Twitter や facebook などの "ソーシャルメディア" が強力な組織ツールとなったとされる "ウォール街占拠デモ(OWS運動)" の行方への関心は、もっぱら<ウォール街占拠デモはメッセージがぶれているとの批判をしばしば受けている>(◆参照 エジプト"facebook革命"リーダー"OWS運動"に助言/非暴力!メインテーマ集中!と( 当誌 2011.10.30 ))という点に向けられていそうだ。
こうした事象が、"アラブの春" の国々とは異なった事情を持つ現代の "先進国" ならではの傾向だと先ずは推測できる。以下のような観測もある。
<私の目には、米国のあらゆる層のあらゆる問題に対して改善しないばかりか、ますますおかしくなっていく現状に不満を表明している「複合集積体」のように見える。>( 反格差デモと米国など先進国が抱える深い病理[大前研一の「産業突然死」時代の人生論]/nikkei BP net/2011.10.26 )
そして、以下のように醒めた目で見ることができるのかもしれない。
<だれかがツイッターやフェイスブックで漏らした不満に多くの人が呼応して抗議デモが形成されているだけなのではないか。これは良くも悪くも現代的な現象と言えるだろう。>(同上サイト)
ただ、この<良くも悪くも現代的な現象>という部分にこそ関心が注がれるべきだと思われる。
ところで、こうした事情を抱え続ける "ウォール街占拠デモ(OWS運動)" の「我々は99%!」というスローガンに対して "異論" がぶつけられている。いや「私たちは53%!」なのだとする "保守系サイト" 側からの動きが浮上し、支持拡大を進めているというのである。まるで、上記のような "OWS運動" の虚をつくかのようなその浮上に見える。
また、"周回遅れ!" で色褪せた "自己責任" 論がやはり出て来たか、という印象でもあるが、むしろこうした "論戦相手(?)" が登場することで、"99%" サイドの構えが練られて行くとも考えられる......。
―――― <ウォール街デモの99%に異論、「53%」がネットで支持拡大
ニューヨーク(CNNMoney) 「我々は99%」というスローガンを掲げた貧富格差抗議デモに異論を唱え、「私たちは53%」と主張する層がネットで支持を広げている。53%は、米国で連邦所得税を払っている納税者の割合を示す数字。抗議デモの99%とは一線を画したいとの意向から、ブログやツイッターで声を上げ、個人の責任や労働倫理を説いている。
そうした1人が首都ワシントン在住のアナリスト、ケビン・イーダー氏(26)。10月にツイッターで「#iamthe53(私は53%)」というテーマを開設したところ、「ウォール街占拠には同調しない」「私を代弁していると主張する人たちが、実際には代弁していないことに苛立つ」といった賛同のコメントが相次いだ。その多くが、デモ参加者は政府や金融機関に文句を言うのをやめて職を探すべきだとしている。
保守系のウェブサイトを運営するエリック・エリクソン氏は「私たちは53%」と題したブログを開設した。同ブログにかかわる保守系団体の幹部は、米国人の大部分が制度の犠牲になっているという抗議デモの主張に反論、「99%に欠けているのは自己責任の要素だ」とこきおろす。
同ブログには1000人以上が自分の経歴や写真を寄せ、34歳の男性は「自分の運命の責任は自分にある」「私が成功しても失敗しても、原因は自分だ」と強調。別のユーザーは「私は望まない職に就いた。君たちはなぜそうしないのか」と問い掛けた。
貧困生活から脱出するため学校に入り直して教員になったという44歳の男性は「私たちのこれまでの苦労は、自分は働く必要がないと考える人たちや、自分で稼がなくても何かを得る権利があると考える人たちを養うためではない」と訴えている。 >
( ウォール街デモの99%に異論、「53%」がネットで支持拡大/CNN.co.jp/2011.10.27 )
片や、"OWS運動" は<季節外れの大雪>の中であろうが<寒さに凍えながらの抗議活動>を続けている......。
―――― <NYで大雪の中、「占拠」続行 反格差デモ
【ニューヨーク共同】米東部では29日、季節外れの大雪が降るなど大荒れの天気となった。ニューヨーク・ウォール街近くの公園で寝泊まりしている反格差社会デモ「ウォール街を占拠せよ」の参加者らは、寒さに凍えながら抗議活動を続けた。
この日のニューヨークは気温が氷点下近くまで下がって強風で雪が吹き付け、時折大きな雷の音が響いた。ズコッティ公園のデモ参加者らは、体温保持用のシートで体をくるむなどして寒さをしのいだ。
1カ月近く公園で寝泊まりしている大学の英語教員ウィリアム・スコットさん(42)は「寒さなんて関係ない。われわれはここで冬を乗り切る」と話した。
( NYで大雪の中、「占拠」続行 反格差デモ/【共同通信】/2011.10.30 )
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"ソーシャルメディア" の "ニュートラルなITツール面" だけに目を奪われていても事の本質は見えてこない。ツールはあくまでも "中身" を盛るための器だからだ。"ソーシャルメディア" の "ソーシャル" の中身:情念・理念がしたたかに練り上げられていくフェイズへと事態は歩を進めるかのようだ。そこでは、一体何がクローズアップされるのであろうか...... (2011.10.30)
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