SNS の伏兵!わかり合うつながりの難易度!心温まる関係とお金儲けの両立問題! ......

| | コメント(0) | トラックバック(0)

 "ソーシャルメディア" が個人間水準で大いに注目され、持て囃されたり、さらには企業ベースでも積極的にその対応が取り入れられたりしている、そんな動向は、"ブーム" を超えた時代の必然性を感じさせもする。
 しかし、"ブーム" にはいつもこうした局面があるものだ......、と醒めた視線を注ぐ人がいないでもない。
 自分としては、そこまでは醒めてはいない。が、そうは言っても、"ソーシャルメディア" の前途に待ち受ける、あるいは現時点でも潜伏している "気になる問題点" を無視するほどに楽観的ではいられない。"水を注すのはやめてくれ!" と怒られそうでもあるが、むしろ、そうした "気になる問題点" を解消するためにも "見据えて" おいた方が良さそうか......、と。

 大雑把に言えば "二点" になろうかと思う。それらはいずれも、"ソーシャルメディア" の根幹にかかわる課題であるのかもしれない。
 その一つ目は、言うまでもなく、"ソーシャルメディア" は、人と人との "つながり" を求めて生み出されるメディアであり、その "つながり" の基軸となっているのは "コミュニケーション" 以外ではない。
 そして、現代という環境では、この人と人との "コミュニケーション" 行為( "対話" と言ってもいい)自体が、"懸念の眼差し" で見つめられたり、極端な場合には "絶望視" されたりしていること、そこに起因する問題なのである。
 よりシビァなフェイズで言えば、自分と他者とが "わかり合う" ということに帰着する問題なのかもしれない。逆に言えば、こうしたシビァな痛みが社会全体に蔓延しているからこそ、"ソーシャルメディア" に期待が寄せられるのかもしれない。
 だが、内容を盛る役割(場)としてある "メディア(媒介材)" が、斬新な工夫を凝らされたとしても、果たしてどこまで功を奏するものか......、ということなのである。ここには、"メディア" が変われば "内容( "対話" の難しさ)" も改善されるとする期待が大きい(大き過ぎる?)ような気がしてならない。(とりあえず、今回はこれ以上踏み込まないでおきたい。)
 なお、下記引用叙述では、筆者自身が、"わかり合う" ためのインターネット・ソーシャルメディア活用での難しさを叙述している。

<しかし、インターネットが求めるふるまいを理解したところで、私自身を省みれば、それを実際に実行に移すことは簡単ではない。>

 二つ目、これも結構シビァな問題かと思われる。とりあえず、簡略化して言えば "ソーシャルメディア" と "経済" との関係の問題である。
 下記引用叙述で言えば、<「心あたたまる関係」と「お金儲け」を両立させようという挑戦>の問題となるわけだが、これは特に企業サイドで必然化するシビァな問題だと思われる。
 しかし、 "ソーシャルメディア" と"経済" との関係の問題は、マーケティング志向を持つ企業サイドだけに発生する問題なのかどうかを冷徹に見つめなければならない。
 先ず、企業の "ソーシャルメディア" 担当者の胸中で、まったく同じジレンマが生まれていることに気づかされるわけだ。そして、自身のポスト(職)をリスクに曝すことにさえなりかねない場合もあろう......。
 また、昨今では企業の社内での "ソーシャルメディア" 活用という話題も頻繁に目にするようになった。実情を詳細には知り得ないが、ここでも<「心あたたまる関係」と「お金儲け(プラス "権威主義的組織問題" )」>との対比関係が色濃く浮かび上がっているに違いなかろう。

 ところで、人と人との "つながり" の中身に目を向けてみると、"わかり合う" という原点の課題とともに、"社会とのつながり" という強い欲求面のあることが見逃せない。
 そして、さらに "社会とのつながり" の中身を見つめると、そこに重要な存在があることに気づかざるを得ない。"職(職業)" である。人が "社会とのつながり" を定常的に持てる形態は "職(職業)" だと言うほかないからだ。
 いや "ボランティア活動" という活動形態も考えられはする。しかし、"ボランティア" とて "経済" 的課題から自由になれる現実てはなかろう。いずれにしても、"経済" を介することで人は "社会とのつながり" を現実的・安定的にキープできると考えなければならない。
 とすれば、人と人との "つながり" を求めて形成される "ソーシャルメディア" は、"経済" との関係の課題を、当然のことながら重く視野に入れなければならないはずではなかろうか。
 まして、時代は "不況・失業" という最悪の経済環境となっていて、この状況によって人と人との "つながり" は撹乱されていると推定されて余りある。
 こうした観点からも、<「心あたたまる関係」と「お金儲け」>の問題は、企業サイドだけのマーケティング領域の特殊問題なんぞではなくて、一つの基本的問題だと言っていいのではなかろうか。ただ、<「お金儲け」>と表現すると語弊があるので "経済" との関係と言うのが妥当だと思っている。

