"ソーシャルメディア(or SNS)" が隆盛を極める時代には、益々<消費者の「企業活動に関する情報リテラシー」の高まり>(下記記事より)が顕著となる。
ここでの<情報リテラシー>とは "情報チェック意識・姿勢" と言い換えても差し支えなさそうだ。"穏やかならぬケース" としては、"ソーシャルメディア(or SNS)" 上での "炎上" 現象が挙げられそうである。
企業の "ソーシャルメディア(or SNS)" への対応に、不自然さや情報操作(?)的手口が表面化した際、それに対して、消費者・ユーザーの "情報チェック意識・姿勢" は敏感に反応し、その反応の "連鎖" が想定外の規模へと増幅されていくことになりかねない。
しかし、<消費者の「企業活動に関する情報リテラシー」の高まり>がもたらすものは、もちろんこうした "穏やかならぬケース" ばかりではない。
東日本大震災に関する企業による "募金" 呼び掛けに対して、惜しみなく "義援金" 提供という行動に出たのもまた、善意をベースにした、この時代の消費者・ユーザーの<情報リテラシー>ゆえだとも考えられる。
ことほど左様に、"ソーシャルメディア(or SNS)" 時代の<消費者の「企業活動に関する情報リテラシー」の高まり>は、"両極端" な結果へと雪崩込むもののようであり、その分水嶺には "企業の社会的責任" という "古くて新しい" 観念が働いているように思われる。
古くは、"公害問題" のような地域の環境破壊を焦点にして企業に向けられて糾弾的に使われた "企業の社会的責任" という言葉があったかに思う。
もはや現代では、こうした意味合いでの "企業の社会的責任" は常識化しつつあり、さらに言葉の意味は拡大していそうである。
その拡大した意味合いの中には、"ノブレス・オブリージュ"(仏: noblesse oblige)という麗しい文化的観念が潜んでいるかに思われる。直訳すると「高貴さは[義務を]強制する」の意味であり、一般的に財産、権力、社会的地位の保持には責任が伴うことを指す言葉だ。いわば、企業という存在は、周囲にもたらす "社会的マイナス面" が見つめられるだけではなくて、"社会的プラス面(貢献面)" までが "評価項目(?)" に加えられる時代になったと言えようか。
特殊な文化的観念であった言葉("ノブレス・オブリージュ")が、今日、社会的に広がったその背景には、企業が向かい合う消費者が決して部分的な存在ではなくて、社会的にあまねく広がったという消費経済環境というものが横たわっていると思われる。もはや、企業が石を投げればほぼ確実に消費者に当たるという時代になったと言えようか。
したがって、各企業は、マーケティングの観点からしても "社会的評判・評価" とは無縁ではいられなくなった......。
まして、企業と親和性が深かったマスメディア時代が、"ソーシャルメディア(or SNS)" 時代へと変化しつつある現時点では、消費者=社会(ソーシャル)からの "評価" のあり様が企業の盛衰を決定的に左右する、そんな空気を生み出している。
そうした文脈での意味合いが、"企業の社会的責任" という言葉にはビルトインされ始めたわけなのであろう。
さて、今回、下記の通り引用する記事は、こうした現時点での "企業の社会的責任" という意味合いを踏まえて読むことで、内容が鮮やかに浮かび上がってくるかと思う。
"ソーシャルメディア(or SNS)" で今一番 "勝ち組" だと見なされている "ソーシャルゲーム大手企業"、しかも<多数のユーザーを抱えつつ独自の決済システムをもつサービスと、オンライン募金。その相性が良いこと>(下記記事より)が分かってもいる "ソーシャルゲーム大手企業" が、現代的な "企業の社会的責任" を "お釣りがくる程" に果たしているという姿なのである......。
さらに、ゲーム企業ならではの、<購入金額がそのまま寄付になるバーチャルアイテムを販売します。ユーザーは特別アイテムを手に入れることで、自らの関心のある社会問題の解決に貢献>(下記記事より)という "ゲーム" 的企画も面白い!
