"ソーシャルグッド( Social Good )" に関しては、どちらかと言えば<"非営利" での "社会貢献" を目指す "ソーシャルグッド" という流れ>( c.f. 社会貢献への"共感"が人を呼ぶ"コーズ・マーケティング"の方が"ソーシャル"王道!( 当誌 2012.01.10 ))が思い浮かべられがちだろう。
そして、<この流れに接しつつ、企業(営利)サイドから展開される同方向の活動>としての<コーズ・マーケティング(Cause Related Marketing)>(同上箇所)も注目されている。
こうした状況の中で、米国では "ソーシャルグッド( Social Good )" が注目ワードとなり、<Social Goodという「金脈」が、起業家やメディア、投資家や事業会社の高い注目を集めている>という。
こうした興味深く、"エネルギッシュな動向" を紹介しているのは、下記引用サイト記事:「ビジネスパーソンよ、新たな金脈「ソーシャルグッド」に注目せよ」/現代ビジネス - ソーシャルウェブが未来を創る! イケダハヤト/2012.03.03 だ。
この記事を読みながら考えさせられた点は3点、いずれも "ソーシャルグッド" の "ソーシャル" というワードに関わっている。
1."社会的な課題" とビジネスとの結合
<海外では、Social Goodという言葉には「テクノロジーによって社会的な課題を解決する」という意味が強く込められています。そして、「社会に良い」( = Social Good な )技術が、大きなビジネスを生み出す「新たな金脈」となりうる点、これからは、社会貢献とビジネスを両立させること「も」可能>
とあるように、"社会的な課題"とビジネスとは結合可能だと言う点。
2."社会的な課題"という「課題発見」が "決め手" か !?
ただし、<医療、福祉、環境、復興支援など「社会的な課題」と言える分野> で、<起業家となる方々が社会的課題を知ること> は必ずしも簡単なことではなく、相応の努力や研修もまた必要となりそうな点。それだけに、"ソーシャルグッド" 展開の起爆力は、この社会的課題の "課題発見" の局面に根差しているであろう点。
3.いわば "ソーシャルな取り組み" が要請される
"対象" が "ソーシャル(社会的)" であるというだけではなく、取り組みプロセス自体に、<課題を知っている人と、解決策を作れる人>との "コラボレイト"、異なった立場の "交流的ソリューション"(= "ソーシャル" )などが要請されそうな点。
"ソーシャルグッド" 活動の推進は、二重の意味で "ソーシャル" だと言えるのかもしれない......
ビジネスパーソンよ、新たな金脈「ソーシャルグッド」に注目せよ
世界最大のテックメディア、Mashableが行ったSocial Good Summit
2/13~2/17の5日間、世界的12ヵ国を繋ぐイベント「ソーシャルメディアウィーク」の東京版が開催されました。
マーケティング、メディア、社会運動、プラットフォームなど、様々なテーマで合計48のセッションが開催され、そのうち2/16は終日「ソーシャルグッドとは何か?」をテーマに10名以上のプレゼンターが最先端の知見を披露しました。......■ 「お金の匂いがしすぎてダンキンドーナツに避難した」
「ソーシャルグッド」という言葉は米国では注目ワードとなっており、世界最大のテックメディアMashableによって、「 Social Good Summit 」という大規模イベントも開催されています。
「ソーシャルグッド」という言葉を理解するためには、昨年の「Social Good Summit」に参加したソーシャルラーニングサービスを開発する「キャスタリア」のCEO、山脇さんの言葉が参考になるでしょう。 ......
