中川 こうじ STREET CATS -のらねこ。写真集 |
もちろん、震災・津波・原発事故を被災した人々の苦痛・苦悩への共感、思い入れが先立つのは言うまでもない。むしろ、そうした感情が "ゆれるちいさな命たち" の健気な姿によってより鮮烈に湧き上がってくる、ということなのだと思う。
TV報道で、"のら" となってしまった犬たち、牛たちの姿が伝えられ、そのたとえようもない "所在なき彷徨" が映し出された時にも、絶句させられてしまったものだ。誰かれを恨むわけでもなくただ "漂う命たち" の、その姿が、逆に "人間たちの責任" を寡黙ながら糾弾しているように感じられたからだ。
今回、下記に引用したサイト記事:「フクシマ残された猫たち 戦場カメラマンが写真展/大阪日日新聞/2012.02.15」 は、"のら猫大好き" 人間としては、目に留まらないわけがなかった。
自分は、猫とは相性が良く、自宅では今4匹と共生している。
◆参照 奇跡の"クロネコヤマトなでしこ"(外猫)/行方知れずの十日後に疲労困憊で生還!( 当誌 2011.09.06 )
そんな "猫大好き" 人間なのだが、強いて言うならば "のら猫大好き" 派なのだ。
いや、それはともかくとして、危な気ながらも横暴な人の世で "インディ" に生きる "Street Cats" が、素直に好ましく思えてならないわけだ......。
しかし、"フクシマに残された猫たち" となると事情はまったく違う。人が住まない見放された地平は、たとえ "インディ" を誇る "Street Cats" であっても "地獄" 以外ではなかろう。しかも、彼らの大半が直前までは "Home Cats" であっただろうことを思えば......。
戦場カメラマンがファインダーから見つめた "フクシマに残された猫たち" の姿とその表情は、見たいと言うよりも見て何かを感じ取らなくてはならないと思えた......。
フクシマ残された猫たち 戦場カメラマンが写真展
福島第1原発事故の警戒区域に取り残された猫たちの様子を捉えたカメラマン、中川こうじさん(51)=京都市伏見区=の写真展「ぼくと猫の物語~ゆれるちいさな命たち~」が14日、大阪市北区曽根崎新地2丁目のギャラリーアルテスパーツィオで始まった。入場無料。19日まで。
猫たちを収めた作品を前にする中川さん=14日午後、大阪市北区
米国・カリフォルニア州生まれの中川さん。中東やアフリカなどの紛争地でカメラマンとして活動する一方、約10年前からは主に野良猫をテーマに撮影に取り組んでいる。東日本大震災の発生以前から撮影で東北地方をたびたび訪れており、昨年3月の震災直後から被災地に入り、動物の救助に当たるとともに、その様子をカメラに収めてきた。
会場には被災地の動物たちの今を知ってもらうと、ここ2カ月間に撮影した作品など約40点を展示。がれきを前にたたずむ姿や家屋の中に身を潜める猫たちの様子が収められ、それぞれに中川さんが感じた思いをつづっている。
中川さんは「猫たちは頑張って生きているのだから、ぼくたちがもう駄目だと思わないようにしなければ」と話していた。
午前11時~午後7時(最終日は午後5時まで)。問い合わせは電話06(6344)4885、同ギャラリーへ。
( フクシマ残された猫たち 戦場カメラマンが写真展/大阪日日新聞/2012.02.15 )
※ 以下の動画は上記とは別だけれど、切々とした訴求力を秘めている......
「のらねこ。~ぼくと猫の物語~ 中川こうじ写真展 - YouTube」
ひょっとしたら、"所在なき彷徨" でやつれつつあるのは "フクシマに残された猫たち" だけではなくて、何をやっているのか、何をやるべきなのかが次第にメルトダウンしつつあるわれわれ人間だ、と言ったら怒られるだろうか...... (2012.02.17)
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