"ソーシャルメディア" 時代とは、人と人との "つながり" という点への実感的着目によるボトムアップで、現行の閉塞社会における新たな "突破口" を模索している、そんな時代局面だと言うこともできよう。
だが、"ソーシャルメディア" というニューメディアのもとに百花繚乱気味の社会現象が生まれているため、一体何がメインストリートであり、支流であり、裏道であり、袋小路であるのかが分かりにくいのも事実だ。まあ、時間経過とともにやがて自然淘汰がなされていくとは思われるが......。
そんな "ソーシャルメディア" 動向の中で、多分、"非営利" での "社会貢献" を目指す "ソーシャルグッド" という流れは、今後、次第に川幅を広げて益々豊かな水量の流れを形成していくのではないかと思われる。
と同時に、この流れに接しつつ、企業(営利)サイドから展開される同方向の活動もまた次第に活性化されていくに違いなかろう。
昨日書いた 「"スペンド・シフト(消費の変化)"潮流に根差す"Socialメディア"マーケティングへ( 当誌 2012.01.09 )」 では、今、静かなうねりとなりつつある"スペンド・シフト(消費の変化)" 潮流と企業サイドでの対応とに目を向けてみた。
そこで、今回はその文脈上で、企業サイドからの "社会貢献" という側面を掘り下げてみることにした。注目するキーワードは、"コーズ・マーケティング" となる。
こちらの方が、企業による小手先対応でしかない "Socialメディア" マーケティング対応よりも、遥かに "ソーシャル" の王道だと思える
<コーズ・マーケティング(Cause Related Marketing)はその名の通り、Cause(大義)が生活者に共感されること>( 下記引用記事より )をトリガーとして商品販売、企業経営を展開するマーケティングのことである。
もちろん "大義" とは、"社会的問題" 解決やそのための義援金寄付などを意味するわけだ。
このマーケティングのポイントは、「大義への共感」によって消費者が商品を購買するという点なのであり、これは昨日の "スペンド・シフト(消費の変化)" 潮流の中でも際立った消費変化( ただ安く買うより ⇒ 地域が潤うようにお金を使う/モノを手に入れるより ⇒ 絆を強めるためにお金を使う/有名企業でなくても ⇒ 信頼できる企業から買う )の典型的な表れであることは言うをまたない。
言いかえれば、もはや企業活動は、消費者側における "スペンド・シフト(消費の変化)" 潮流に寄り添わなければ奏功しなくなったということなのかもしれない。
<「共感」が人を呼ぶ! 国内市場掘り起こしの切り札 「コーズ・マーケティング」に新たな動き
「企業は社会貢献した方が儲かるし成長する」。連載当初から筆者はそう主張してきた。もちろん、これは、筆者のオリジナルな考え方ではないし、筆者だけが唱えてきたことでもない。
経営学の神様マイケル・ポーターを筆頭に、世界中の数多くの学者、企業経営者、社会起業家が唱えてきたし、実証もされてきたことだが、最近はこの「社会貢献資本主義」ともいうべき考え方、つまり工場や金融工学が利益を生むのではなく、社会貢献が利益を生み出す「資本」であることが、体系的な理論として確立されはじめている。
社会貢献資本主義にとって、非常に重要な本が最近、日本でも出版された。ダニエル・ピンクの『モチベーション3.0 持続する「やる気!」をいかに引き出すか』(大前研一訳 講談社刊)がそれで、簡単に紹介すると、「企業は社会貢献した方が社員のモチベーションが上がって成長するよ」ということを、さまざまな科学的研究成果を元に論じたものだ。
これまでも、社会貢献に関心のある企業人などは、なんとなくそうかなあと感じていたが、この本はそれを科学的に明らかにした本であるといえる。社会貢献に関心のある人だけでなく、「社会貢献なんて甘っちょろいこと言ってんじゃないよ!! 企業の目的は金儲けだ!!」と信じてやまない守旧派のビジネス・パーソンも、世界的なビッグウェーブに乗り遅れて溺れ死にたくなければ読んでおいたほうがいいだろう。 ......
...... コーズ・マーケティングは国内市場に向けたマーケティングの切り札だ。ボルヴィック、王子ネピア、アサヒビール、森永製菓、アメックスなど、数多くの企業がコーズ・マーケティングを販売戦略に活用している。
コーズ・マーケティングは、商品の販売が社会問題の解決に役立つという側面もあるが、多くのケースで売上げを伸ばしているという効用もある。対前年同月比で概ね10%程度。多い場合は40%も売上げを伸ばした事例もある。マーケティング的に有効であることが実証されているので、企業も導入しやすいという事情もあるだろう。
それで、コーズ・マーケティングを導入する企業が増えているが、最近では新たな動きも出てきた。コーズ・マーケティングの「タイアップ」である。 ...... >
( 「共感」が人を呼ぶ! 国内市場掘り起こしの切り札「コーズ・マーケティング」に新たな動き/DIAMOND online - 消費のカタチに大異変「社会貢献」を買う人たち/2010.07.27 )
同記事ではこのあと、<コーズ・マーケティングに新たな動き。20社が集まったブックオフのタイアップ>などについて紹介し、以下のように結んでいる。
<コーズに共感してもらえれば、さまざまな分野で活躍するキープレイヤーの共感を得られ、協力を得られ、強力なネットワークを築くことができる。そのことが、プロジェクトを大きく成長させ、そこに参加する企業を成長させることができる。タイアップ型のコーズ・マーケティングは今後の大きな流れとなるだろう。>
こうした「大義への共感」という、企業サイドと消費者サイドとの "結節のカタチ" こそは、"ソーシャルメディア" が目指している一つの典型とも言えそうだと思われてならない...... (2012.01.10)
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