分かっているはずにもかかわらず、対応が立ち遅れることというのは往々にしてありがちだ。そのひとつに、"従来型PC向けウェブサイト" に加えて、"モバイル向けのウェブサイト" を構築し、その "エクスペリエンス(体験)最適化" を図ること。
"モバイル向け" と言えば、"SNS" 対応の環境づくりにばかり目が向くというのが実情かと思われるが、"ブログ" などのウェブサイトのページに対する関心は相変わらず根強いものがあると聞く。
にもかかわらず、スマホなどでアクセスしてみると、旧態依然とした "佇まい" であり、めっぽう "エクスペリエンス" が悪いという、そんな経験は少なくない。
下記引用サイト記事:「今、企業として--モバイル向けサイトを考え直すべき時、来る」/CNET Japan/2012.05.01 は、特に斬新な切り口による記事ではないかもしれないが、"分かっているはず" にもかかわらず、なおざりにされていると思しき課題を的確に衝いていると思われた。
対応の立ち遅れには、それぞれ事情があるに違いなかろうが、<モバイル端末向けのウェブ自体が、いわゆるウェブとなる。>時代がもう間近に迫っている推移を考慮するならば、"モバイル向けウェブサイト" の整備は、まさに "緊急課題" のはずである......。
今、企業として--モバイル向けサイトを考え直すべき時、来る
モバイル端末は近々、数の上でコンピュータを凌駕することになる。このため、モバイル向けのサイトもその状況に見合ったものへと進化させる必要がある。あなたの会社ではそういった準備が整っているだろうか?
スマートフォンの出荷台数が2011年に初めてPCを上回った ...... そして、スマートフォンの出荷台数がPCのそれを引き離していく傾向にはどんどんと拍車がかかっているため、企業レベルでこの傾向に適応するとともに、顧客のモバイルエクスペリエンスを根底から考え直さない限り、多くの企業が存亡の危機にさらされるはずだ。
出荷台数では、モバイル端末がPCを大きく引き離そうとしている
iPhone(そして、それに続いてAndroid端末やWindows Phone 7端末)が登場する前までは、ウェブ接続に使用されるシステムの90%はWindows搭載PCであった。ほんの5年ほど前までそういった状況であったとは、今では信じ難いことである。
...... 2012年に新たに販売されるウェブ接続デバイスに占めるWindows搭載PCの比率は約35%に過ぎない
...... 今まで使用してきたマシンを使い続ける人も数多くいるため、2012年におけるウェブ接続デバイスに占めるWindows PCの比率はまだ50%以上となるはずである。しかしながら、この数値は今後数年で、さらに劇的なものとなるはずだ。PCは数のうえで凌駕されるようになるだろう。Gartnerの予測によると、2015年までにPCの販売台数は5億台を超える一方、タブレットは3倍増の約3億台に、スマートフォンは11億台を超えるまでに大きく伸びるという。
こういった大きな変貌が予測されているにもかかわらず、ウェブの世界ではコンピュータが中心に据えられ続けている。 ...... この先も当分はコンピュータを用いてインターネット上のウェブサイトのデザインや構築、コンテンツ制作を行い続ける一方で、大多数のユーザーがスマートフォンやタブレットといった端末を主体にしてインターネットにアクセスすることになるはずだ。
モバイル端末のための根本的な見直し
本格的なモバイルインターネットエクスペリエンスが提供されるようになっている一方で、モバイル向けのウェブサイト自体はまだ一人前のものにはなっていない。つまり、あまりにも多くのウェブサイトが、Adobe Flashやマウスオーバーアニメーションを使用していたり、マウスを使っているユーザーのみを対象として設計したJavaScript機能などを用いているため、モバイル端末を使ってアクセスしているユーザーにとっては使い勝手の悪いものとなっているということだ。
これこそが、ウェブ全体で見た場合、モバイル向けサイトに対するユーザーの満足度が低く留まっている原因であり、ユーザーがモバイルエクスペリエンスに最適化されたネイティブアプリケーションのダウンロードに走る理由でもある。......
2〜3年以内により多くの人々がコンピュータではなく、タッチスクリーンを搭載したモバイル端末を用いてウェブにアクセスする時代がやって来る ...... モバイル端末向けのウェブ自体が、いわゆるウェブとなる。企業は、大きな画面とマウスを装備したシステム向けと、タッチスクリーン搭載端末のいずれにも対応するよう、ウェブサイトのデザインを見直す必要が出てくる。 ...... しかし、それはやるべきことの半分でしかない。企業はサイト全体のエクスペリエンスをモバイル端末向けに見直す必要があるとともに、それが顧客サービスやモバイルコマース、ジオターゲティング、特定ユーザー向けのお買い得情報、クーポンといったものにどう関係してくるのかという観点からも考える必要がある。
現状では、こういったことへの対応がタイムリーに行われていないため、...... 競合他社がよりスムーズで、包括的なモバイルエクスペリエンスを作り上げたのであれば、彼らは顧客に対する重要な優位性を手にすることになる。...... ユーザーは、モバイル向けサイトの遅さや、劣悪なユーザーエクスペリエンスに耐えられなくなってきているためだ。
( 「今、企業として--モバイル向けサイトを考え直すべき時、来る」/CNET Japan/2012.05.01 )( ※引用者注 ―― 文意を損なわないよう留意して割愛しています。)
現行の "PC向けウェブサイト" をそのまま "モバイル向けウェブサイト" のスタイルに再編するだけでは、"エクスペリエンス(体験)最適化" とは言えないようだ。<企業はサイト全体のエクスペリエンスをモバイル端末向けに見直す必要がある>との指摘は、そういうことなのであろう...... (2012.05.03)
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