≪続≫ SNS が"見えない人"の世界観は「つながりを軽視する」という態度に集約! ......

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 企業の "ソーシャルメディア" 対応で、"炎上" 騒動などを引き起こしてしまう担当者、マーケターには、何か共通した難点がありそうであるという話を進めている。昨日の分の≪続≫という位置づけとなる。
 昨日と同様、<武田隆 (著)『ソーシャルメディア進化論』ダイヤモンド社 2011.07.29>をレビューするかたちで進める。
 ◆参照 ソーシャルメディア"炎上"原因の"見える人"と"見えない人"/"スモールワールド"! ( 当誌 2011.11.07 )

 昨日は、"ソーシャルメディア(SNS)" への企業サイドからの対応の成否は、以下の点に掛かっていると結んだ。
元々、人と人との "つながり" の現象を "質的に理解する" ということは、体験的 "実感" が理屈に勝るものと思われる。この点は、インターネット上のネットワークでの人と人との "つながり" においても変化したとは考えにくい。
 冒頭で触れた "ソーシャルメディア" での "炎上" 問題発生に対する警戒にしても、小手先でのテクニック習熟よりも、人と人との "つながり" の現象を "質的に理解する" というこまめな体験的 "実感" の、その蓄積こそが王道なのだと了解されそうである。
>( 当誌 2011.11.07 )
 前掲書では、これを "ネットワーク" 概念のひとつである "スモールワールド" という視点で補いつつ、<スモールワールドに「住む人」と「住めない人」の違い>、それが "ソーシャルメディア" の本質が<見える人と見えない人>との違いとなって表れる、と述べられていたはずだ。

 これらを、より単刀直入に言い換えればどうなるのか? 企業での実践的指針としては、むしろそうしたものこそが探られているのかもしれない。そこで、結論的に端的に言うと、次のようになりそうである。もちろん、昨日述べた事柄を前提にしての話だ。

ソーシャルメディアで失敗する人、スモールワールドに住むことができず、ネットワークの影響が「見えない人」の世界観は、「つながりを軽視する」という態度に集約できる>(下記引用部分より)

 そして、「つながりを軽視する」という態度とは、<消費者を受動的で操作可能な存在としてとらえる消費者観>そのものであり、<個人を大衆としてひとくくりにして、単発的な一方向の施策で、それを戦略的にコントロールしようとする>態度だとされる。
 この克服は、一見何でもないことのようにも思えるが、実は、かなり "難易度" が高いハードルだと考えるべきなのである。
 それというのも、こうした<消費者観>や<戦略的コントロール>方法は、つい最近までマーケティング領域で金科玉条とされていた<20世紀のマーケティングのあり方>だったからなのである。

 つまり、より画期的な意識改革とトレーニングを進めない限り、"従来型マーケター" の多くは、消費者との「つながりを軽視する」という態度を打破できないと推測される。
 付け加えて言うならば、しかも、こうした "ソーシャルメディア" 対応というものは、一度、頭で認識すれば事足れりというものではなかろう。ルールを設ければ済むわけでもないはずぶある。
 "ソーシャルメディア" 対応の現場では、ビミョーな案件が溢れ、かつスピード感が要求されるものばかり......。したがって、まるでスポーツプレーのような迅速な振舞いと判断力が要求されるはずだ。とすれば、すべての対応スキルは "付け焼刃" では済まず "板に付いた" ものでなければならない......。

―――― < 再び、見える人と見えない人

 ソーシャルメディアで失敗する人、スモールワールドに住むことができず、ネットワークの影響が「見えない人」の世界観は、「つながりを軽視する」という態度に集約できる。それは、消費者を受動的で操作可能な存在としてとらえる消費者観に通じる。個人を大衆としてひとくくりにして、単発的な一方向の施策で、それを戦略的にコントロールしようとするのが見えない人のふるまいであり、インターネットを、そして、つながり始めた個人の集合を敵に回す態度となる。
 このような視界からは、消費者は群れとして把握可能であり、リサーチにより数字に置き換えられ、GRP(広告投入量の単位)という栄養分を与えれば、ブランドに群がるもののように見える。
 ......

