この世界には、物事の "不均衡" を言い当てた "80対20の法則(パレートの法則)" というものがあるという。たとえば、もし成果全体の 80% が、全体メンバーの 80% によって成し遂げられていたのなら、何の不思議もないわけだが、多くの場合、20% のメンバーによって達成されている、というのだ。
裏返して言うならば、メンバーの 80% は、成果全体の 20% 分しか貢献していない......と。あるいはまた、交通事故の 80% を 20% のドライバーが占めている......と。
周囲の現象をシビァに思い返してみるならば、なるほど、と頷かされてしまうから興味深い。
下記引用サイト記事:「Facebookユーザーの7割以上は「受動的」/WIRED JAPANESE EDITON - BUSINESS/2012.02.06」 は、そうした "法則" をも思い起こさせる。
要するに、Facebook という超大規模な "SNS" が回っているのも、同社が超膨大な収益を手にしているのも、"20~30% の利用者(「パワー・ユーザー」たち)" のおかげではないか......、というわけだ。
<Facebookユーザーの7割以上は「受動的」>だという点は、事の "片面" について述べたに過ぎない。
しかも、この「受動的」という点は、しばしば指摘され続けてきた。
◆参照 SNSユーザーの多数派は「見るだけ」で「テレビ好き」
◆参照 <意外とつぶやかないスマホユーザー 「Twitterつぶやき数」は1日2回以下が約70%>( 意外とつぶやかないスマホユーザー/"何となく暇だから"閲覧! が案外多い実情!( 当誌 2011.12.16 ) )
むしろ、ここで注目すべきは、もう "片面" の事実ではないかと思われる。もう片面の "20~30% の利用者(「パワー・ユーザー」たち)" 存在こそが、超巨大なFacebook を成立させているからなのである。
そもそも、<いわゆる「パワー・ユーザー」たちがいるおかげで、大多数のFacebookユーザーは、自分が貢献する以上の情報を得ている>ことになる。
また、<同社にとって貴重な閲覧数を稼いでくれている>のは、<少数の「パワー・ユーザー」たち>によるものだとも言える。さらに<37億ドルという巨額の売り上げをもたらしてくれる広告>にしても、<少数の「パワー・ユーザー」たち>が "ページ数" を増やしその分 "ディスプレイ広告" を増加させているからなのである。
<Facobookの課題は、コンテンツを単に入手し消費するだけという人々を、今後も維持することにある>とされる。そして、<今後懸念される収益性に関する最大のリスクのひとつは、ユーザー・エンゲージメントの低下だと明言>されてもいるとかだ。
とすれば、この "ユーザー・エンゲージメント" を生み出している<少数の「パワー・ユーザー」たち>の動向こそが、Facobook社の最大関心事だと言わなければならない......。
Facebookユーザーの7割以上は「受動的」
『Facebook』における「シェア活動」の大部分は、ユーザー全体の20~30%が行うに過ぎず、平均的ユーザーはコンテンツを「消費」するだけだという調査結果が明らかになった。
伝統的メディアを特徴づけるのは「受動性」であり、柔らかなソファにもたれてテレビを観るとか、自動車を運転しながらぼんやりとラジオを聴くといったものだとされている。一握りの制作者によるコンテンツが絶え間なく与えられ、それを消費する世界だ。
そして、オンライン上のソーシャルな世界も、リアルな世界とそれほど違わないようだ。
例えば、米国の調査機関Pew Research Centerが最近実施した調査によると、平均的な『Facebook』ユーザーは、自分から友人のネットワークに向けて発信するより、ネットワークから情報を受け取るほうが多いことが明らかになっている。Facebookが「売り」にしているもののほとんど――「いいね」のコメント、友達承認のリクエスト、リンク共有など――を利用する人は少数派であり、使っていない人が多い。「シェア」の大部分は、Facebookユーザー全体のわずか20~30%がしているに過ぎない。
この調査は、こうしたいわゆる「パワー・ユーザー」たちがいるおかげで、大多数のFacebookユーザーは、自分が貢献する以上の情報を得ているということを示唆している。
同調査によれば、Facebookユーザーは1カ月に約20回、人から「いいね」というコメントを受け取っているが、人に対して「いいね」のコメントをすることは月に14回しかない。さらに、自分で写真にタグを付けるより、パワー・ユーザーによって付けられることのほうが多いし、自分から友人を招待するより友人からの招待を受け取ることのほうが多い。
一方で、同調査によるとユーザーのエンゲージメント(愛着感)は、Facebookに参加してからの時間の長さに応じてのみ高まるという。さらにその数値は、その人が持っている友人の数と比例して増える。つまり、自分から情報を発信するよりも、受動的に情報を受け取っていることのほうが多いとしても、われわれはFacebookというプラットフォームとのやりとりを、時間をかけて積み上げていることに変わりはない。
そして、こうした「やりとり」こそ、米Facebook社が欲しているものだ。同社は2月1日(米国時間)に提出した新規株式公開(IPO)のための申請書類(S-1) (日本語版記事)の中で、今後懸念される収益性に関する最大のリスクのひとつは、ユーザー・エンゲージメントの低下だと明言している。ユーザー・エンゲージメントは少数の「パワー・ユーザー」たちによって主導されているだけなのかもしれないが、彼らこそが、同社にとって貴重な閲覧数を稼いでくれているわけだ。
ページ数が増えるということはディスプレイ広告も増えるということだ。そしてFacebook社は当然、37億ドルという巨額の売り上げをもたらしてくれる広告主のことが大好きだ。従ってFacobookの課題は、コンテンツを単に入手し消費するだけという人々を、今後も維持することにある。
[Twitterは投稿せず「見るだけ」という人が多く、チャットしながらテレビを見る人も多いなど、SNSユーザーは主流メディア視聴者とかぶる層であるという調査結果についての日本語版過去記事は こちら ]
TEXT BY Mike Isaac( Facebookユーザーの7割以上は「受動的」/WIRED JAPANESE EDITON - BUSINESS/2012.02.06 )
TRANSLATION BY ガリレオ -藤原聡美
Facebook の今後の命運を制するのは、比率では "7割以上を占める「受動的」ユーザー" だと言うよりも、<少数の「パワー・ユーザー」たち>だと見なして今後の推移を見守ってゆくべきかと...... (2012.02.07)
コメントする