 話は変わるが、先日、当ブログで「 職業人向けSNSに特化した"リンクトイン(Linkedin)"は"真面目な大人のサービス"! 」を書いた際には、予想外に好評であった。
 その時に意を強めたのは、"ソーシャルメディア" に対する関心度の高い "テーマ" の一つには、"真面目な大人" という点はともかくとしても、"職業人"( 職業、職探し、転職、仕事人脈 )は確実にキーワードになっているという点であった。

 以上の点から、"ソーシャルメディア" と "経済" の問題との関係というテーマが深められてゆかないと、"ソーシャルメディア" で扱われる人と人との "つながり" というテーマは "リアリティ" が伴わないままで終わってしまわないとも限らない......。
 振り返れば、"アラブの春" や "OWS運動" で "ソーシャルメディア" が果たした役割の多くの部分は、"貧困・失業" や "経済的超格差" という "経済" ベースでの人と人との "つながり" 問題ではなかったかと思い起こす。
 "ソーシャルメディア" のこの辺の問題は、"目的別" 開設という "棲み分け" で対処されていくことも十分に考えられる。となると、"ソーシャルメディア" という "括り" 自体が無意味なほどに "緩くなる" のであろうか......。
 今回は思いのほか長くなってしまった。それだけ "熟していない" ということだろうと恐縮している。
 
 さて、下記の叙述は、武田隆 (著)『ソーシャルメディア進化論』からの引用である。以上のたわごとを書くための多くのヒントをいただくことになった。
 筆者は、"ソーシャルメディア" は、"インターネットの本質" を正確に受け継いだ嫡子であるという直観で、インターネットの歴史を詳細にトレースする。
 なお、"インターネットが育った時代" を、"システムによる全体主義" に抵抗する "カウンターカルチャー"(c.f.60年代後半の世界的な学生闘争同時多発期)浸透の時代と重ねて解析しているあたりは見事だと思われた。インターネットの本質には、"カウンターカルチャー" 的要素が滲み込んでいるという解釈には注目したいところだ。

 そして、<インターネットの本質に適応するコミュニケーションのスタイル>を以下の4点で、鮮やかに特徴づけている。
 ● フラット(Flat)......<上から目線で戦略的に大衆を操作するという態度が拒否され、フラットな目線>が求められる。
 ● オープン(Open)......<オープンな人間味、生身の人間が感じられる。オープンソース>
 ● オンリー(Only)......<対話を通して、ひとりひとりを特別で唯一(オンリー)の存在として扱う態度>
 ● ロングターム(Long term)......<関係構築にかかる成熟の期間、腰を据えてじっくりと向き合う>
 これらが、同時に "ソーシャルメディア" の特徴として引き継がれていると見ていること、あるいはそこで求めせれている姿勢であることは言うを待たない。

―――― <...... 以上で、インターネットの本質に適応するコミュニケーションのスタイルがすべて出そろったことになる。フラット(Flat)、オープン(Open)、オンリー(Only)、ロングターム(Long term)と並べて、その頭文字をつなげてみれば、「FOOL(フール)」となる。これは単なる言葉遊びでしかないが、スティーブ・ジョブズのスピーチで最後を飾った、「ハングリーでありつづけろ。バカでありつづけろ(Stay Hungry,Stay Foolish.)」のFOOLとつながるおもしろさがある。FOOLには、我を忘れるとか熱中するといった意味もあり、どことなくカウンターカルチャーの残り香を感じさせる言葉でもある。  本章では、ネットワーク時代の申し子であるインターネットの本質を探った。インターネットは双方向のコミュニケーションの集合体である。そこではどのようなふるまいが求められるのか。インターネットの歴史をひもとくことで見えてきたものは、FOOLなスタンスであった。

