<"Facebook vs. Google+" の熾烈なバトル!>( ◆参照 ① )なんぞと "観戦気分" に浸っていたら、にわかに頭上から火の粉が舞ってきたという印象か......。
<グーグルが、個人情報を1つにまとめて管理する新たな方針を示した>という報道のことだ。(【 引用記事 1 】:「 グーグル 個人情報はどのように/NHK NEWS WEB/2012.02.26 」、【 引用記事 2 】:「 グーグル 個人情報の新方針で波紋/NHK NEWS WEB/2012.02.25 」)
この "方針" 実施によって<プライバシーが侵害されるリスクが高まるのではないか>という懸念が広がっているようだが、 "グーグルの狙い" はどこにあるのだろうか?
恐らく、次の点にあることは間違いなさそうだ。
<企業の広告が主な収入源となっているIT企業にとって、個人情報はいわば「宝の山」です。個人の趣向や行動を細かく把握しターゲットを絞って効率的に広告を出せれば、企業の広告を集めることができます。グーグルが今回、サービスごとに管理していた個人情報を一元的に管理する方針を示した背景には、ライバルで世界最大の交流サイトフェイスブックの台頭があります。>(【 引用記事 2 】)
そして、フェイスブックは<個人の趣向や行動などの膨大な情報が蓄積>され、<広告の表示媒体としての価値>を急速に高めているとなれば、グーグルとしては "フェイスブックへの対抗" をより効果的に展開するためには、"個人情報の一元的集約化" が何としても必要だったのであろう。
なお振りかえってみれば、こうした措置への流れは、かねてより始まっていたのだと推測される。"Google SNS = Google +" の立ち上げや それへのテコ入れとしての "Google+ Pages" の開始といった動きは、まさにこの流れへの "布石" であったのだと推測されて余りある。
◆参照 ① 米Google"企業向け SNS"機能を矢継ぎ早に増強予定!会員数でなくデータ量狙い!( 当誌 2011.11.18 )
◆参照 ② 米Google SNS:やはり"Google+ページ"を武器に,Facebook一角への追撃戦開始か!?( 当誌 2011.11.16 )
"個人情報の一元的集約化" による<広告の表示媒体としての価値>のアップ! それに基づく "企業広告量 = 収入源" の維持と拡大! というのが "グーグルの狙い" だと理解するのが極めて自然なのかもしれない......。
【 引用記事 1 】
グーグル 個人情報はどのように
グーグルが、個人情報を1つにまとめて管理する新たな方針を示したことに対し、グーグルが個人情報をどのように利用するのかは不透明で、プライバシーが侵害されるリスクが高まるのではないかという懸念が出ています。
また、個人情報を1つにまとめれば、ハッカーの攻撃を受けて情報が流出した場合、甚大な被害をもたらすおそれがあるという指摘も出ています。グーグルの運用方針に懸念
こうした懸念についてアメリカでは、36の州と特別区の司法長官が、今週、連名でグーグルの個人情報の新たな運用方針に反対する声明を発表しました。
この中では、「1つのサービスに提供された個人情報を、別のサービスでも共有するというのはプライバシーの侵害に当たるが、仕事などでグーグルのサービスに依存してきた利用者は事実上拒否できない」と批判しています。
さらに、アメリカでは、複数の下院議員からグーグルに対して、「個人情報が共有された場合、利用者が自分の個人情報を完全に削除することができるのか」といった問題提起も出されています。
一方、EU=ヨーロッパ連合の規制当局も、グーグルの新たな方針が個人情報の保護に影響を及ぼす可能性があるとして、この問題についての調査が終わるまでは新たな方針を導入しないよう求めています。
これに対してグーグルは、「ヨーロッパの規制当局から懸念の声が上がったのは予想外だが、この問題に疑問を持つどの規制当局とも話し合う用意がある」と述べています。......
何が変わろうとしているのか
グーグルは、検索や電子メール、動画投稿サイト、さらに交流サイトなど60を超えるサービスを展開していますが、これまではサービスごとに個人情報の管理の在り方を示す指針が分かれていました。
( グーグル 個人情報はどのように/NHK NEWS WEB/2012.02.26 )
3月からは、この指針を1つに統一することにしたもので、これによってグーグルは、複数のサービスを使っている人を1人の利用者として扱い、利用履歴などの情報を一体で運用できるようになります。
例えば、交流サイトに登録した年齢や職業などのデータと電子メールでやり取りした文章の内容、さらに過去に閲覧した動画の情報を分析して、その人の趣向にあった広告を絞り込んで提供することができます。
またグーグルは、個人情報を組み合わせることで利用者の利便性が高まると主張しています。
グーグルは、その例として、単語を入力したときに、以前の入力データに基づいてつづりの修正候補がより正確に表示されるようになったり、予定表と現在地、交通状況の情報を組み合わせることで、「会議に遅れる」という警告を受け取ったりすることができるようになるとしています。
グーグルは、個人情報の保護を徹底する姿勢はこれまでと変わらず、収集する個人情報が増えることはないとしたうえで、グーグルの新しい方針の下でサービスを利用したくない場合は自由に別会社のサービスにデータの移行ができるとしています。( ※引用者注 ―― 文意を損なわないよう留意して割愛箇所を施しています。)
【 引用記事 2 】
グーグル 個人情報の新方針で波紋
......
背景にフェイスブックの台頭が企業の広告が主な収入源となっているIT企業にとって、個人情報はいわば「宝の山」です。
( グーグル 個人情報の新方針で波紋/NHK NEWS WEB/2012.02.25 )
個人の趣向や行動を細かく把握しターゲットを絞って効率的に広告を出せれば、企業の広告を集めることができます。
グーグルが今回、サービスごとに管理していた個人情報を一元的に管理する方針を示した背景には、ライバルで世界最大の交流サイトフェイスブックの台頭があります。
フェイスブックは、利用者が原則、実名で写真を投稿したり、文章を書き込んだりして情報を共有する仕組みで、創業からわずか8年で8億4500万人に上る利用者を獲得しています。
フェイスブックには個人の趣向や行動などの膨大な情報が蓄積され、さらにグーグルの検索サイトよりも利用者が長時間利用する傾向にあることから、広告の表示媒体としての価値が急速に高まっています。
企業の広告が交流サイトにシフトするなかで、グーグルも去年6月に独自の交流サイトを立ち上げましたが、今回サービスごとに管理していた個人情報をまとめて運用することで、いわば総力戦でフェイスブックに対抗しようというねらいがあるものとみられます。( ※引用者注 ―― 文意を損なわないよう留意して割愛箇所を施しています。)
それにしても、"経営戦略" のために、"個人情報の一元的集約化" という "掌を返す" かのような方針転換を、"寝耳に水" のごとくに伝えられた利用者の戸惑いは容易に想像される...... (2012.02.27)
コメントする