SNSのマイクロインフルエンサーには何よりも"キュレーション"能力が求められる! ......

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佐々木俊尚
キュレーションの時代
 "ソーシャルメディア" の現状については、どうしても "マイクロインフルエンサー" (<「自分にとって最も良き情報をもたらしてくれる人」、小さな圏域でインフルエンス (影響) を他者にもたらす人> ◆参照① ) の存在を抜きにして理解することはできない。
 多少強調して表現するならば、それぞれの "ソーシャルメディア" とは "マイクロインフルエンサー" 的役割を果たす者の "ファンクラブ" なのだと言っても過言ではなさそうである。それは、広く実感として受け容れられている事実ではなかろうか。

 ただ、そうした "マイクロインフルエンサー" は誰でもが担える役割だとまでは言えないのかもしれない。相応の "キャパシティ" が要求されそうだからだ。
 ちなみに、その "マイクロインフルエンサー" を支える能力については、暫定的にではあるが、以下のような能力要素を考えてみたことがある。( ◆参照② )

  1."文脈(コンテキスト)" 洞察力、メディア操作能力
  2."自分" という軸足を持った自己表現・参加能力
  3."専門分野" 発の伝達能力、成熟コミュニケーション能力
  4."コラボレーション" 能力、調整能力
  5."コミュニティ" 参加・運用能力


 ◆参照① SNSで注目度が高まる"マイクロインフルエンサー"!その影響力の数値化"Klout"!?( 当誌 2011.11.17 )
 ◆参照② ソーシャルメディア興隆領域での"時代の寵児"とはどんなスキル保持の人材像か?( 当誌 2011.11.13 )

 なお、これらの能力要素が欠かせないことは確かだとはしても、これらの必要性を頷かせ、納得させるためには、何か中心的イメージ/コンセプトが欲しいような気もする。
 そこで引き合いに出したいのが、聞き慣れないかもしれないが "キュレーター( ← キュレーション )" という言葉なのである。とりあえずの意味は次の通りだ。

―――― <◆キュレーション(Curation)
「情報を価値付けし、情報と情報をつなぎ合わせて新しい価値(文脈=コンテキスト)を生み出す」という行動や概念を指す。>
ネット海

 この言葉に、最初に注目したのは下記のエントリーであった。

 ◆参照③ スマホとは"機能をキュレートされたデバイス"!/"キュレーション"概念に注目!( 当誌 2011.08.31 )
  ※ 「情報過多の時代」の鍵は「キュレーション」/WIRED ARCHIVES/  これは 非常に重要な記事だと思われる!
 ◆参照④ 情報過多の時代の鍵"キュレーション"で問われるのは"メタ鍵"としての編集能力!( 当誌 2011.09.01 )

 それらのエントリーでは、"スマートフォン" は、"キュレーティッド・コンピュータ" なのだという解釈を示した。つまり、"スマートフォン"( "iPad" も然り)は、まるで "情報の海(情報過多)" と化し、複雑化したコンピュータ・アーキテクチャー情報群を、実にコンパクトに "キュレーション" して再編集・再構成した "キュレーティッド・コンピュータ" なのだと。
 天才ジョブズ氏ならではの "キュレーション" 作業が、"新しい価値" としての "iPad" を生み出したというわけなのである。

 そこでの "キュレーション" は、コンピュータの再編集・再構成という場面で引き合いに出したわけだが、この言葉は、決してそれに限定されない。
 <「情報過多の時代」の鍵は「キュレーション」>だと言われるように、「情報過多の時代」である現代にあっては、そうした状況に見合った対処をしようとして、至るところで "キュレーション"(= "過多情報" の独自視点からの再構成!)が求められている。
 そして、今や "情報の海(情報過多)" そのものと化してしまった "ウェブ情報環境" にあっても当然それが求められている。その文脈から "ソーシャルメディア" が注目されているのだと考えて良さそうである。

 と言うわけで、人と人との "つながり" を特徴とする "ソーシャルメディア" におけるその "情報伝達" の側面では、"情報の海(情報過多)" を "泳ぎ切る(=再解釈する)" ための "キュレーション" が重視されている。"ソーシャルメディア" が提供する視点・視角によって、世界の見方の焦点が定まる......、とでも言おうか。
 そして、その "キュレーション" は、主に "マイクロインフルエンサー = キュレーター" によって果たされている、と考えられる。

 こうした事情によって、、"マイクロインフルエンサー" にとっては、"キュレーター" としての能力が最も大きな比重を占めると想定されるのである。
 この "キュレーター" という役割・能力に焦点を合わせて、前記の5つの暫定的な能力要素を振り返るならば、それぞれが持つ意味もなお一層見えて来るのではなかろうか。
 詳しくはまた日を改めて検討してみたい。

 さて、次に、この "キュレーション" という言葉を巡って著された、佐々木 俊尚 (著)『キュレーションの時代 』から重要だと思われた若干部分の引用をしておきたい。
 先ず、同氏は "キュレーション" という言葉を次のように定義している。

