"ソーシャルネットワークサービス(SNS)" は "時代環境" と "人の本性" とをしっかりと照らし出す "鏡" のような役割を果たしているのかもしれない。
"時代環境" と言えば、ネット上での "プライバシー" は日ごとに危うい状況へと追い込まれているかのようである。
そして、そのためかこれまで "無頓着(?)" だったかもしれない "プライバシー保護" について、利用者個々人が相応に意識するようになってきたかのようだ。
その傾向を奇しくも下記の【 引用記事 1 】:SNS ユーザーの間で「友だちから削除」が増加中/japan.internet.com/2012.02.27 が表わしている。
調査の結果、<SNS サイトでのプライバシー設定に以前よりも注意を払うようになっている>ことが明らかになったというのである。
環境変化で次第に変わってくるものがあるかと思えば、片や、"変わらぬ" ものは "人の本性" であるのかもしれない。
下記の【 引用記事 2 】:ネット上で共有する記事やコンテンツと本当に好きなものとの落差は大きい-Diggの調査結果より/TechCrunch/2012.02.25 では、"SNS" 上で照らし出された "人の本性"、その一つであるに違いない "見栄っ張り" 根性の度し難さが叙述されている。
人びとが実際に読むものと、Facebook Timelineで共有するものとの、違いを調べる調査の結果、両者の間には見過ごせない "隔たり、落差" が認められる、というのである......。
【 引用記事 1 】
SNS ユーザーの間で「友だちから削除」が増加中
Pew Research Center が2012年2月24日に公表した最新の調査によって、ソーシャルネットワークサービス(SNS)利用者は、SNS サイトでのプライバシー設定に以前よりも注意を払うようになっていることがわかった。特に女性の間で、プライバシーを保護するために「友だちの削除」の実行が増加していることが明らかになった。
同調査によれば、2011年には SNS 利用者のうち63%の利用者が、自分の連絡先の中から「友だちの削除」を実行し、友だちの数を減らしていたことがわかった。友だちの削除を実行したのは女性で特に多く、67%の女性が実行していると回答。男性の58%を上回った。また、SNS サイトから自分のコメントを削除したり、写真からタグを削除したり、といったプライバシーを保護する行動も、2009年調査時と比較して広がりを見せていることがわかった。
プライバシー保護のため、自分のプロフィールの一般公開を取りやめる人の数も増加している。プロフィールの公開を友だちのみに限定している人は全体の58%と、過半数に到達していた。友だちの友だちまでに限定している人は全体の19%。一般に公開している人は20%だった。また、プロフィールの公開を友だちにのみに限定している人はやはり女性で多く、全体の67%。男性の48%よりも高い数値となった。 >
( SNS ユーザーの間で「友だちから削除」が増加中/japan.internet.com/2012.02.27 )( ※引用者注 ―― 文意を損なわないよう留意して割愛箇所を施しています。)
【 引用記事 2 】
ネット上で共有する記事やコンテンツと本当に好きなものとの落差は大きい-Diggの調査結果より
Diggは1月にページビューが35%伸び、2010年10月以来の最多トラフィックの月になった。その理由を調べていくと、人びとは自分をスマート(頭がいい)に見せたい、ヒップ(ナウい)に、ファニー(おもしろい人)に見せたいと思ってテク系のニュースや、めずらしいコンテンツを共有するけど、罪の意識を感じるエンタテイメントや、喧嘩になりそうな政治的話題は、自分だけのものにしておく、ということが分かってきた。
Diggは、人びとが実際に読むものと、Facebook Timelineで共有するものとの、違いを調べた。...... その調査が発見したのは、人びとはインターネットの上で理想化された自分の像を見せる、という、意味深長な心理的傾向だ。
Diggのデータによると、"エンタテイメント記事(芸能記事)は読まれたすべての記事の 14% を占めるが、Timelineに加えられた記事の 4% にも満たない。政治記事も、読まれた記事の 10% だが、Timeline上では 2% 弱だ"。ゲーム記事もやはり、共有されることの少ない記事だ。
セレブの醜聞記事とか戦争ゲームが好きな人は多いが、その好みを他人に宣伝したいとは思わない。...... そういう"趣味"が人に知れると、ネット上の自分のイメージの汚点になる、と思われているのだ。また、自分のソーシャルグラフにはいろんな人がいるから、対立を誘いがちな政治的コンテンツは共有しない。だれかの機嫌を損ねるよりも、黙っていたほうがよい。...と思われている。
もちろん、ニッチの記事は、友だちを退屈させたくないと思って共有しないこともある。......
図表:TOP 100 PUBLISHED READS BY CATEGORY
とにかく、ネット上では自分を良く見せたいという動機が働く。自分のユーモアのセンスを開陳したいし、テク通(つう)なところも見せたい。Timeline上の共有回数のトップは、テク記事 5086、おもしろめずら記事 2060、世界のニュース 951、ビジネス記事 785だ。これらに対し、政治記事は 244、ゲーム記事は 72だった。...... つまり、テクノロジファン......"ネット上の見栄"の表れだろう。Diggのファンにはゲーム好きで左翼が多いが、Timeline上の共有からは、そのことは分からない。.
でも、恥ずかしがらずに、本当の自分をさらすべきではないかなぁ。本当の自分を愛してくれる人こそが、本当の友だちだ。お互いがかっこつけていたのでは、良質で実りある人間関係は育たない。どぎつい口論をする必要はないが、自分の本音を言って論争になるのは、むしろ健康的なことだ。その論争を契機に、自分の物の見方が広がることだってある。
Facebookのようなソーシャルネットワークには、人間の本人性(identity)が区分けされて、いろんな側面をいろんな人に見せるという、分裂的な性質がある。でも、正直にいろんな側面をさらしていれば、「私が何を共有するか」ではなくて、「私はどういう人間か」をベースに関係を構築できるはず。......
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))>
( ネット上で共有する記事やコンテンツと本当に好きなものとの落差は大きい-Diggの調査結果より/TechCrunch/2012.02.25 )( ※引用者注 ―― 文意を損なわないよう留意して割愛箇所を施しています。)
"変わりゆくもの" としての "時代環境" と、"変わらぬもの" と言って差し支えない "人の本性" との双方を、淡々と映し出すもの、それが "ソーシャルネットワークサービス(SNS)" のリアルさ、面白さなのであろう...... (2012.02.29)
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