今日の話題は、"ソーシャルメディア" 領域で欠かせない存在として注目される "マイクロインフルエンサー" と呼ばれる人たちに関するものであり、さらに言えば、そうした人たちの "影響度を数値化" した『Kloutスコア』というものが着目されるようになってきた現状についてだ。
ところで、先ずは、"マイクロインフルエンサー" 自体について振り返っておく。
"ソーシャルメディア" は、人と人との "つながり" が形成され深められる場であり、そこでは "口コミ" 的機能が多大な影響力を発揮しているわけだ。
また、"影響力" と言えば、その閉じた小さな場である "ソーシャルメディア" 領域では、少なくない "フォロワー" に対して相応の影響を及ぼし続けている "マイクロインフルエンサー" という存在が顕著に認められる。まあ、どのような集団、コミュニティにも見受けられる現象と言えばそうであるが。
< *マスモデルに基づいた情報流路から、ソーシャルメディアが生み出すマイクロインフルエンサーへ
...... 私はこのような 「自分にとって最も良き情報をもたらしてくれる人」をマイクロインフルエンサーと呼んでいます。小さな圏域でインフルエンス (影響) を他者にもたらす人、という意味です。
一般的には、インフルエンサーというとテレビタレントや有識者のことを指しますが、このように小さなコミュニティ内で他の人たちに影響を与え、情報の流れの軸となる人たちは有名人であるとは限りません。ごく普通のブロガーであったり、あるいはマニアだったり。でも小さな情報の圏域の中での影響力は強く、そうした場所では情報はつねにマイクロインフルエンサーから、それを追いかける人たち(フォロワー)へと流れます。
マイクロインフルエンサーは、情報アクセスを進化させる非常に重要な要素です。
そのような漠然とした概念は以前から理解されていたことですが、しかしインフルエンサーの影響力の大きさがどのようなものであるのかを、ネットを使い込んでいる人たちが実感として理解できるようになってきたのは、ごく最近のことです。......>( 佐々木俊尚『電子書籍の衝撃』/ディスカヴァ一携書/2010.04.15 )
"ソーシャルメディア" 領域でのこうした "マイクロインフルエンサー" たちは、効果的な "ソーシャルメディア" 対応によってマーケティング効果を上げたいと望む企業にとっては、まさに "金の卵(?)" であるに違いない。"マイクロインフルエンサー" が発揮する影響力によって良好なマーケティング効果がもたらされる可能性が高いと見るからである。(<インフルエンサー・マーケティングという手法>)
こういう文脈が表面化すると、"マイクロインフルエンサー" たちの誰がどの程度の影響力を持っているかを "数値化" して教えましょうか、というビジネスが生まれもする。
下記引用記事の<『Klout』や『Peer Index』>とは、端折って言えば、そうした意味合いのツールだと言えそうである。
ここまで来ている現状について、下記記事の筆者は、<『Klout』はどんな未来をもたらすのか>と題して、その "功罪(?)" を見つめている。
共感しつつ、意を強めたのは、つぎのくだりであった。
<一方で、影響力を下げてしまいそうなことは避けるようになるため、よりフォロワーからの共感を受けやすい煽動的なメッセージが増加するのではないでしょうか。
また、常にソーシャルメディア上で情報発信をし続けなければその影響力を保てないため、ソーシャル疲れなどを体感するケースも増加することになるのかもしれません。>
この辺の懸念は、十分に推量されるところであろう。そして、こうした傾向が高じてしまうと、誰にとっても好ましくない事態が熟してしまい、却ってリスクが高まる......。
「手に取るなやはり野に置け蓮華草」という句がある。"マイクロインフルエンサー" たちの "精彩な影響力" は、やはり "野" にあってこそ発揮されそうな気がしてならないのだが......。
―――― <普通の人がこれまでにない影響力をもつ未来/西村 顕一
『Kloutスコア』というものをご存知でしょうか。( ※引用者注 )
現在、企業やソーシャルメディアで積極的な情報発信を行なっている個人が敏感に反応するこの数値はソーシャルメディア上のユーザーの影響力を数値化したものです。
