"3.11" がこの国の人々の "生活意識" に大きな変容を迫ったとする見解は、広く散見できるそんな昨今かと思われる。"一理" あるどころか "百理" もあると言えようか。
"安全神話" で染め上げられてきた "日常" が一瞬の出来事で瓦解し、その "日常" によって育まれていた無数の "人生" が無残にも呑み込まれてしまったのだ。挙句に、"安全神話" の象徴でもあったはずの "原発" が "メルトダウン" という大破局に至り、"放射能汚染" が人々を恐怖に慄かせ続けている......。
子供っぽいどなたかの発言ではないが、「夢であって欲しい......」と言わせるほどの戦慄の出来事であったわけで、これが "生活者" たちの意識、価値観を根底から揺さぶらなかったとはとても考えにくい。
こんな状況下で、とある調査が<20代のオピニオンリーダー層>の "価値観" について調査結果をまとめた。( 下記引用サイト記事:20代オピニオンリーダーに社会が追いついた?--3.11を教訓に/cnet/2012.03.13 )
<これまでの調査で、震災の発生以前から積極的に社会貢献活動を行っている20代や、収入や会社のブランドよりも仕事のやりがいを重視する20代の存在が明らかになったが、今回の調査でも、社会貢献志向や脱大企業志向が20代の普遍的な価値観となっている様子>
が認められる、というものだ。そして、調査側は下記のように結んでいるという。
<「モノやお金といった既成概念にとらわれることなく、同じ価値観を共有できる仲間と刺激を与えあいながら、社会性の高い自己実現に向けてモチベーションを高めている20代の姿は非常に頼もしい。ポスト3.11は、20代が既に気付いていたことに社会全体がようやく気付いたと言えるかもしれない」>
まあ、"社会全体" に関する意識調査はなかったようなので、"ようやく気付いた" かどうかは別問題となろうが、十分に説得力のある推定ではないかと思われる。
課題としては、彼ら以外のわれわれ皆がこうした "20代の姿の頼もしさ" を称賛するだけではなく、彼らの "モチベーション" を "反面教師" 的に高めているに違いない "旧態依然とした社会矛盾" に、容赦なく目を向けて行くこと、それが不可欠なのではなかろうか......。
20代オピニオンリーダーに社会が追いついた?--3.11を教訓に
NTTアドは3月13日、「ポスト3.11に関する調査」の結果を発表した。東日本大震災がもたらした問題や影響、教訓について、20代のオピニオンリーダー層がどのようにとらえているのかを全体との比較の中で検証した。
今回の調査では、Twitterのフォロワー数300人以上を抱えるオピニオンリーダー層の20代を「20代ソーシャル志向者」と定義し、震災による価値観への影響度について全体と比較して「ポスト3.11」をどのようにとらえているかを探っている。
具体的には、「仕事」「消費」「コミュニケーション」に関する価値観
を提示し、「震災に関わらず重視している」「震災に関わらず重視していない」「震災後に重視するようになった」「震災後に重視しなくなった」の4つの選択肢から択一式で回答してもらい、結果を比較した。仕事に関する価値観で、20代ソーシャル志向者が震災に関わらず重視していると回答したのは「社会の役に立つ仕事がしたい」(55.0%、全体43.9%)、「就業時間に縛られず、自由な時間に仕事をしたい」(52.5%、全体38.1%)、「会社のブランドにこだわらないほうだ」(45.0%、全体29.3%)だった。
一方、20代ソーシャル志向者が震災に関わらず重視していないと回答した仕事の価値観は「スキルを高めるためには、大企業に入ったほうが効率的だと思う」(70.0%、全体58.9%)だった。
消費について、20代ソーシャル志向者が震災に関わらず重視している価値観は「好きなモノにはお金をかける(72.5%、全体47.9%)、「品質が良ければ価格は気にしない」(55.0%、全体40.4%)、「モノを買うより、勉強やスキルアップのためにお金をかけるほうだ」(45.0%、全体28.7%)だった。
消費についての価値観で、震災に関わらず重視していないのは「自分の家を所有したい」(55.0%、全体44.8%)、「社会動向によっては、消費を控えることがある」(50.0%、全体36.9%)だった。
コミュニケーションについて、20代ソーシャル志向者が震災に関わらず重視している価値観は「会社関係よりも、それ以外の人と飲みに行く機会が多い」(62.5%、全体29.9%)、「同じ意見や考えを持つ仲間の輪を広げたい」(55.0%、全体32.0%)、「共感してくれる仲間を増やしたい」(50.0%、全体33.7%)だった。
また「積極的にモノを仲間とシェアしたい」は30.0%で、全体の14.5%よりも高い割合は示したものの、震災に関わらず重視していないという回答の方が多く、52.5%(全体67.6%)だった。
NTTアドのこれまでの調査で、震災の発生以前から積極的に社会貢献活動を行っている20代や、収入や会社のブランドよりも仕事のやりがいを重視する20代の存在が明らかになったが、今回の調査でも、社会貢献志向や脱大企業志向が20代の普遍的な価値観となっている様子がうかがえたという。
また、他者との関係作りや自己実現といった、より高次元の欲求を満たすための消費を優先するメリハリ消費志向、意見や考え方など「コンセプトの共有」を重視する傾向もみられたとしている。
NTTアドは「モノやお金といった既成概念にとらわれることなく、同じ価値観を共有できる仲間と刺激を与えあいながら、社会性の高い自己実現に向けてモチベーションを高めている20代の姿は非常に頼もしい。ポスト3.11は、20代が既に気付いていたことに社会全体がようやく気付いたと言えるかもしれない」とまとめている。
調査は1月13~15日に首都圏在住20~59歳男女8000人を対象にネット調査で実施された。予備調査では、Twitterの利用率は全体で23.6%、20代は37.3%で、Twitterのフォロワー数300人以上を抱えるオピニオンリーダー層は全体で10.9%、20代では8.5%(40人)だった。
"旧態依然とした社会矛盾" の中には、"若い世代の非正規雇用率" の "高止まり傾向" ( c.f. 「20代前半の男性の非正規雇用比率は20年で4倍に増加」)という由々しき社会問題も目につく。
"20代" が置かれている "社会的矛盾" 環境にも十分に目がむけられなければならないはずだ...... (2012.03.15)
コメントする