Facebook企業活用/今のFacebookの"オープンになれ"という論調は北風! との警鐘 ......

| | コメント(0) | トラックバック(0)

 どのような "ソーシャルメディア" でも、"場の活性化" が目指されているはずであろう。それは "友達同士" の "ソーシャルメディア" であれ、企業と顧客とのそれであろうと目指すところは変わらないようだ。
 そして、"場の活性化" とは、とりあえず "本音の発言" やそれに基づく "相互の(横の)活発なコミュニケーション" が促進されてこそ達成されるものだと考えられよう。
 企業による "ソーシャルメディア" のマーケティング活用にしても、"場の活性化" を欠くならば、蓄積された発言内容にいくら分析を加えたところでマーケティング効果を刈り取ることは難しいのではなかろうか......。

 常々、こうした危惧の念が禁じえなかったのであるが、今回取り上げる下記のサイト記事( "我が事化"して初めて本音、Facebookにはもっと冷静に対処しよう/ITpro - エンタープライズソーシャル - ソーシャルネットワークキーパーソンインタビュー/2012.01.24 )では、この辺を巡る Facebook の場合の実情の、その一端が照らされている。

 <発言量が半端じゃない非活性具合。みんなコメントを書かない>点や、<言い切り=相互にコミュニケ―ションを期待していない>という現状の問題点の指摘から始まる。
 また、<コミュニティは心の機微が大事で、「オープンにしてください」といってもオープンにならない。>ことや、<「オープンになろう」......それは基本的に強制するものではない。今のFacebookの「オープンになれ」という論調は北風だと思う。>という貴重な経験則が示される。
 つまり、現状においては、"本音の発言" も難しければ、"相互の(横の)活発なコミュニケーション" も貧弱だというのである。
 そして、以下のような "辛辣な評価" へとつながる。
 <Facebookで企業が顧客と関係を構築するのはものすごく難しい。>、だから、<Facebookは個人と個人がつながるメーリングリストに変わるサービス>にとどまっている......。
 で結局のところ、手厳しい "警鐘" が鳴らされることになる。
<企業はFacebookに対してもっと冷静に対処しよう、と言いたい。"Facebook"万歳の論調がマーケッターの期待値を上げるだけ上げているが、現実は違うと思う。>と......。

"我が事化"して初めて本音、Facebookにはもっと冷静に対処しよう         エイベック研究所 武田 隆氏
 Facebookなどのソーシャルネットワークを企業のマーケティングに生かそうとする動きがここ1-2年活発だ。だが一方でその効果を疑問視する声も出始めている。ネット上のコミュニティを活用したマーケティングサービスを提供するエイベック研究所の代表取締役社長であり、「ソーシャルメディア進化論」の著者でもある武田 隆氏は、"Facebook万歳"的な"オープンになろう"といった風潮に警鐘を鳴らす。その理由やソーシャルネットワークによるマーケティングの現状を聞いた。
(聞き手は大谷 晃司=ITpro)

――最初にFacebookの企業利用の現状について聞かせてください。

 企業はFacebookに対してもっと冷静に対処しよう、と言いたい。"Facebook"万歳の論調がマーケッターの期待値を上げるだけ上げているが、現実は違うと思う。我々もずっとFacebookでのマーケティングを調査しているが、うまくいっていると言われている企業のFacebookページでもコメントがつくのはせいぜい10から15くらい。

 例えば企業のコミュニティに1000人集まったらどれくらい発言量がでるか、というところから計算していくと、半端じゃない非活性具合みんなコメントを書かない、という話なんですね。さらにそのコメントを読んでいくと、文章が言い切りで終わっている

――コミュニケーションしていない?

 言い切りというのは、相互にコミュニケ―ションを期待していないときの現象なんですよ。通常のコミュニティの場合、みんな応答を期待するので、クエスチョンで終わるんです。「皆さんどうですか?」「どうでしょうか?」といったように。でも先の例のFacebookページはほとんど言い切りになっている

 これは知人を超えたコミュニケーションのハードルがすごく高いことを物語っている。企業と個人がつながる場合、趣味や思い、価値観でつながるのがほとんど。一部の商売を除き、現実の交友関係をつたって商売するというのはごく少ない。企業側は価値観やコンセプトで話をしてほしいのに、Facebookでは知人を超えたコミュニケーションが起こりづらい

――これは海外でも同じ状況なのでしょうか。

 いっしょです。声を大にして言いたいところですが米国をまねろ、というのはシステム優位なころはそうだった。......だが、ソーシャルネットワークの利用に関しては、そんなことはない。実際、多くの企業のソーシャルメディア構築に携わっているが、ワールドワイドのコンペでもうちは負けていない。
 ......
 Facebookはそもそも今付き合っている人はいるか、恋愛対象は誰か、というのをオープンにするリストというのが下地。米国のコミュニケーションスタイルが正解ではないし、それを日本が真似をすることが必ずしも正しくない。ことコミュニケーションということになると、例えば和歌で心の機微をやりとりしていたように、こちらもこちらで歴史がある

――Facebookの利用ではよく「オープンになれ」といったことや、「透明性」といったキーワードが挙げられる。

 コミュニティは心の機微が大事で、「オープンにしてください」といってもオープンにならない。3週間ほど時間をとって安心できる場所を作っていく。「この空間はほんとに私の声を求めてくれているんだ」ということが分かると人はだんだん心を開いてくる。本音が出る。これを「修学旅行の夜」って呼んでますけど、みんなで場にコミットしてオープンになっていく。こういう心の機微を理解してみんなが本音を出せる空間を作っていく手法に、オンライングループインタビューというものがある。一方、Facebookは「オープンになればいいじゃない」というメディア

 ......「オープンになろう」......それは基本的に強制するものではない。オープンにしても変な眼で見られない、攻撃されない、そういったことがちゃんとできて初めて人は心を開く。童話の北風と太陽では、北風は「脱げ」っていいますよね。太陽は暖かくして「じゃあ脱ごうか」となる。今のFacebookの「オープンになれ」という論調は北風だと思う

――どうやって本音を引き出す"太陽"のような場を作ればいいのか?

