"電子教科書" 制作ツールとの触れ込みの、米Apple 提供の "iBooks Author" の使い勝手は上々である。
何も、"iBooks Author" は、"電子教科書" 制作に限ったツールではない。むしろ、読者への少なからぬ支援を必要とする "教科書" でさえ作れるのだという意味で受けとめている。
そして、自分はと言えば、使い勝手の感触がスマートで気に入っているため、自分本位に活用用途を広げようとしている。自作小説の二点目(『かもめたちの行方』)をも、"iBooks Author" で編集してみたり......。
とにかく、"WYSIWYG"( "What You See Is What You Get"、「見たものが、手に入るもの」)方式が徹底されているので、制作プロセスでストレスを感じることが少ない。
確かに、制作者の詳細な意向を叶えるため、細々としたルールがあるにはある。だが、それらも "ナルホド" と呑み込むならば、却って、気が効いているという感触さえ生まれる。
さて、"iBooks Author" は、"出力=書き出し" ファイルとしては、"ePub" とは幾分異なる独特なフォーマットである "~.iBooks"(拡張子が .iBooks )がもちろんメインとなる。
ただ、これ以外にも "~.pdf" ファイルを書き出すところが面白い。(加えて、"~.txt" ファイルもあるがこれは余り意味が見いだせない。)ちなみに、"iBooks Author" では、"~.pdf" ファイルを "読み込み" ファイルとして扱うことも可能。
そこで、この「"~.pdf" ファイル書き出し」の "意味" に関心を向けてみた。
フォーマット "~.iBooks" の魅力は大前提となる。"WYSIWYG" 方式で、audio や video など多彩なメディアを手軽に埋め込み、"iPad 向け eBooks" を正確なレイアウトで出力するところの "~.iBooks" スタイルは、やはり価値がある。
しかし、"悩ましい問題" が無いわけではない。
先ずは、"iBooks Storeを通さなければならない頒布問題" という点。そして、今のところ、PC上では閲覧できない点(PC上での "ビューワー" が無い点)。また、"ファイル容量" がかなり大きくなってしまう点......。
そこで、思い巡らせたのが、"~.iBooks" と "同一のコンテンツ" で "~.pdf" ファイルが "出力=書き出し" されるのであれば......、という可能性だ。
もし、制作時には "WYSIWYG" 方式 のスマートさで処理ができて、"機能制約!" はあるにしても、出力される "コンテンツ" が "ほぼ同一?" であれば、ファイル容量も小さくて済むはずの "~.pdf" ファイルとしての "出力=書き出し" も、時と場合によっては活用できるのではないか......、と。
ということで、試してみたのが "下記に連ねた画像" なのである。"iBooks Author" で制作した "同一のコンテンツ" を、"~.iBooks" と "~.pdf" の両ファイルで "出力=書き出し" させてみたのである。
詳細に説明する余裕がなくなってしまったが、気のついた点を何点か書いておく。
1."レイアウト" は、ほとんど "同一" である。(ただし、"~.pdf" では、"iPad 横置き" のみ)
2."~.pdf" では、ファイル容量がほぼ5分の1( 2 MB / 9.1 MB )に収まった。
3."~.pdf" は、もちろんPC上でも閲覧可能である。
4."~.pdf" は、"フォント・サイズ" の変更は不可。
5."~.pdf" の最大の "難点" は、制作時に搭載し、"~.iBooks" では出力される audio / video が消失してしまう点!
最後の点については、ガッカリさせられたのだったが、"苦肉のリカバリー策" として、"PDF エディター" で再度の "audio 埋め込み" 作業をでっち上げた! それが、下記の最後尾の画像 (10) なのである。
(1) iBooks by iBooks Author "表紙(縦置き)"
(2) iBooks by iBooks Author "中表紙"
(3) iBooks by iBooks Author "目 次"
(4) iBooks by iBooks Author "あらすじ、解題(ナレーション付)"
(5) iBooks by iBooks Author "本文(挿絵挿入)"
(6) PDF by iBooks Author "表紙(横置き)"
(7) PDF by iBooks Author "中表紙"
(8) PDF by iBooks Author "あらすじ、解題(ナレーション付?)"
(9) PDF by iBooks Author "本文(挿絵挿入)"
(10) PDF by iBooks Author "あらすじ、解題( PDF 方式でナレーションを追加!)"
確かに、"iBooks Author" が片方で "出力=書き出し" するファイル "~.pdf" ファイルは、"~.iBooks" ファイルと比べると、精彩がなく、全体として "簡易版!" という印象がつきまとう。しかし、"PC上でも閲覧可能!" というメリットは小さくない。
まさにケース・バイ・ケースで活用できそうだという印象を深めた...... (2012.04.08)
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