電子メールは、企業(生産性の向上!)と若い世代(感情の共有!)との両極から挟撃? ......

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 欧州最大のITサービス企業である仏Atos社が、社内の電子メールを近く廃止するとのことだ。一言で言えば、 "生産性を阻害" している、ということになりそうだ。(下記引用記事【記事 1】)
 また他方には、すでに米国の若い世代の間では、ソーシャルメディアの普及で電子メールは少数派だとも言われてもいる。<『YouTube』や『MySpace』といったユーザー作成コンテンツ(UGC)>を媒介したコミュニケーション・スタイルへとシフトしてきたということなのであろうか。(下記引用記事【記事 2】)

 言うまでもなく、その根拠はまったく異なるにしても、一時はビジネスでもプライベート事でも重宝がられた電子メールが、今や鬱陶しい(?)ものと蔑まれつつ、まるで "挟み撃ち" を喰らっているかの印象である。
 確かに、電子メールにおける "メール" は、ソーシャルメディア時代にラインアップされた他のメディアに比較すると何かと "手間がかかる"。発信者のもとでの文章作成作業から、受信者側での処理(読み込み作業)に至るまで、そういうことになる。この点は、ビジネス、プライベート事の両極に共通しているのかもしれない。

 で、その "手間がかかる" という内実に踏み込むと、ひょっとしたら "手間" というよりも "思考作業" が厭われている気配が無きにしも非ずか? "文章" の作成と読み込みとは、"思考作業" そのものだと考えられるからだ。
 ビジネス場面での、<論点や質問がいくつも込められた、考え抜かれた入念な電子メール>(【記事 1】)というくだりにはそれが書かれているはずであろう。
 この辺に配慮すると、"生産性の向上" を目論んでいながら、経営に不可欠な "思考力" を軽視することにつながりはしないかと気になったりする。

 また、若い世代の "コンテンツ媒介"(感情の共有!)のコミュニケーション場面では、確かに "SNS" が "同好の仲間" で構成されることが一般的なので、煩わしい "文章=思考" のプロセスは割愛可能となるはずだ。
 しかし、もちろん、世界は "同好の仲間" ばかりで構成されているわけではない。価値観、感性が "異質" な他者たちと切り結ぶ場面は避けても避けられない。その時、それがすべてではないが、"文章=思考" のプロセスをも必要とすることが十分に考えられる。こうした懸念が次の部分にも表現されている。
<しかし、真の疑問は、こうしたティーンエージャーが就職して、電子メール中心の職場環境に入った時に、オンライン・コミュニケーションの姿がどのように変わるのかということだ。>(【記事 2】)

 電子メールの "人気や処遇(?)" に、こうしたことまでこだわることはないのかもしれない。が、まるで "ババ抜き" の "ババ" のような "偶発性" として見られているかもしれない "炎上" 事件なども、"文章=思考" プロセスが軽視された結果だと読めないこともない......。
 ついでに書き添えておくと、電子メールの "ステイタス低下" 傾向が、"電子書籍" においても訪れないとは決して言い切れない点である......

【記事 1】

 <欧州最大のIT企業、社内電子メールを廃止

欧州最大のITサービス企業である仏Atos社が、社内の電子メールを18カ月以内に廃止する。電子メールは「時代遅れ」になるのだろうか。

 欧州最大のITサービス企業である仏Atos社が、社内の電子メールを廃止する。[『Telegraph』の記事によれば、18カ月以内に全メールを廃止するという]

 同社のティエリー・ブレトン最高経営責任者(CEO)によると、同社のスタッフが受けとる平均200件の電子メールのうち、価値があるものは15%にすぎず、スタッフは週に5~20時間を電子メールの処理に取られているという。ブレトンCEOは、電子メールに代えて、インスタントメッセージ(IM)などのチャット的なコミュニケーション手段を使ったほうがよいとしている。
 ......
 しかし、社内連絡の電子メール廃止が、実際にスタッフの生産性を向上させるのかはそれほど明確ではない。社外との連絡にはまだ電子メールが使われているとすれば、スタッフは引き続き電子メール・クライアントを使う必要があり、電子メールによる仕事の中断は終わらないだろう。