 しかし、インターネットが求めるふるまいを理解したところで、私自身を省みれば、それを実際に実行に移すことは簡単ではない。フラットがよいとわかっていても、私が望むように私を見てほしいと他者に求めてしまうこともある。オープンになれといわれても、自己開示するのにはやっぱり勇気がいるし、オンリーにしても、面と向かって他者と向き合うには、少なからず覚悟が必要だ。それに、腰を据えてロングタームで関係を育てていくためには、相当の根気が求められるだろう。

 企業がインターネットを通して顧客と向き合う際にも、このFOOLの姿勢が求められる。フラットな目線とオープンな態度で、顧客との対話を継続して行う。このような態度が時代に受け入れられるということがわかったとしても、企業はステークホルダーと貨幣経済においてコミットしている。たとえどんなにすばらしいものであっても、お金に換算できないかぎりそれを受け入れることはできない。ひとつひとつの関係を特別に唯一なものとして扱うことが解決法だと知っても、それにかかる費用が膨大であるならば、実行することは難しい。また紡がれた関係がどんなに揺るぎないものになるとしても、それが規模としてスケールしないことには、リターンはねらえない。つまり、投資対効果がバランスしないのであれば、その施策を長期間続けることができなくなってしまう。企業にとってインターネットに適応するということは、贈与贈答と交換取引のコミュニケーションという対極の姿勢を自分の中にあわせ持たなければならない困難さをともなう。

 インターネットが私たちの生きる社会をよりよいものに変えようとするなら、現在の社会の中核をなしている「経済」という名のシステムとの連携を無視するわけにはいかないだろう。また、その経済において最も影響力を持つ存在、「企業」との連携からも目を背けるわけにはいかないはずだ。経済の持つ力をインターネットとより有機的につなげるためには、交換取引や貨幣経済や資本主義といったものから逃げるわけにはいかない。
 この問題を一言でまとめるとするならば、「ネットワークをいかに収益化(マネタイズ)するか?」という問いになる。つまり、「心あたたまる関係」と「お金儲け」を両立させようという挑戦である。これが本書の主題となっている。......>
( 武田隆 (著)『ソーシャルメディア進化論』ダイヤモンド社 2011.07.29 )


 "ソーシャルメディア" が "ブーム" に終わらないために......、と書くことが早過ぎるのは了解している。ただ、"ソーシャルメディア" には、それを承知で進められてきた "ムリ" があるように思えてならなかった。
 しかし、"ムリ" を承知していても断念したくはないのが人と人との "つながり" なのだろうと、自分も思う...... (2011.11.21)













【 SE Assessment 】 【 プロジェクトα 再挑戦者たち 】








トラックバック(0)

このブログ記事を参照しているブログ一覧: SNS の伏兵!わかり合うつながりの難易度!心温まる関係とお金儲けの両立問題! ......

このブログ記事に対するトラックバックURL: http://adhocrat.net/mt/mt-tb.cgi/1725

コメントする

2020年11月

1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30          














関連サイトへのリンク


  • 電子書籍(eBooks)制作にフォーカスしたサイト
  • 明けない夜はないことを確信するサイト
  • Green(地球環境改善)にフォーカスしたサイト
  • ソフトウェア技術者やSEのための評価と育成、人事考課制度を考えるサイト
  • さまざまな業種・業態でご利用可能なモバイル活用の予約システム!
  • 創作小説『海念と保兵衛』のサイト
  • 創作小説『かもめたちの行方』のサイト
  • 当ブログ推奨の商品を展示したAmazon ストアー!
  • 当AdhocBlogブログの過去のエントリー
  • 株式会社アドホクラット当時のサイト

★売れ筋! No.1!
家庭用"放射線測定器"

日本通信 bモバイルWiFi ルータ+1 ヶ月定額SIM BM-U300W-1M
価格:¥ 20,208
国内配送料無料 Amazon





このブログ記事について

このページは、yasuo hiroseが2011年11月21日 00:02に書いたブログ記事です。

ひとつ前のブログ記事は、
 「SNS時代の消費者の"企業活動に関する情報リテラシー"の高揚と企業の社会的責任! ......
です。

次のブログ記事は、
 「実名制SNSでのセキュリティ問題ジレンマ?/積極的なつながり志向と攻撃の回避と ......
です。

最近のコンテンツは、
 インデックスページ
で見られます。

過去に書かれたものは、
 アーカイブのページ
で見られます。

年月別アーカイブ

最近のトラックバック