NHK番組"ヒューマン"/人間には無意識に"他人と協力する仕組み"が備わっている! ......

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 "ソーシャルメディア" を素材としながら、人と人との "つながり" についていろいろと考えさせられている昨今である。
 人間に "つながる" ことへの "欲求" が存在することは疑いようがない。だが、単に "つながる" ことだけをターゲットとしていて済むのであろうか? 人と人との "つながり" の意味を知ることによって、人と人との "つながり" は、さらに鮮やかな輝きを増すのではなかろうか......。

 今、人々の関心を集めている "ソーシャルメディア" も、人と人との "つながり" が秘めた根源的な意味、それが納得できるようになれば、かなり趣きが異なってくるのではないか、とも思われるわけだ。
 その人と人との "つながり" が秘めた根源的な意味の理解に関して、非常に説得力のある感動的なコンテンツに接することができた。
 NHK 番組『ヒューマン なぜ人間になれたのか 第1集 旅はアフリカからはじまった』(2012年1月22日(日) 午後9時00分~9時54分 総合テレビ)がそれである。(【 ※ 注 】)
 以下、自分なりに了解したこの番組内容をレビューしてみたい。

【 ※ 注 】

ヒューマン なぜ人間になれたのか 第1集 旅はアフリカからはじまった

人間とは何か。人間を人間たらしめていているものは何か。私たちの誰もが内に秘めている"人間らしさ"の起源を20万年という人類史のなかに探るシリーズ(全4回)。
第1回は全人類のふるさとアフリカが舞台。アフリカでは今、人類史を塗り替える発見が相次いでいる。その最たるものが南アフリカで見つかった人類最古の装身具。貝殻で作られた首飾りで「仲間」であること示す身分証のようなものだったと考えられている。祖先たちが暮らしていたアフリカの草原は常に危機と隣り合わせだった。肉食獣の脅威、食糧不足・・・。そうした過酷な環境で生き抜くには互いに協力しあい、「絆」を確認しあうことが不可欠だったのだ。しかし自然は容赦なく祖先たちを追い詰めた。7万4千年前に起きた火山の大噴火。食料が激減し、人類は絶滅の淵に追いやられる。ところが最新の考古学調査では意外な実態が分かってきた。小さな血縁集団で生きていたはずの祖先たちが、大噴火を境に遠く離れた集団と資源を交換し合うようになったのだ。未曽有の危機を前に赤の他人とも協力し合う。現代にも通じる人間らしさがこの時から発揮されたのだ。
震災からまもなく1年。「ともに生きる」という人間集団の基本が確立した過程をたどっていく。>
ヒューマン なぜ人間になれたのか 第1集 旅はアフリカからはじまった(2012年1月22日(日) 午後9時00分~9時54分 総合テレビ)/NHK ONLINE


 この番組の主題は、次の点にある。
 <人間を人間たらしめていているもの>、<私たちの誰もが内に秘めている"人間らしさ">とは、人間は<自発的な協力>をすること、そして、これは DNA に刻まれている! こと、これに尽きる。
 "協力" をするという動物は、ほかにもいる。人間の DNA とその違いが1%しかないとされるチンパンジーも "協力" をする動物ではあるが、<自発的な協力>までは不可能であることが確認されている。その1%の差異の中にこそ、<自発的な協力>のための遺伝子がビルトインされていて、人間には生まれ持って、無意識に "他人と協力する仕組み" が備わっている! というのである。

 では、<人間を人間たらしめていているもの>=<自発的な協力>のための遺伝子は、どのような人類史の中で形成されてきたのか? この点が実に説得力ある科学的事実によって解きほぐされていくことになる。

 人類は700万年前に、 "二足歩行" という画期的イノベーション(?)によって "分岐" し、チンパンジーとは異なった進化の道を歩むことになる。
 そして、この"二足歩行" は、脳の発達を促したばかりではなく、人間に決定的な変化をもたらしたのだそうだ。
 "骨盤" の変形をもたらし、結果、"産道" を横長で、狭いものに変形させたのだ。これらの変形は、チンパンジーの出産に比べるとはるかに "難産" となり、出産方法に決定的変化を及ぼすことになり、<協力(介助する人)がなければ子孫を残すことができない状況に追い込まれた>のだという。これが、人間の生存と繁栄という次元に関わって "協力" というものが人間にとって不可欠となった大前提の事情だという。
 こうして、人間は<"生まれながらに(無意識のうちに)、協力を生み出す仕組み" が備わっている>人間へと変化を遂げることになる、と。

 こうした事情と並んで、<自発的な協力>を促すことにつながる重要かつ興味深い進化が人間には生まれて来る。
 人間と人間との "協力" にあっては、"相手の感情" が読めることが前提なのは、今も昔も変わらない。そして、"相手の感情" は "相手の表情" から読めるのも変わらない。
 そして、人間には、"人の顔とその表情" とを判断・識別できる "特別な仕組み、能力" が "生まれながらに" 備わっていると説明される。
 この点について番組では、3つのエピソードが紹介されていた。なぜだか、いずれも実に感動的であった。

 ① 言葉の壁を越えて表情(笑顔)を読み取る能力
  イラク戦争の和平交渉での米軍と民衆。米軍が地元の宗教指導者を訪れた時、民衆はその宗教指導者を拘束しに来たと思い、抵抗をする。米軍は、流血騒ぎとなることを懸念して立ち往生した。その時、米軍司令官は部下に指示を出す。「みんな、笑うんだ!」すると、にわかに空気が一変し、米軍に敵意のないことを知った民衆が治まる......。

 ② 赤ちゃんに備わった能力、人の顔に反応・注目する習性
  赤ちゃんには、生まれ持った能力として、人の顔に反応・注目する習性のあることが、脳科学(脳波の反応)によって実証されている。

 ③ 脳内の "扁桃体" が代替機能を果たす "ブラインドサイト"
  脳の "視覚野" のみに損傷があって、そのほかには異常のない視覚障害者においては、一般的な "映像" は "見えない" にもかかわらず、"人の顔とその表情" だけは "見える" という不思議な事態が起きる。
  これは、人間が人間の表情を見ている時、その情報は、視覚野と同時に脳内の "扁桃体(へんとうたい。命に関わる情報を処理する場所)" にも届き、その部分が代替機能として働き、"見える" ことにつながるからだとされる。

 これらから、人間は誰でも、他人の表情を分析し、その心を推察する。それは、仲間とともに生きる上で、相手の感情を読み取ることが必要だからであり、そこから、長い人類史の過程でそうした能力が生まれ持って備わるようになる、というのである。

 以上が、同番組の主な内容と記憶に残った点である。
 こうした内容を踏まえると、人間が 人と人との "つながり" を欲求する根底には、<自発的な協力>願望が横たわっている、と推定される。
 <自発的な協力>のための遺伝子がビルトインされており、人間には生まれ持って、無意識に "他人と協力する仕組み" が備わっている!
 これは、たとえ現実の人間のあり様とイコールではなく、"可能態-デュナミス (dynamis / dunamis)" だとしても、人と人との "つながり" で "苦慮" し続けるわれわれにとって、またとないパワフルな "エール" だと痛感させられた...... (2012.01.24)













【 SE Assessment 】 【 プロジェクトα 再挑戦者たち 】








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