キュレーション【curation】
無数の情報の海から、自分の価値観や世界観に基づいて情報を拾い上げ、そこに新たな意味を与え、そして多くの人と共有すること。>
( 佐々木 俊尚 (著)『キュレーションの時代 「つながり」の情報革命が始まる』 [ちくま新書]/筑摩書房/2011.02.09 )

 そして、下記のような分かり易い叙述を与えている。

―――― < 情報ノイズの海は、そのまではただ漠然と広がっているだけで、いったいどこに自分にとって良い情報が溜まっているのかさっぱりわからない。なんの羅針盤もないままその海にこぎ出しても、あまりの広大さに途方に暮れてしまうだけでしょう。
 でもその遠浅の海のあちこちには杭が差し込まれ、その杭の周囲には情報ががゆるやかに集まってよどみを作っている。あなたは情報そのものを探す必要はない。どの杭がどういう情報の溜まり場なのかを判断して、それらの杭に近寄っていって、その杭のまわりの水流に手を伸ばせばよいのです。冷たく澄んだ水があなたの手のまわりでやさしく戯れ、そこに渦巻いている情報があなたの目にたしかに見えてきます。
 だれかの視座にチェックインすることによって、私たちは情報のノイズの海から的確に情報を拾い上げることができる。
 そしてこれは、第二章でくわしく解説した「つながりの時代へ」という背景放射と大きく重なってきます。

 人のつながりによってこそ、私たちは情報を的確に受け取ることができる。
 そしていま私たちは、モノの消費よりも人のつながりを求めている。

 これは消費社会と情報社会を大統合させる大きな流れなのかもしれません。
 いまやソーシャルメディアによって細分化されたコンテキストが絶え間なく生成され、そのコンテキストという物語を通じて私たちは共鳴し、共感し、そして接続しておたがいの承認を受けることができる。そういう時代の中へと足を踏み入れつつあるのです。
 たとえば眼鏡を買うという行為は、即物的には単に「見えないものを見えやすくする」という機能を購入するだけですが、しかしそこには「眼鏡を売ってくれた田中さんの笑顔を思いだす」というつながりが差し挟まれていく。つまり二〇一〇年代の消費の本質は、
《 商品の機能 + 人と人とのつながり 》

なのです。それと同じように、情報が流れるということは、情報を得るという即物的な機能だけではなく、そこに「情報をやりとりすることで人と人がつながる」という共鳴が同時に成り立つような、そういう時代になってきている。

《 情報収集+ 人と人とのつながり 》

 だとすれば、そこには共鳴と共感を生み出すためのコンテキストの空間が絶対不可欠であって、そしてそのコンテキストを生み出すためには、検索キーワードや場所や番組といった「視点」の杭だけでは成り立たない。
 だからそこに「人」が介在する必要があるのです。
 人が介在することによって、「杭」は立ち位置や見る角度といった「視点」だけではなく、世界をどう見るのか、どう評価するのかという世界観や価値観という「視座」に進化する。そしてこの人格を持った人間という視座につながることによって、私たちは情報を得るのと同時に《 視座=人 》にチェックインすることによって、その人のコンテキストという窓から世界を見る。
 ......

キュレーターとは何か
 この「視座」を提供する人は今、英語圏のウェブの世界では「キュレーター」と呼ばれるようになっています。
 そしてキュレーターが行う「視座の提供」がキュレーション。
 本書のタイトルであるこの言葉を、ついに紹介する時がやってきました。
 キュレーターというのは、日本では博物館や美術館の「学芸員」の意味で使われています。世界中にあるさまざまな芸術作品の情報を収集し、それらを借りてくるなどして集め、それらに一貫した何らかの意味を与えて、企画展としてなり立たせる仕事。
「美術館やギャラリー、あるいは街中の倉庫など、場所を問わず、展覧会などの企画を立てて実現させる人の総称がキュレーターです。パフォーマンスなどのイベントや出版物という形を取ることもあります。『作品を選び、それらを何らかの方法で他者に見せる場を生み出す行為』を通じて、アートをめぐる新たな意味や解釈、『物語』を作り出す語り手でもあると言えるでしょう」(「美術手帳」2007年12月号)
 これは情報のノイズの海からあるコンテキストに沿って情報を拾い上げ、クチコミのようにしてソーシャルメディア上で流通させるような行いと、非常に通底している。だから、キュレーションということばは美術展の枠からはみ出て、いまや情報を司る存在という意味にも使われるようになってきているのです。>
( 同上著書より )


 われわれを取り囲み "情報の海(情報過多)" と化した現代情報環境の特徴は、"情報が過多" だというだけではなさそうだ。情報や知識というものがいわば "本籍住所(?)" に基づく "脈絡" を欠いて、唐突な感じで "要素化(アトム化)"(c.f.切り売り! ワード検索!)されていること、それも懸念される特徴かと......。
 それゆえに全体が無秩序に浮遊しているかのように目に映る。少なくともマスメディア環境はそうしたアナーキーさで満ちている。
 だからこそ、"キュレーション" された "ソーシャルメディア" が、人々の "よすが" となっているのかもしれない...... (2011.11.19)













【 SE Assessment 】 【 プロジェクトα 再挑戦者たち 】








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