< 米ソーシャルゲーム最大手Zyngaが果たす社会的責任 - 非営利団体Zynga.orgの取り組み
アメリカ・サンフランシスコに本拠を置くソーシャルゲーム・ディベロッパーZynga(ジンガ)。2007年に創立されて以来、Facebook内で遊べるソーシャルゲーム「CityVille」や「FarmVille」など多くのヒット生み出しています。「CityVille」にいたっては一日のアクティブユーザー数は8000万人を超えており、世界で最も利用されているゲームとなっています。創業からわずか4年、2011年の売上高は10億ドルに達する見通しです。
さまざまなソーシャルサービスの中でも群を抜いた事業規模を誇るZynga。まさに「金脈を掘り当てた」という表現がふさわしい成長ぶりですが、その一方で「社会的責任」を果たす活動も積極的に行っています。今回は、Zyngaが立ち上げた非営利団体Zynga.orgについてご紹介したいと思います。
■非営利団体 Zynga.orgとは?
「ゲームを通じて世界を変える」ことをミッションに掲げ、2009年10月に非営利団体 Zynga.orgは立ち上がりました。この団体は国際的なNPO・NGOと連携しながら、これまでに1,000万ドル(約8億円)もの寄付金をZyngaのユーザーから募っています。
連携している団体は、WFP国連世界食糧計画・Save the Children・water.orgなど、世界規模で人道支援活動をおこなっている団体です。
寄付金の募り方はシンプルです。Zyngaゲームのユーザーに対して、購入金額がそのまま寄付になるバーチャルアイテムを販売します。ユーザーは特別アイテムを手に入れることで、自らの関心のある社会問題の解決に貢献することができます。
■Zynga.orgのこれまでの取り組み
Zynga.orgの取り組みが拡大したのは2010年1月に発生したハイチ地震の時です。食糧・家屋・水・教育、それぞれのテーマで活動している6団体と連携し、ハイチを支援するためのバーチャルアイテムをFarmVilleを中心に販売しました。これまでに400万ドル(約3.2億円)もの寄付を集め、学校建設や、食糧支援などに活かされています。
また、今年3月11日に発生した東日本大震災の際にも、Save the Childrenの緊急支援プロジェクトと連携し、10コのソーシャルゲームにおいて、バーチャルグッズを販売しました。この取り組みは震災直後に開始され、36時間以内は100万ドルもの寄付金を集めるなど、めざましい成果を挙げました。その際に販売された限定バーチャルグッズの一例をご紹介します。
・ FarmVille : 決して枯れない限定版ダイコンを農場に植え付ける
・ Cafe World : 日本風のデコレーションでカフェを装飾する
・ FrontierVille : 限定版の神戸牛を購入し、飼育する
・ YoVille : 日本式建築および日本風デザインの住宅や家具を購入それぞれ日本にまつわるアイテムを販売し、総額300万ドル(約2.4億円)以上の寄付を集めています。
■国内のソーシャルゲームの取り組み
国内ソーシャルゲームの最大手はグリーとDeNA。どちらの企業もその成長ぶりはめざましいものがあり、話題に欠くことがありません。DeNAがプロ野球界に参入することが決定したのは、いまだ記憶に新しいです。
東日本大震災の際にはグリー・DeNAともに、限定アバターなどをチャリティ販売し、それぞれユーザーから1.8億円ほどの寄付金を募り、日本赤十字に寄付をしました。多数のユーザーを抱えつつ独自の決済システムをもつサービスと、オンライン募金。国内でもその相性が良いことが実証されるカタチになりました。
一方で、Zynga.orgのような継続的な取り組みが無いことは、すこし残念なところであります。
ソーシャルネットワークの普及によって、消費者の「企業活動に関する情報リテラシー」は日に日に高まっています。そのような変化の中で、高い収益性を誇るその事業を社会を良い方向に変える力に活かすことは、長期的に見れば企業自身にも還元される取り組みとなるのではないでしょうか?
Zyngaによる Zynga.orgの取り組みは、ソーシャルゲーム・ディベロッパーとして模範的な社会的責任の果たし方と言えます。国内でもこのような取り組みが増えていくことを願います。...... >
( 米ソーシャルゲーム最大手Zyngaが果たす社会的責任-非営利団体Zynga.orgの取り組み/現代ビジネス - Social Good News !/2011.11.18 )
日本の "ソーシャルゲーム大手企業" も頑張っているようではある。が、この国特有のフレーズ「御蔭さまで......」という精神をさらに発揮して、現代的な "企業の社会的責任" をバリバリと果たしていただきたいものだと...... (2011.11.20)
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