この10日、日経平均は、3カ月ぶり一時9000円割れとなり、"心理的節目の9000円" を一時下回った。
<日経平均が9000円前後まで下落している理由は3つある。>( 日経平均一時9000円割れ、プロに聞く反転の条件/日本経済新聞/2012.05.10 )との読みが共通していそうだ。いわば "三つ巴" の不安材料によって、日本の株価と景気動向は揺さぶられているかたちだ。
<日経平均が9000円前後まで下落している理由は3つある。(1)欧州信用不安の増大 (2)米国の景気回復ペースの鈍化 (3)中国の金融引き締めによる景気減速懸念だ。日本株にとっては米国と欧州の景気動向によって円相場が対ドル、ユーロで上昇していることも重荷だ。1~3月はこの3つの海外要因がすべて日本株にとってプラスの方向に進んでいたが、足元では逆転している。
(1)欧州ではギリシャやスペインで債務削減策に対する世論の反対が強まってきた (2)米景気の指標となる雇用統計では非農業部門の雇用者数の増加が2カ月連続で20万人を下回った (3)中国景気の減速感が予想以上に強い。......>( 同上記事 )
株価や景気の動向については、楽観視から悲観視までこもごもであるのが相場だが、いろいろな意味で目が離せない時期であることは間違いない。
そんな観点で、下記引用サイト記事:日経平均、3カ月ぶり一時9000円割れ:識者はこうみる/REUTERS/2012.05.10 に着目してみた。
しばし続いた "楽観論" が、やはり後退している気配を感じる......。
日経平均、3カ月ぶり一時9000円割れ:識者はこうみる
[東京 10日 ロイター] 東京株式市場で日経平均は続落した。ギリシャを中心とした欧州情勢を巡る懸念を背景に前日の米国株が下落した流れを引き継ぎ、東京市場も売りが先行。
外為市場での円高進行も警戒され、日経平均は2月14日以来約3カ月ぶりに心理的節目9000円を一時下回った。
市場関係者のコメントは以下の通り。
●ギリシャ次第で米株一段安、日本株売り強まる可能性
<みずほ総研シニアエコノミスト 武内浩二氏>
日本株には割安感が出ており、日経平均は目先9000円付近でもみあうとみている。短期的な下値めどは、...... 8800円程度だろう。ただ、今後のギリシャ問題の行方次第でリスク回避姿勢が強まり米株が一段下げ、外為市場でも円高が進むことが予想されるため、ドル/円が78円に接近すれば日経平均は8500円付近に下落する可能性がある。...... 今後は急激でなくともじりじりと円高に振れるのではないか。ドル/円が78円を割り込めば為替介入の警戒感も出てくるだろう。ギリシャに関してはユーロ離脱により、ポルトガルなど離脱の連鎖が懸念される。
●底値近い、2─3年タームでは現値水準は割安
<BNPパリバ証券 日本株チーフストラテジスト 丸山俊氏>
日本株は向こう1─2週間で下げ止まるだろう。足元ではギリシャやフランスの政局混乱を背景に株売りが続いているが、...... あくまで利食いの範囲内であり、ロスカットを余儀なくされるほどのネガティブなカタリストは出ておらず、日経平均9000円割れでは売りの勢いは徐々に弱まるとみている。一方、2─3年のタームで見れば現値水準は割安感があり、...... 仮に欧州情勢が急激に悪化し、株価が急落したとしても、そこがセリングクライマックスで投資家にとって買い場になるだろう。
下値めど:8900円
●成長ドライバー見当たらず下値模索が続く
<楽天投信投資顧問社長 大島和隆氏>
欧州債務問題に対する過度な楽観論がはがれ落ちている。ギリシャ政局は混乱しユーロ圏による第2次支援策だけでは問題が解決しないことが分かった。米経済指標も市場が期待したほどの内容ではなく、グローバルマクロのドミノ倒しが警戒される状況だ。
日本株には企業の競争力低下という独自要因もある。...... 成長ドライバーが見当たらず下値模索は続きそうだ。当面の下値メドは8500円とみている。
●年後半に外需鈍化のおそれ、円高も懸念
<三菱UFJモルガン・スタンレー証券 投資情報部長 藤戸 則弘氏>
...... 最大の要因は欧州の政治問題だ。財政緊縮一本やり路線が見直されること自体は正しいが、現時点でタガを緩めれば一部の重債務国が財政再建策を放棄してしまうおそれが出てくることをマーケットは不安視している。また米景気回復のテンポが市場が期待していたほどではなかったことを、直近2カ月の米雇用統計が示した。雇用の回復がみえないと米経済の自律回復は難しい。今年後半は予想以上に外需が鈍化するおそれがある。
また先進国に加え、新興国も金融緩和姿勢を強めている。投資家のリスク回避行動が加速すればさらに円高圧力が強まる。......
日経平均が9000円の大台を割ったことでいったん押し目買いなどが入っているが、今年後半の経済状況を予想すると楽観はできない。直近の下値めどは8500円とみている。
( ※引用者注 ―― 文意を損なわないよう留意して割愛しています。)
最近、頭から離れない言葉に、"持続すること" という言葉がある。局面での部分的調整も欠かせないのではあろうが、結局、事態は "持続し、永続する" 流れを模索しつつ流動化して行くかのようだ...... (2012.05.11)
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