 それに、IMと電話は、電子メールと同じくらい生産性を阻害するという調査結果もある。問題は電子メールではなく、仕事の中断だ。Atos社の社内電子メールの85%は価値がないのかもしれないが、社内メールを廃止したからといって、社員が生産性のないコミュニケーションをやめるわけではない。

 妨げを別の妨げに切り替えても問題は解決しない。現実には、論点や質問がいくつも込められた、考え抜かれた入念な電子メールは、定期的なIMの弾幕よりは邪魔にならないはずだ。もちろん、ブレトンCEOは、同社のなかで最も簡単に電子メールをやめるという決断をできる人だったろう。彼には秘書がいるからだ。 ......

TEXT BY Peter Bright
TRANSLATION BY ガリレオ -緒方 亮
 >
欧州最大のIT企業、社内電子メールを廃止/WIRED JAPANESE EDITON - BUSINESS/2011.12.06


【記事 2】

 <ティーン:電子メールは少数派、ソーシャルメディアの普及で

米国のティーンエージャーの間では、コミュニケーション手段としてSNSを利用するのが普通で、電子メールを利用するのはもはや少数派であることがわかった。企業ではまだまだ電子メールが主流だが、将来は変わっていくのだろうか?

 電子メールは、ほとんどの大人にとって主要なコミュニケーション手段だが、若者によって日陰の存在に押しやられる日が来るかもしれない。

 Pew Internet & American Life Projectの調査により、ネットを利用するティーンエージャーの大半が、コミュニケーションの手段として電子メールではなくソーシャル・ネットワーク・サービス(SNS)を利用していることが、またもや明らかになったのだ。

  友だちに毎日電子メールを送っているティーンエージャーは全体のわずか14%で、日常の社会的コミュニケーションの手段として当方が用意した選択肢の中では、最も割合が低かった。

  また、複数のコミュニケーション手段を利用するティーンエージャーもいて、彼らは利用可能なコミュニケーション手段なら何でも使う傾向が強い。しかし、このような層に限ってみても、毎日友だちに電子メールを送っていると答えたのはわずか22%だった。

 このような変化のきっかけは、どうやら『YouTube』や『MySpace』といったユーザー作成コンテンツ(UGC)サイトを、ティーンエージャーが積極的に利用し始めたことにあるようだ。

 Pew Internet & American Life Projectによれば、ティーンエージャーの59%がオンライン・コンテンツを作成しているという。そのため、コンテンツ配信とコミュニケーションの機能を兼ね備えるこうしたサイトが、若者の電子メール離れを加速させているようだ。
 しかし、真の疑問は、こうしたティーンエージャーが就職して、電子メール中心の職場環境に入った時に、オンライン・コミュニケーションの姿がどのように変わるのかということだ。

 『LinkedIn』などのSNSサイトや、あるいは、『Ning(日本語版記事)』などのSNS作成支援サービスがより職場環境に適した形になったものが、新たに人気を獲得するのだろうか。それともSNSは若い世代だけに人気のあるサービスにとどまり続けるのだろうか。電子メールの利用をやめられる自信がある読者は、ぜひコメント欄[原文記事]に投稿してほしい。......

[日本語版:ガリレオ-佐藤 卓/長谷 睦]
 >
ティーン:電子メールは少数派、ソーシャルメディアの普及で/WIRED JAPANESE EDITON - ARCHIVES/2007.12.20

 「下手な考え休むに似たり」という言い草もあるし、文章と口先だけで勝負している人種がいることも "文章=思考" を敬遠させることにつながっているのかもしれない。
 が、それでもなお "文章=思考" をよすがとするコミュニケーションを超える確かなものはなさそうな気がする...... (2011.12.09)













【 SE Assessment 】 【 プロジェクトα 再挑戦者たち 】








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