「(Social Good Summitの会場に参加して、)「お金の匂い」がしすぎて気持ち悪くなり、ダンキンドーナツに避難した」という印象的な言葉を残しています。
ユーモアまじりの表現ではありますが、Social Goodという「金脈」が、起業家やメディア、投資家や事業会社の高い注目を集めていることを良く示す表現だと私は感じました。■ テクノロジーで社会的課題を解決し、ビジネスを生み出す
Social Good Summitで行われたビジネスコンテストで最優秀賞を獲得したのが、「 SunSalutor (太陽に挨拶する)」というソリューションです。
19歳の女性によって開発されたこのテクノロジーは、電気の力を使わずに、太陽光パネルを太陽の傾きに合わせて調節する技術で、パネルの効率を最大40%向上させることができるそうです。
環境問題の解決に繋がるこの素晴らしい技術は、莫大な「お金」を生み出す可能性を秘めています。SunSalutorが最優秀賞を取ったことは象徴的ですが、特に海外では、Social Goodという言葉には「テクノロジーによって社会的な課題を解決する」という意味が強く込められています。そして、「社会に良い」( = Social Good な )技術が、大きなビジネスを生み出す「新たな金脈」となりうる点
に、注目が集まっているのです。これまでは社会貢献=ビジネスではない、という価値観が一般的だったかも知れませんが、これからは、社会貢献とビジネスを両立させること「も」可能になっていく、という点を、私は興味深く感じます(もちろん、明らかにお金にならない課題解決活動も多く存在します。そうした活動に価値がないわけでもありません)。
■ 日本の「ソーシャルグッド」領域のプレーヤーたち
ソーシャルメディアウィーク東京版の一幕では、日本の「ソーシャルグッド」領域のプレーヤーが数多く登壇しました。
・聴覚障害者の方々を助けるテクノロジーを開発する 「 シュアールグループ (参考記事)」
・うつ病からの回復をサポートするSNS 「 U2plus 」
・ゴミ拾いを促進することで世界中をきれいにするアプリ 「 PIRIKA 」
・ 「欲しいものリスト」を使った被災地支援 を行うAmazonジャパン上記に挙げた方々は、特にウェブサービスを使って社会的な課題を解決することを志向しています。単なる慈善活動に留まらず、シュアール、U2plusは既にビジネスも生み出しています。
まだ日本では始まったばかりの文脈ですが、医療、福祉、環境、復興支援など「社会的な課題」と言える分野の課題解決に、テクノロジーの力をもって立ち向かう起業家は増えていくことでしょう。■ まずは世界の課題を知ることから---社会課題ハッカソンの可能性
テクノロジーの力で社会的な課題を解決していく起業家たちが育つためには、当然のことながら、起業家となる方々が社会的課題を知ることから始める必要があります。
人材教育といった分野でも「課題発見」の重要性は説かれており、野村総研の村田佳夫さんは、これからのIT人材を育てる上で1.「社会の課題に取り組む、NPO/NGOで研修をすること」2.「異なる課題に取り組む異業種と交流すること」3.「時間的・精神的余裕を持つこと」が大切だと語っています( 参考 PDF )。
村田さんが挙げている選択肢に加えるとすれば、ソーシャルメディアウィークの中で世界銀行広報担当官の立入さんがご紹介していた「社会課題ハッカソン」が挙げられるでしょう。
「社会課題ハッカソン」は、ソフトウェアエンジニアの集団に社会的課題のスペシャリストが課題を説明し、エンジニアたちに課題を解決するITソリューションを合宿形式開発してもらう、という興味深い取組みです( 参考 )。課題を知っている人と、解決策を作れる人を切り分けて、世の中の問題を解決していく、というアプローチもまた価値があるでしょう。
...... ITスタートアップが盛り上がる一方で、「ソーシャルグッド」という価値ある言葉は少し置き去りになっているように感じています。......
( ビジネスパーソンよ、新たな金脈「ソーシャルグッド」に注目せよ/現代ビジネス - ソーシャルウェブが未来を創る! イケダハヤト/2012.03.03 )( ※引用者注 ―― 文意を損なわないよう留意して割愛箇所を施しています。)
"ソーシャルグッド" は、オーソドックスな "非営利な社会貢献" の域から "ビジネスと結合" するスタイルへと広がることで、"金脈" と化すかどうかは別としても、より "持続的/魅力的" なムーブメントへと歩を進めているようだ...... (2012.03.06)
コメントする