシャルイノベーション運動が日本に伝搬・創発?

 10月9日には、25カ国以上の都市でグローバルなデモを仕掛けようとの呼びかけが行われた。
 10月15日には小規模ながら日本でも#occupytokyoなどの抗議行動が行われ、関連するサイトも複数立ちあがっている。しかしながら、日本バージョンの特徴は、一言で言うと反対メッセージの一貫性のないオンパレードであった。
 反貧困、反格差は言うに及ばず、反原発、反TPP(トランス・パシフィック・パートナーシップ)、外国人居住者の権利拡大、反検察などのメッセージが統一感なく散漫に列挙されていた。

 何に「反対」するのか、的を絞り切れていないこと自体がこの運動を象徴するものではあるが、運動をスケールアウトさせるためにはメッセ―ジの再デザインが必要だろう。

 実は米国のOccupy Wall Street運動にも、この点に関して内部から自己批判が出ていて、メッセージの切り分け、集約が図られているところである。特定のイデオロギー、主張を抱く旧来の左翼、新左翼運動の残滓・脈絡を継ぐ活動家が合流しつつあるこの日本バージョンの運動にとって課題となるはずだ。

 当然、体制側はこの運動の封じ込め、社会化の阻止をするだろうが、そのとき、何に、どのように反対するのか。まさにインテリジェンスが問われることになる。ソーシャルメディアで共創される集合的問題意識をどのような方向で言語化し、行動に結びつけてゆくのか。当面のところウォッチが必要だ。 >第24講:体制変革運動「Occupy Wall Street」とソーシャルメディア/IT pro/2011.10.21


 "SNS" によって加勢された "自己組織的なムーブメント" は、決して現状に留まるものではないと推測するのが自然であろう。多分、課題克服に向けた "進化" を遂げて行きそうな気がしている。ただ、そのためには、"IT レバレッジ" を採用したことの "副作用(?)" をクリアする必要があるのかもしれない...... (2011.10.24)













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