日本での "少子化" 推移がこのまま続けば、<今後100年間で100年前(明治時代後半)の水準に戻っていく。この変化は千年単位でみても類を見ない、極めて急激な現象>となる点、これについては、以前にも書いた。
◆参照 Socialメディアではこんな議論もアリでは?2500万円以上の損か,300万円程度か!( 当誌 2011.01.11 )
その際に引用した図表を再度取り上げておくことにする。
その時には、いずれほぼ確実に訪れるであろう "年金制度破綻" に注意を向けた。
だが、それ以前に "気づくべき重要なこと" があった。そもそも、こんな急激な人口減少の推移では "この国は持ち堪えられるのか?" という点なのである。
今回引用するサイト記事:「 データを見れば人口減少の深刻さは自明。 なぜ人口を増やす政策を総動員しないのか/出口治明の提言:日本の優先順位|ダイヤモンド・オンライン/2012.02.07」 」では、単刀直入に次のように警告する。
<生産年齢人口がほぼ半減する社会はサステイナブルか
ちなみに出生低位推計では、50年後(2060年)の生産年齢人口は3971万人(51%減少)と、4000万人を割り込んでしまう。要するに、わが国の生産年齢人口は、この50年でほぼ半減してしまうのだ。このような社会が果たしてサステイナブル(持続可能)だろうか。大いに疑問なしとしない。働く人が半分になるということは生産性の上昇がなければ、GDPが半分になるということだ。それでこの国がもつと考える方がむしろおかしいのではないか。>( 同上サイト )と。
そして、この "危機" への対応としては、<肩車型の社会保障制度の構築を急ぐ>だけではなく、<人口を増やす政策を総動員して対処>しなければならないと訴える。
そこで、<フランスを真似して出生率を上げよ>と提起されることになる。
<先進国の中には、現に政策を総動員して人口を増加させる基盤となる出生率を上昇させた国が幾つもあるのである。たとえば、フランスや英国、スウェーデンでは、この10年間で見ても明らかに出生率が上向いており、フランスではボトムの1.66%(1994年)から、わずか10~15年で出生率が2%前後にまで上昇した。2006年が2.00%、2007年が1.98%、2008年が2.00%、2009年が1.99%と高位安定状態が続いている(内閣府「子ども・子育て白書2011年版 [2]」による)。>( 同上サイト )
では、<なぜフランスで出生率が上昇したのか>?
<それは、シラク3原則と呼ばれている基本方針( 1.子どもを持つことによって新たな経済的負担が生じないようにする 2.無料の保育所を完備する 3.〈育児休暇から〉3年後に女性が職場復帰するときは、その3年間、ずっと勤務していたものとみなし、企業は受け入れなくてはいけない )をしっかりと樹立し、出産・子育てと就労に関して幅広い選択肢ができるような環境整備、すなわち「両立支援」を強める方向で政策が進められたからである。婚外子を差別しないPACS(民事連帯契約)もこの政策パッケージの中に含まれる。>( 同上サイト )との解説がなされる。
こうして、<戦後のわが国がアメリカの真似をして、世界第2の経済大国を築き上げたように、これからのわが国はフランスの真似をして、出生率の上昇を図ること、人口を増やす政策を総動員することこそが、社会保障・税一体改革と並ぶわが国の喫緊の政策課題である>( 同上サイト )との警告に至る。
さらに当筆者は、<人生で一番お金がかかるのは子育てであること>を考慮して、<若年世代の所得を増やす工夫を>とも訴えている。
加えて、<そうであれば、1つの極論ではあるが、相続税率を100%として、若い世代(例えば20代・30代)に対する贈与税率を0%にすれば、高齢者から子や孫の世代への所得移転がスムーズに運べるのではないか。>とのアイディアをも出している。
人はしばしば綺麗事では、"この国の将来" という言葉を口にしてきた。現在から "リンク切れ" したかのような他人事まがいの将来ならば何とでも口にできたわけだ。現在を圧迫しない限りでの将来については好き勝手なことが言えたし、傍若無人に振舞えた......。
だがそうしているうちに、その将来は現在の可能性を見る見ると狭め、身動きが取れないほどに現在を硬直化させ、とうとう立場を逆転させてしまった......。
もう、待ったなし! である。将来という "他人事" を "自分事" 以上に気遣う "改悛" がなければ、将来は静かに立ち去ってしまうだけ...... (2012.02.12)
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