 Facebookのタイムラインには出にくい話題がたくさんある。結局みんなに知ってもらいたいちょっといい自分しか出さない。Facebookでのコミュニケーションは個人を起点にその友達に広がっていく扇型の場。横のつながりは起きにくい。横がつながると場が低コストで活性できる。場が活性すると、ファン同士のコミュニケーションが生まれる

 こうした場を作るのはオウンドメディア(自社メディア)が向いている。友達同士のネットワークではなく、趣味や思い、価値観で集まるコミュニティ、ラウンジなんでもOKです。例えばFacebookでカップスープの話ばかりしているとおかしな人だと思われますよね。でもカップスープのコミュニティであれば問題ない。どういう器に入れているかとか、それだけで千差万別の多様性が出てくる。多様性が出てくると輝いてくる。そこで話題にしているものを、自分のこととしてとらえる「我が事化」を醸成することができる。

 ...... ちゃんと部屋を作り、匿名を担保する。例えばあなたにとって「この清涼飲料水を飲むとき、どういうシーンですか、どういう気持ちですか」と聞いていく。すると「みんなそう飲んでいるだ」となってくる。......

 我々が携わったコミュニティでは、それこそバナナからアイスクリーム、ありとあらゆる消費財で盛り上がっている。自分たちが関与することで、その商品が輝いて見えるようになる。これをどれだけ低コストでより多くできるかが今のマーケティングでやっていること。

――Facebookではうまくいかない?

 TwitterやFacebookの発言を分析しようというのはうまくいかないと思う。発言の頻度と物の売り上げは相関しない。......

 Facebookは大勢に一斉に情報を伝えられるいわば"メーリングリスト"。お互い知人同士で情報のやりとりをするもので、それを超えるのは難しい。誰かが傷つくんだったら透明にはできないですよ。法人のアカウンタビリティと個人のプライベートをオープンにするのは全然違うことで、なぜか「透明になるべき」というときにいっしょにされるから誤解を招く。

 Facebookは個人が個人として"輝く"場所。期待値を上げるだけ上げると、結局期待外れだと思われてしまう。Facebookで企業が顧客と関係を構築するのはものすごく難しい。もちろん、Facebookそれ自体は面白いツールです。Facebookは個人と個人がつながるメーリングリストに変わるサービスになり得る。だが、日本はまだまだFacebookのユーザーは多くはない。このまま終わってしまうと、この国だけ便利な"メーリングリスト"を手にすることなくメールでやり続けなければならなくなる。終わってもらったら困るんですよ。 >"我が事化"して初めて本音、Facebookにはもっと冷静に対処しよう/ITpro - エンタープライズソーシャル - ソーシャルネットワークキーパーソンインタビュー/2012.01.24


 やはり、"ソーシャルメディア" という心の機微で展開する "コミュニティの場" を、制御可能なモノと見なしていてはうまくいかないわけだ。企業にとっては、実に手ごわい対象であり、良き "教材" なのかもしれない...... (2012.01.25)













【 SE Assessment 】 【 プロジェクトα 再挑戦者たち 】








トラックバック(0)

このブログ記事を参照しているブログ一覧: Facebook企業活用/今のFacebookの"オープンになれ"という論調は北風! との警鐘 ......

このブログ記事に対するトラックバックURL: http://adhocrat.net/mt/mt-tb.cgi/1804

コメントする

2020年11月

1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30          














関連サイトへのリンク


  • 電子書籍(eBooks)制作にフォーカスしたサイト
  • 明けない夜はないことを確信するサイト
  • Green(地球環境改善)にフォーカスしたサイト
  • ソフトウェア技術者やSEのための評価と育成、人事考課制度を考えるサイト
  • さまざまな業種・業態でご利用可能なモバイル活用の予約システム!
  • 創作小説『海念と保兵衛』のサイト
  • 創作小説『かもめたちの行方』のサイト
  • 当ブログ推奨の商品を展示したAmazon ストアー!
  • 当AdhocBlogブログの過去のエントリー
  • 株式会社アドホクラット当時のサイト

★売れ筋! No.1!
家庭用"放射線測定器"

日本通信 bモバイルWiFi ルータ+1 ヶ月定額SIM BM-U300W-1M
価格:¥ 20,208
国内配送料無料 Amazon





このブログ記事について

このページは、yasuo hiroseが2012年1月25日 00:01に書いたブログ記事です。

ひとつ前のブログ記事は、
 「NHK番組"ヒューマン"/人間には無意識に"他人と協力する仕組み"が備わっている! ......
です。

次のブログ記事は、
 「"iPad 1"では残念にもレビューできない"Life on Earth"?! 注目のiBook2教科書! ......
です。

最近のコンテンツは、
 インデックスページ
で見られます。

過去に書かれたものは、
 アーカイブのページ
で見られます。

年月別アーカイブ

最近のトラックバック