Facebookは「人間的なつながり」を壊すか/結局、皆"リア充"を軸足にしている! ......

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 "ソーシャルメディア賛歌" の風潮は、時として、このメディアがリアル世界での<人間的なつながり>を極端に変質させるのではないかとの危惧の念を抱かせたりもするようだ。だが、結局、皆 "リア充"(リアル世界の生活が充実していること、人)やその延長としての実ある<人間的なつながり>を志向しているようだし、その発想を軸足にしながら "ソーシャルメディア" とつき合っているようである。

 下記引用記事は、改めてそんな "当たり前の事実" をクールに伝えているかのように感じさせた。

つまり、何も変わってなどいなかったわけだ。どれほど熱心なFacebookユーザーでも、本当に親しい相手の数は依然として限られているのだ。「情報伝送のコストが非常に低くなっているため、われわれはより多くの知人と接触するようになっている。しかしそれは、われわれがよりたくさんの友人を持っているということを意味するわけではない」>(下記引用記事)

 <本当に親しい相手の数>が相応に限られているという点が示唆するのは、"(能力)等身大としての人間的なつながり"、すなわち "リアル世界と変わらない人間的なつながり" が希求されているという事実ではないかと了解できる。
 いわゆる "ネトゲ廃人" 的に "ソーシャルメディア" に "のめり込む" ユーザーがいたり、そうした彼らが "ネット上での友人数" を過大評価するケースもないではない。しかし、そうしたケースを "ソーシャルメディア" ユーザーの最大公約数だと見なすべきではなさそうである。

 問題なのは、過剰とも思われるほどに "ソーシャルメディア賛歌" を演出して、その事によってマーケティング効果のみを上げようと目論む風潮なのかもしれない。昨今の動きを見ていると、この風潮が "目に余る" 印象を受ける......。
 その場合、それに "迎合(?)" してゆくユーザーが、"ソーシャルメディア" の潜在的可能性を自ら貶(おとし)めてしまうという残念な結果に至ることはあり得よう。
 まあ、この辺の推移・動向は、まさしく "ソーシャルメディア" ユーザー自身の振舞い方自体に掛かっているはずに違いない......。

Facebookは「人間的なつながり」を壊すか

<数百人を「友達」にできるソーシャル・ネットワーク・サービスは、人間のつながりに根本的な変化をもたらしているのだろうか。『Facebook』を対象にした研究結果から考察。>

 映画『ソーシャルネットワーク』(日本語版記事)と、Facebookが持った社会的な影響力について、『The New York Review of Books』にZadie Smith氏が雄弁なエッセイを書いている。

 Smith氏の見方は悲観的だ。魅力的な文章なので、長くなるが引用させてもらおう。

Facebookの上では、人はデータの集合となり、「還元」される。人格や友情、文章、感受性といった全てが縮小される。それはある種の超越的な経験だ。われわれは身体や、ややこしい感情、欲望や恐怖などを失う。

肥大した自意識に嫌気が差し、そこから背を向けてこうした世界に向かおうとする人たちは、あまり過剰な期待を抱かないほうがいい。余計なものを脱ぎ去り、ネットワークに接続された自己は、自由になったようには見えない。むしろいっそう束縛されているようだ。

『Facebook』の[Mark] Zuckerberg CEOは、Facebookを通して、ノウアスフィア(noosphere)のようなものを作ろうとしているように見える。同じひとつの精神を備えた、ひとつの世界環境としてのインターネットだ。[ノウアスフィアは、テイヤール・ド・シャルダンらが広めた「人間の思考の圏域」を示す言葉。人類は、生物進化のステージであるバイオスフィア(生物圏)を超えて、さらにノウアスフィア(叡智圏)というステージへ進化するという理論。インターネットにおける「知識集積」の比喩として用いられることが多い]

Facebookのノウアスフィアでは、「選択」(これは最終的には「買う」ことを意味するのだが)をする存在でありさえすれば、あなたが何者であるかなど全く問題ではない。もっとたくさんの人から好かれたい人々は、自分の中の普通と異なる部分を目立たなくしていく。つまりそこは、ひとつのフォーマットに従ったひとつの世界なのだ。

われわれにとっては、自分は特別な人間であり、「買う」ことは付随的なことだが、Facebookに降り注いでいる広告の金にとっては別だ。広告主にとっては、われわれは買う能力のある消費者であり、そこに、いくばくかの人格や写真が付随している。もしかしたら、われわれが自分をそのように考え始めることもありうるのではないだろうか。(省略)


 ......

