米Apple社が、この19日に発表した "iBooks Auther(& iBooks2)" は、さすが、亡きジョブズ氏の "遺志" を継いだとされるプロダクツだけのことはあって、絶賛に値する eBook(for iBooks) エディタ(& リーダー)として仕上がっている。
ところで、これらが、亡きジョブズ氏の "遺志" だとされる事情は、下記の記事でもよく分かる。
< 米アップルが、昨年10月に死去した共同創業者、スティーブ・ジョブズ氏の夢だったIT(情報技術)活用による教育の変革に乗り出した。19日、多機能携帯端末(タブレット)「iPad(アイパッド)」で"電子教科書"を使えるようにした配信ソフト「iBooks2」と無料編集ソフトを発表。「旧態依然の教科書を変える」ことを目指し、志半ばで世を去ったジョブズ氏の遺志がまた1つ実現しようとしている。 ......
ジョブズ氏の公認伝記「スティーブ・ジョブズ」の著者、ウォルター・アイザックソン氏によると、ジョブズ氏は次にやりたいこととして、(1)電子教科書や電子教材で教育を変えること、(2)デジタル撮影の新しい技術を開発すること、(3)テレビを再発明すること――を挙げていた。 ...... >( ジョブズ氏の「夢」また1つ実現 アップルが電子教科書 「ITで教育を変える」 潜在ユーザーの獲得競争が激化/日本経済新聞/2012.01.21 )
さらに、これらが、ジョブズ氏の "遺志" であろうと納得させる理由は、これらが "的を射る" かのように "事の急所" を洞察しているからであろう。以下の3点からもそれが覗えるのではなかろうか。
① "教科書" にターゲット・コンテンツを定めた点。
"電子書籍" のジャンルはさまざまであり得るが、知的好奇心旺盛な子どもたちの読書に堪えなければならない "教科書" は、いわば "本丸" 的な位置づけにあると思われる。"電子書籍" は、このジャンルでこそ試されると見てよさそうである。
② "iBooks2" というインタラクティブな "eBook リーダー" と同時リリースを図った点。
"電子書籍" を、"どう作るか" のすべては、"どう読まれるか" に依存していることは当然なことであろう。子どもたちの旺盛な知的好奇心に対応したより高機能なインタラクティブ性の実現を目指す時、"eBook エディタ" と "eBook リーダー" とが一体として扱われることは極めて当を得ていると思われる。
③ エディタの眼目である "WYSIWYG" に徹した点。
魅力ある eBook の作成では、クリエーターは、その技術的手順に囚われるのではなく、"どう読まれるか" のかに即したコンテンツ自体の組み上げに全神経を集中すべきであろう。とすれば、そのエディタの作成操作が "WYSIWYG"( "What You See Is What You Get"、「見たものが、手に入るもの」)の原則に徹していることが不可欠となる。
この点において、"iBooks Auther" は目を見張る仕上がりとなっていそうだ。
今回の "教科書" をターゲットにした "電子書籍" 関連プロダクツのリリースは、米教育界のみならず、"電子書籍" 業界に少なからぬ衝撃を及ぼすことになりそうだ。
もちろん、米Apple社のビジネス展開を一層活性化させるであろう。少なくとも、この "優れた無償ソフト" 故に "Mac" PCのユーザが漸増しそうか......。
こうした一連のホットな "波及効果" は、亡きジョブズ氏の胸の内で織り込み済みとなっていたに違いなかろう...... (2011.01.22)
コメントする