今回は最近とみに注目を浴びている『Klout』や『Peer Index』のようなソーシャルメディア上のユーザーの質を測るサービスについてその背景や影響を考えてみたい。
■ 『Klout』が注目される背景
TwitterやFacebookといったソーシャルメディアの浸透はこれまでは情報を受取るのみだった多くの人々に情報発信の手段を与え、マスメディアによる情報の一方的な発信から双方向的な情報交換へのパワーシフトを実現しました。
しかし、それは同時に絶対的な情報量の増加をもたらしており、そのような現状を解決する手段として『Klout』や『Peer Index』のようなものが注目されているのです。
■ 進む『Klout』活用
海外では既に2,500を超える企業がKloutを活用したデジタルマーケティングを行っています。それぞれの企業のブランドについてよく会話している個人を特定し、働きかけることでより効率的にメッセージを伝搬してもらうインフルエンサー・マーケティングという手法において必要不可欠な影響力の高い個人の特定に主に利用されています。
一例として、先日Audiのアメリカ法人も自身のFacebookページ上でユーザーのKloutスコアに基づいて、プロモーションを行うことを決定しました。また、企業とインフルエンサーを結びつけるKloutによるサービス『Klout Perks』には様々な企業によるインフルエンサーを対象とした特典が紹介されています。
実は以前からこのような手法はブログなどで行われていたわけですが(高いPVを誇るブロガーさんに記事を書いてもらうなど)、TwitterやFacebookのような近年成長してきているソーシャルメディアはブログよりもさらに情報の伝播力が高いという特徴がある故、以前にも増して注目を浴びています。
■ 『Klout』はどんな未来をもたらすのか
そのような動きは個人、企業、社会といったそれぞれのアクターにどのような影響をもたらすのでしょうか。
まず個人にとっては、ソーシャルメディアの利用が影響力を高めることによって様々なメリットが享受できるようになるため、そこでの行動が方向づけられ、ソーシャルメディア全体としての透明性・質は向上していくのではないかと思います。一方で、影響力を下げてしまいそうなことは避けるようになるため、よりフォロワーからの共感を受けやすい煽動的なメッセージが増加するのではないでしょうか。
また、常にソーシャルメディア上で情報発信をし続けなければその影響力を保てないため、ソーシャル疲れなどを体感するケースも増加することになるのかもしれません。
次に、企業側の視点に立ってみると、著名人を起用するほどのコストは当然ながらかかることはないため、安価によりリアルなフィードバックを受けながらブランドや商品のメッセージを伝えることができるようになります。
当然ながら企業ではその個別的な管理は不可能であるため、炎上などのリスクはありますが、インフルエンサーによる伝播が期待できないB2B商材などを除いて、このような手法はさらに増加することと思われます。
現状のKloutは海外サービスであるがゆえ、TwitterやFacebook、LinkedIn、Foursquareなどの情報は考慮することができますが、mixiなど日本のサービスはその計算に含めることができません。しかし、今後この波が日本にやってくることは間違いなく、それがどのような形になるのかこれからも注目していきたいと思います。>
( 普通の人がこれまでにない影響力をもつ未来 西村 顕一/現代ビジネス - デジタル・チェンジ/2011.11.15 )
( ※引用者注 )
<Kloutスコア>自体については、下記サイトの解説が参考となる。
◆参照 Twitter上の影響力を数値化するKlout Scoreの全容を解明してみた/Altarnativ BLOG - インフラ投資ジャーナル/Infra Japan/2010.03.22
"ソーシャルメディア" も、そこでの "マイクロインフルエンサー" も、どちらかと言えば "野に咲く蓮華草" の範疇なのだろうと思っている。"数値化" されたオーソライズ(?)を援用してみたり......、というのは、誰だかの言葉ではないが、「勝手にいじくるのは......」如何なものかという印象に傾いてしまうのだが...... (2011.11.17)
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