かねがね思ってきたことの一つに、ネット環境やその操作性が抜群に優れた "スマホ、タブレット" のシステム環境などは、もっと "社会的課題" の解決(社会的弱者支援)に応用されて然るべきだという点がある。
人が "より快適" となる商品・サービスもあって一向に構わないのだが、通常生活自体に "不便さ" が強いられた、"ハンディを背負った人たち" を支えるためにこそ、"ハイエンドな IT ツール" が惜しみなく活用されるべきではないか、と。
以前にも以下のようなことを書いたことがある。
< ...... ネット環境は、"地元の利便性" に目を向けるかたちで "実" を取り戻す! 必要があるなぁ......、と思ったりする。...... >( "タッチパネル"の"iPad"で,"買い物難民(弱者)"向け"ePub 電子書籍"はどうだろう( 当誌 2011.01.28 ) )
そして、"ハンディを背負った人たち" と言えば、この国この社会は、まるで津波が一気に襲いかかろうとするかのような非常事態を迎えつつある。"高齢化" → "高齢者独居世帯" の激増という大問題だ。しかも、"社会保障"・"社会福祉" の内実がじり貧状態だとあれば、この上ない悲惨な状況となる得ることが容易に想像される......。
いろいろな対策が講じられる必要がありそうだが、差し当たって "低廉化" が進む "ハイエンドな IT ツール" を、より効果的に動員させて良さそうではないか。
"少子化" により "介護" などの福祉関係の人材とて逼迫することは目に見えているのだから、なおのこと "IT" で賄える領域の作業は速やかに実施されて良いと思われる。
今回取り上げる記事は、そうした問題状況に対する対策の一つの例だと考えている。
いろいろな角度から吟味してみる必要もありそうだが、むしろ、こうした例を刺激として受けとめて、この種の問題に向けた "ハイエンドな IT ツール" 応用というテーマを "差し迫った課題" として引き寄せることが重要ではないかと思えた。
< 岐阜県白川町が、NECのタブレット端末「LifeTouch」を活用し 独居世帯のきめ細かな見守りを実現
NECとNECネッツエスアイは、岐阜県加茂郡白川町(町長:今井良博、以下 白川町)に、Android(TM)搭載タブレット端末「LifeTouch(R)」を活用して独居世帯の安否確認や見守りなどを行うシステムを納入しました。
白川町は独居世帯に対する見守りサービスとして、これまで、社会福祉協議会等による電話連絡や民生委員による訪問など、福祉対策を行ってきました。このたび、福祉対策強化の一環として、本システムと町内に整備された地域ネットワーク(光ケーブル)をベースに、独居世帯と自治体が「LifeTouch」の画面上で日々の連絡をとり、自治体の負担軽減をしながら一層きめ細やかな見守りを実現します。
本システムは、2012年1月末から35世帯で利用が開始され、順次、独居世帯への見守りサービスのさらなる展開を計画しています。白川町のシステム利用概要は次の通りです。
独居世帯に「LifeTouch」を配布。自治体から「朝食を食べたかどうか」などの見守りメッセージを独居世帯の「LifeTouch」に定期的に送信。各世帯は「LifeTouch」の画面上のボタン(「はい」「いいえ」他)に触れるだけの簡単操作で様子を知らせることが可能。
日々のやり取りのデータは、世帯単位や全世帯の軸で自動集計・グラフ化が可能。自治体は、この集計データから各世帯の変化・兆候や、全体の傾向を素早く捉え、新たな施策に結びつけることが可能。
従来の人を介したお宅訪問に加え、「LifeTouch」画面全体に写るテレビ電話を利用することで、顔を見ながらのコミュニケーション頻度を高め、より手厚いサービスを実現。
「LifeTouch」画面上のボタン配置色合い・文字サイズのカスタマイズを行い、IT環境に不慣れな独居世帯(高齢者世帯)にやさしい操作を実現。端末に触れるだけの簡単操作で、好きな写真などの自動表示も可能。
<利用イメージ図>
......
「ライフコミュニケーションサービス」は「LifeTouch」などのタブレットを活用し、以下の機能を提供します。
・見守り機能
テキストや音声メッセージによる「お元気伺い」の安否確認機能。複数の手段により、より最適な見守り環境が構築できる。また、ワンタッチで緊急通報ができる機能もオプションとして追加可能。・テレビ電話機能
高齢者でも扱いやすいシンプルな機能と操作で利用できるテレビ電話機能。音声とカメラ映像により、顔と声を確認しながらの様子伺いなど、細やかなコミュニケーションが可能。・電子回覧機能
従来の回覧板に代わり、行政からの情報をテキスト・音声・動画・画像などで各端末に一斉配信。通常のメールとは異なり、重要情報としてポップアップ表示されるため、情報が埋もれることなく素早く分かりやすく伝達できる。また、災害情報等の緊急情報の場合は、緊急音(サイレンのような音)と同時に表示が可能。・買い物支援機能
外出することなく、地域各店舗が登録した商品を注文できる機能。タブレット端末上での簡単操作で、自宅に居ながらにして日用品等の注文が出来るほか、商品の登録も各店舗で簡単に行えるため、特売品なども随時出品出来るなど、買い物支援を通じた地産地消の促進による地域活性化も期待できる。・タブレット端末管理
自治体などに設置した管理システムから、各タブレット端末の利用者情報や稼働状況の一元管理が可能。また、ファームウェア等の端末ソフトウェアや設定ファイルの更新なども、管理システムからアップロードできるため、利用者は煩雑な端末管理が不要。...... >
( 岐阜県白川町が、NECのタブレット端末「LifeTouch」を活用し 独居世帯のきめ細かな見守りを実現/NEC/2012.01.17 )
上記の例は、いわゆる "行政サービス" に関わる "IT 化" であり、厳密に言えば "ソーシャル(メディア)" ではないとも言える。
しかし、逆に言えば、"高齢者独居世帯" 激増といった今アクティブな課題に対して、いわゆる "ソーシャルメディア" は一体何が取り組めているのであろうか? 喫緊の "社会問題" に背を向ける(?)だけならば、"ソーシャルメディア" は遅かれ早かれ無力化することになってしまう...... (2012.01.19)
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