最近、世の中を動かせるようになってきました。ちょっといじると本当に動くんですよ」(引用者注:マーケティング部門に配属された新人のことば)

 しかしながら、このような消費者観の前提となる世界は徐々に崩れてきている。インターネットでは、消費者は受動的な存在ではなくなる。メッセージを受信するだけでなく、自ら発信するようになる。消費者が発信するメッセージは、ときに企業が発するそれよりも強力なメッセージとして市場に受容される。このような消費者による活動を企業がコントロールしようとすると、彼らはそれを見透かし、その行為事態を批判したり茶化したりするようなメッセージを発信する。そうした不信感は共鳴を呼び、短期間でインターネットに強く伝播する。もはや、消費者による声を、都合の悪いものとして「上から目線」で駆除することはできない。ネットワークが見えないマーケターにとっては恐ろしい時代である。>
( 武田隆 (著)『ソーシャルメディア進化論』ダイヤモンド社 2011.07.29 )


 しかし、ただ<恐ろしい時代>だとして萎縮しているわけにもいかない。そして、こうした<21世紀>的市場環境・顧客状況には、<ポジティブ>な側面が同時に潜んでいると考えられる点に目を向けなければなるまい。
―――― < 見える人のマーケティング

 しかし、見方を変えれば、消費者が情報を発信するという状況をポジティブにとらえることもできる。商品の周辺で、消費者によってさまざまな物語が生み出される。それは、あちらこちらで吹き上がる噴水のように、インターネット全体に広がっていく。消費者はそれらの物語と出会い、商品を物語ごと購入し、今度はそのお返しに、または決定の確認のために、自らが物語を生成する側に立つ。

 このようなサイクルが回っている市場では、消費者は企業に一方的に操作される対象ではなくなる。消費者は企業とともにブランドを育てていくパートナーとしての自覚を持ち始める消費者によって生成されるネットワークを、企業は強制的にコントロールすることはできない。マーケターは、ブランドや消費者がそもそも持っている物語を上手に引き出し、それらをつなぎ合わせ、自然に育ち、広がっていくことを手助けする存在へと変わる。農業の比喩を使わせてもらえば、もともと土壌が持っている力や微生物の媒介力、それらのネットワークによる相互の影響を重視する有機農業に近いといえるだろう。まさにそれぞれが無縁ではいられないスモールワールドの世界観によるオーガニックなマーケティングである。

 商品や企業のブランドをひとつの円として考えたとすると......(引用者注:ここには消費者コントロール的な20世紀のマーケティングのあり方が叙述されている)

 一方、21世紀のマーケティングになると、商品や企業のブランドの円を、そのまま消費者に伝えたほうがよいという姿勢が加わってくる。というのも、円の一部をベストショットで見せようとしても、円の外部で活動する消費者が円の内部のほかの部分を見つけ出し、それを発信してしまうからである。いまやブランドは、360度の視線にさらされている。嘘や誇張は通用しづらい。また消費者は、完璧なブランドなどないということも知っている。彼らが求めているのは、自然体で真摯な企業の態度、そして改善に向かう姿勢。もっとも、私たちが私的な友人やパートナーを選ぶときの基準もそのようなものだろう。企業と顧客が双方向になるということは、お互いにパートナーとしてつながり合うということにほかならない。そして、忘れてならないのは、円の外部はパートナーとなった消費者たちが、自発的にブランドの物語をほかの消費者に伝播する場所でもあるということだ。こには7000万人の活動的な消費者がつながっている。>
( 前述、武田隆 著より )


 この文脈には、ヒントとなるキーワードがふんだんに散りばめられている。
 物語、パートナー、強制的なコントロール(マイナス例)、ネットワークによる相互の影響を重視する有機農業、オーガニック(有機栽培)なマーケティング、21世紀のマーケティング、自然体で真摯な企業の態度と改善に向かう姿勢などがそれらであり、そのいずれもが、新局面を目の当たりにして "立ち止まりがち" なマーケターを、十分に鼓舞するものであるに違いない...... (2011.11.08)













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