昨日は、"ソーシャルメディア" と企業組織との関係について、以下のような "口幅ったい" 表現で結んでしまった。
―――― <"閉鎖されたガラパゴス的組織を守旧" するのか、"開かれ、ソーシャル化された組織創り" を目指すのか? "ソーシャルメディア" 対応という課題が、本質的に問いかけているのはまさにこの二者択一だ>( 企業のSNS活用現況調査/営業効果不明,人材不足,投稿のネタがない等の課題浮上! ( 当誌 2011.10.19 ) )
しかし、こうした捉え方は、あながち見当外れでもなさそうである。
今日、レビューする下記のようなサイト記事では、こうした主旨の内容が叙述されており、思わず意を強くすることにつながった。
ズバリ、次のように指摘されているのである。
<ソーシャルの利用は単にツールが一つ増えるというにとどまらず、組織のあり方を一変させるほどのインパクトを持つこと ...... 「情報が爆発的に増えている今、これまでのようなトップダウンの組織ではもう追いつかない」 ...... 現場や顧客同士で膨大な情報をやり取りし、現場が変革を引っ張っていくネットワーク型の組織への移行を迫る>(下記引用記事より)
いつも、システム・イノベーションが注目されると、技術的側面に過剰に関心が向けられるものだ。そして、その新局面の担い手は、若手の技術スタッフだけであるかのような妄想に取り付かれたりしてしまう......。また、実務経験豊富な "老兵" の出る幕ではないとばかりの勘違いの空気が広がったりもする。これは間違いであろう。
もとより、企業活動はコンピュータ・システムだけで展開するものではなく、コンピュータ・システムは "現行のヒューマン実務" を "増幅し、効率化" する装置以外ではないのである。
もし、増幅される "現行のヒューマン実務" に齟齬があるならば、コンピュータ・システムは、それを是正しないばかりか、その齟齬をただただ拡大再生産するだけに違いない。
そして、"現行のヒューマン実務" というものは、企業の "組織のあり方" や "企業文化" と一体関係にあると考えられよう。たとえ、コンピュータ・システム環境が時代とともに進化すれども、こうした側面ばかりは "人為的イノベーション" 以外に打つ手はないと考えられる。
ただ、新しいコンピュータ・システム環境への取り組みが、"組織のあり方" や "企業文化" の大胆な見直しを迫る! という "反作用" をもたらすことは大いにあり得よう。
<ソーシャルの利用>が、<組織のあり方を一変させるほどのインパクト>を持つ、という意味は、それを言っているはずではなかろうか。
ことわざ(諺)に「新しい酒は新しい革袋に盛れ」とある。"ソーシャルメディア" 対応という新しい課題は、企業の "組織のあり方" や "企業文化" の "イノベーション" という課題と一体となって訪れている......。
―――― < [ITpro EXPO 2011]「ソーシャルが組織を一変させる」---ITproの根本副編集長
東京ビッグサイトで開催中の「ITpro EXPO 2011」展示会場内のメインシアターで10月14日、ITproの根本浩之副編集長が「名物記者のトレンド解説」に登壇。「企業ビジネスに活かすエンタープライズ・ソーシャル」と題して講演した(写真)。ソーシャルメディアとは、社会的なつながりをITネットワーク上で実現したもの。FacebookやTwitterが有名だが、広義にはコメント機能を持つブログなども含む。
根本副編集長はまず、米国におけるソーシャルの爆発的な普及状況を紹介。米調査会社Nielsenによると、米国では5月時点でFacebookのユニークユーザー数が他のWebサイトを押さえて圧倒的に多くなっている。Googleで検索して求める情報にたどり着く行動様式から、Facebookの上で情報をやり取りする行動様式に移りつつあるわけだ。「かつてはテレビCMでも自社のWebサイトのURLを紹介していたが、今はFacebookページに誘導するようになっている。今後は"インターネット=ソーシャルメディア"になっていくだろう」(根本副編集長)。
背景にはスマートフォンの普及がある。スマートフォンを使うと、誰でも気軽にその場でリアルタイムに情報を発信できる。発信する先はTwitterやFacebookのようなソーシャル。ある調査によれば、米国ではソーシャルのユーザーの約4割がモバイルからアクセスしているという。
さらにスマートフォンの側も、ソーシャルの普及を前提とした進化を遂げつつある。例えば日本でも8月に発売されたWindows Phoneは、Facebookに登録されている情報からアドレス帳を作成する機能を持つ。「自分で友人たちのアドレス帳をメンテナンスしなくても、ソーシャル上でその友人がメールアドレスや電話番号などの情報を更新すると、自分のWindows Phone上にあるアドレス帳も自動的に更新される」(根本副編集長)。
この流れはスマートフォンにとどまらない。マイクロソフトが来年にもリリースするWindows 8にも同様の機能が盛り込まれる予定だという。ごく近い将来、パソコンやタブレットも含め、ほとんどのクライアント端末がソーシャルを前提に開発され、使われるようになるわけだ。
こうした流れを受け、これまで個人が中心だったソーシャルに企業も高い関心を示している。根本副編集長はトヨタ自動車やトップツアーによるソーシャル利用の先進事例を紹介しつつ、ソーシャルの利用は単にツールが一つ増えるというにとどまらず、組織のあり方を一変させるほどのインパクトを持つことを強調した。「情報が爆発的に増えている今、これまでのようなトップダウンの組織ではもう追いつかない」(根本副編集長)。現場や顧客同士で膨大な情報をやり取りし、現場が変革を引っ張っていくネットワーク型の組織への移行を迫るのである。
ソーシャルの世界では、開発者は生き生きしており、ユーザーもどんどん情報を発信する。「特に若者が、ソーシャルの世界では元気だ。ソーシャルの活用は若い力を生かすことにもつながる」と訴えて、講演を締めくくった。...... >
( [ITpro EXPO 2011]「ソーシャルが組織を一変させる」---ITproの根本副編集長/ITpro/2011.10.14 )
ひょっとしたら、「ソーシャルが組織を一変させる」という表現は、「では、(ターン・キー)システムを導入しようじゃないか......」という、よくある "上滑りのコンピュータ・システム依存癖" を増長させかねないとも懸念される。正しくは、「ソーシャルは組織一変を大胆に迫る」と言うべきではなかろうか...... (2011.10.20)
―― P.S. 【 "ウォール街デモ" 関連最新ニュース 】
◆参照 < NY世論調査 デモ賛成70%近く/NHK NEWS WEB/2011.10.19 >
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