 筆者個人は、Smith氏のように、Facebookに溢れている陳腐さについては好きとは言えないのだが、しかし、この新しい社会的メディアについては、もっと大きな視点で見たほうがいいだろう。

 筆者は昨年、Nicholas Christakis氏とJames Fowler氏が行なったソーシャル・ネットワークに関する研究について、Wired誌にエッセイを書いた。その研究は、Facebookが「現実の生活」に及ぼす影響を調べたものだ。われわれがオンラインで、他の人たちの様子を何時間も追跡し、写真や最新コメントに反応しているとき、実際の友人の数は減ってしまうだろうのだろうか。

 彼らの結論は、いささか拍子抜けのする内容だった――人間の本質は非常に変わりにくいものであり、たとえMark Zuckerberg氏といえども、そうそう変えられるものでないということを差し引いても。以下、自分のエッセイから引用しよう。

かつて、社会的な交流は空間によって制限されていた。われわれは実際に出会っていた。しかし次第に、技術が介在し始めた。電報から電話、電子メール、Twitter。これらの技術はどれも、それまでのコミュニティが破壊されるのではという懸念を生じさせてきた。電話は家庭生活を破壊するかもしれないとか、Facebookの「友人」によって現実の友人が無視されつつある、とか。

しかし、技術は社会ネットワークの本質を変えるだろうか? それとも技術は単に、それを拡大するのだろうか。たとえば、他者と親密な友人関係を築く人間の能力の限界は、驚くほど一定していることが以前から知られている。世界中のどの国の人に尋ねても、自分がつねに信頼を寄せる相手、「腹心の友」の数は、たいてい4〜7人であり、変わることはない

一方Facebookでは、ユーザー1人当たりの「友達」の数は平均約110人だ。そのため一部の研究者たちは、ウェブによって、人間のネットワークの本質そのものが変わりつつあるのではないかと考えるようになった。有史以来われわれは初めて、何百人という人たちと常につながっていられる時代を迎えた。したがって、コンピューターは脳の限界を補う役割を果たしているという見方が生まれたわけだ。

しかし、Christakis氏とFowler氏は、上述のような見方に懐疑的だ。彼らは、ある大学における学生たちのFacebookページを調査し、[ユーザーどうしがFacebookの自分のページに相互に写真を載せているかどうかを調べるために]何千という写真を分析した。その結果、オンライン・ネットワークにおける学生1人当たりの親しい友人の数は、平均6.6人であることが明らかになった

 つまり、何も変わってなどいなかったわけだ。どれほど熱心なFacebookユーザーでも、本当に親しい相手の数は依然として限られているのだ。「情報伝送のコストが非常に低くなっているため、われわれはより多くの知人と接触するようになっている。しかしそれは、われわれがよりたくさんの友人を持っているということを意味するわけではない」とFowler氏は書いている。

 技術は影響力を持つし、Facebookは魅力的でかつ当惑させるような現象だ。しかし、筆者は人間どうしのつながりを信じており、それがサイトに表示されるちょっとした広告くらいで消え去るものでないと思っている。

 いつかFacebookの時代が終わり、また新たなソーシャル・テクノロジーが現われて、データを無料で置かせる代わりにユーザーどうしの交流をお金に変える新たな手法を実践するようになっても、そこにはやはり、これまでと変わらない人間性が存在していることだろう。

[日本語版:ガリレオ-高橋朋子/合原弘子]

Facebookは「人間的なつながり」を壊すか/WIRED JAPANESE EDITON - ARCHIVES

 最近は、"ソーシャルメディア" 利用に関する "リテラシー" に注目が集まってもいるようだが、良い悪いの判断はおくとしても<ユーザーどうしの交流をお金に変える>(上記引用記事)意図が次第に濃厚となっている傾向をそれとして認識しておくことも欠かせないと思われる...... (2011.12.18)













【 SE Assessment 】 【 プロジェクトα 再挑戦者たち 】








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