オーバーな表現かもしれないが、今年は、あたかも "ソーシャルメディア" の話題が軸となって回った一年のような気がしないでもない。自身が注目している対象が記憶エリアに大きく残るのは当たり前なのだろうが、そんな気分で年の瀬を迎えようとしている。
そんな折、好都合にも、下記引用のようなサイト記事が目についた。
"ソーシャルメディア" をめぐる今年:2011年と、来年:2012年におけるトレンドをまとめた記事である。
最初の印象は、頷けるトレンド項目はそれとしても、"馴染みの薄い" トレンド項目も並べられていることであった。若干、反芻してみて、やっと、ああ、そういう項目のことね......、といった次第であった。
下記引用部分で関心を向けたものについて二、三書いてみようかと思う。
先ず、今年:2011年の<5つのトレンド>からは、<① 消費者によるコンテンツキュレーション>についてである。
"キュレーション" という概念については、当誌でも何度となく言及してきたところである。たぶん、この概念は今後とも色濃く注目され続けるものと思われる。
<TwitterやFacebookのように、ストリームで絶え間なく流れていく情報に対して、本当に価値のある情報をキュレーションすることの必要性が高まっている、というのは2011年のトレンドして確かにあったと思います。>とあるが、そもそも、"ソーシャルメディア" の発祥自体が、"情報過多の現代" に由来することを思えば、"キュレーション" と "キュレーター" についての話題は重視されて然るべきかと思われる。
ところで、これに関しては、"自動化(プログラム化)" のツールの話題も目にするが、どうであろうか、やはり本質的な部分は "人間の能力" に依存せざるを得ないと感じている。
なお、この<コンテンツキュレーション>に関しては、引用分にも "リンク" が張られている<現代ビジネスに寄稿>されている以下の記事は興味深いことを言い添えておきたい。
◆参照 Vol.6 「分解されるメディア コンテンツ・キュレーションについて考える」/現代ビジネス - ReWired 再接続される未来――21世紀の新戦略を探して――/2011.08.18
来年:2012年における<トレンド7つ>からは、<③ ソーシャル・コマースの成長>と<⑤ ソーシャル・サーチ(検索)の進歩>とが注目できた。
いずれも奥の深いテーマであるため、また別途考察したいので、ここでは簡単に触れて済ましたい。
<③ ソーシャル・コマースの成長>に関しては、まさに、来年:2012年は、企業によるマーケティング戦略の大きな一翼として成長させられるのではないかと思われる。下記引用の図表でもその動きが予想されている。
<⑤ ソーシャル・サーチ(検索)の進歩>についてだが、"ソーシャルメディア" を活性化させた原因でもある "情報過多の現代" にあっては、"情報検索" 自体が困難を極めるわけであり、最悪の場合には、何をどう検索すれば自身の関心情報に辿り着けるのかを思い煩うことにもなりかねない。
この困惑を、"ソーシャルメディア" に蓄積された人々の同種の情報(ex.知恵袋、質疑問答etc.)を還元することで救おうとするのが、"ソーシャル・サーチ(検索)" の考え方かと思われる。
ちなみに、次のような暫定的定義も見出される。
<"ソーシャルプラットフォームとの親和性が高い拡張機能を兼ね備え、そこから収集されるユーザー個人の属性情報を解析し、検索結果を個人別にカスタマイズする検索システム。">( WEB検索の未来「ソーシャルサーチ」について考える/「テム・レイの頭の中」/2010.12.02 )
"情報検索" のニーズの高さを思えば、たぶん、この "ソーシャル・サーチ(検索)" 機能が進化を遂げる推移もまた大いに予感されるところなのであろう。
< 2012年ソーシャルメディアにおける7つのトレンド ~2011年の振り返りとともに~ from ソシエタ
2011年もダイナミックに変化を続けたソーシャルメディア、今年の振り返りと2012年のトレンド予測を同時に紹介、分析していきます。
年末になってくると、「来年の○○大予測」といったレポートをよく見かけますね。
今年も残すところ1か月ちょっとということで、ソシエタでもソーシャルメディアの1年間のトレンドを振り返りつつ、来年の動向について考察を加えていきたいと思います。■ 2011年ソーシャルメディアにおけるトレンド振り返り
2010年末に予想された2011年ソーシャルメディアのトレンドを振り返ってみましょう。アメリカのメディア、Social Media Explorerの予測を参考にしてみます。
2011年のソーシャルメディアにおける5つのトレンド
① 消費者によるコンテンツキュレーション
② ロケーション系サービス
③ ゲーミフィケーション、ソーシャルゲーム
④ QRコード
⑤ ソーシャル・コマース① 消費者によるコンテンツキュレーションは、例えば「NAVERまとめ」や「Togetter」が良い事例ではないでしょうか。TwitterやFacebookのように、ストリームで絶え間なく流れていく情報に対して、本当に価値のある情報をキュレーションすることの必要性が高まっている、というのは2011年のトレンドして確かにあったと思います。弊社代表の小林もコンテンツキュレーションのトレンドについて、現代ビジネスに寄稿しています。
② ロケーション系サービスに関しては、foursquareやGowallaといったアプリによってチェックインすることが主流でしたが、2011年6月にリクルートのRecoCheckがロケーションベースのクーポン、口コミ情報の提供を開始したり、Facebookがロケーションベースのクーポンを開始した、ということもありましたね。Infobahnによる新作アプリ"digimo"も、詳細はもうすぐ明らかになりますが、ロケーション機能×ゲーミフィケーションを活用したアプリとなっています。乞うご期待!
③ ゲーミフィケーションとソーシャルゲームは、いうまでもなく2011年の大きなトレンドとなりました。ソシエタでも、なぜマーケティングにゲーミフィケーションが必要か、その重要性を説明してきました。一方で、バッジやポイントをとりあえず付けてみる、失敗したゲーミフィケーションの事例も見られるようになってきた一年であったと感じています。
④ QRコードはどうでしょうか。早くからガラケーが発達していた日本においてはQRコードは目新しいものではない、と感じる人も多いでしょう。「QRってあれでしょ、白黒の模様を読み込むとサイトに飛べるってやつでしょ」というのが一般的な理解かもしれませんが、ここ最近見られるQRコードの活用に関しては、白黒の地味な模様とは限りませんし、サイトに飛ぶだけではなく表現の幅も非常に広いです。最近、ソシエタで紹介した、QRコードを活用して音声メッセージをクリスマスギフトに添付するプロモーションなどをみても、海外ではクリエイティブなQRコードの活用がトレンドになりつつある、といってよいでしょう。
⑤ ソーシャル・コマースは、2012年のトレンド予測でも挙げられているので、後ほどコメントします。
■ 2012年ソーシャルメディアにおけるトレンド予測
アイルランドのメディア、Simply Zestyにて、2012年に現れてくるであろうトレンドが予測されています。
2012年のソーシャルメディアにおけるトレンド7つ
① テレビのソーシャル化
② デフォルトでソーシャルに
③ ソーシャル・コマースの成長
④ ブランドによるコンテンツを用いたプロモーション
⑤ ソーシャル・サーチ(検索)の進歩
⑥ タブレット普及による電子書籍の加速
⑦ Facebookは依然として強い② デフォルトでソーシャルに、④ ブランドによるコンテンツを用いたプロモーション、⑥ タブレット普及による電子書籍の加速、⑦ Facebookは依然として強い、といったあたりは、現在の延長戦上に理解できる気がします。最近、mixiの利用者数の集計方法の変化により、国内SNSシェアにおけるFacebookの勢いが明らかになりましたが、この傾向は2012年度も続くと考えられます。
個人的にどうなるのか特に面白いと感じているのは、① テレビのソーシャル化、③ ソーシャル・コマースの成長、⑤ ソーシャル・サーチ(検索)の進歩あたりです。
まず、① テレビのソーシャル化は注目したいところです。現在、Huluの登場によりタブレット端末で映画をみる人が増えてきたり、スマートフォンで動画を視聴する機会が増えるなど、いままで別々だった端末の機能の境界線が曖昧になってきています。テレビのソーシャル化が、2012年内にどこまで普及しうるかはさておき、企業の顧客へのアプローチにインパクトを与えることは間違いないでしょう。このトレンドには注目していきたいと思います。
次に、③ ソーシャル・コマースです。2011年のトレンド予測にも入っていましたが、実際に多くの企業にてソーシャルコマースが導入されてきました。
コンサルティング会社Booz&Companyの報告書によると、ソーシャルコマースは2015年までにグローバルで300億ドルの市場規模になると予測されています。まだまだ発展途上ですが、昨年に引き続き注目していくべきトレンドだと考えます。
Booz&Companyの報告書(英語)
最後に、⑤ ソーシャル・サーチ(検索)の進歩は、不確定な要素は多いものの注目すべき分野だと思います。Googleは+1ボタンやGoogle+の導入でソーシャルな情報を重視する姿勢をみせていますし、Twitterはソーシャル・サーチのスタートアップJulpanを買収しています。ソーシャル・サーチにおけるブレイクスルーは、ソーシャルメディア全体に大きな影響を与えうるため、2012年注目していきたい分野です。
この1年間だけでも大きな変化があったソーシャルメディアの状況ですが、2012年もワクワクするトレンドが多く今から楽しみです!
[Social Media Explorer]
[Simply Zesty]INFOBAHN>( 2012年ソーシャルメディアにおける7つのトレンド ~2011年の振り返りとともに~ from ソシエタ /WIRED JAPANESE EDITION - BUSINESS/2011.11.27 )
Social Media Account Planners
大出卓史
こうした推移・予測を目にすると、"ソーシャルメディア" のジャンルが、その現実的なニーズに対応つつ "機能的分化"・"統合" とを加速度的に進展させているのが分かる。で、利用者たちが大なり小なり前提視する、"ソーシャルメディア" の "コミュニティ" 的性格はどう変貌を遂げていくのであろうか...... (2011.11.29)
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