あれほどに騒がれたフェイスブックの新規上場であっただけに、現世界経済の苦境に対して、何がしかの "救い" になってくれるのではないか......、とする "救世主" 願望! があってとしても不思議ではない。
しかし、その願望、期待は、思いのほか "頑強な" 現世界経済不安の前で肩透かしを喰ったかたちで終わったようだ......。
< 期待の超大物ルーキーも、市場のピンチを救うことはできなかった。18日の米株式市場で話題をさらった交流サイト(SNS)最大手フェイスブック(FB)の新規上場だが、終値は公募・売り出し価格の38ドルを上回るのがやっと。FB株の伸び悩みにつれてダウ工業株30種平均も失速し、結局6日続落。年初来安値まであと10ドル足らずに迫った。
「騒がれたわりに大したことなかったね......」
大手証券の営業担当者は失望を隠せない。直前に公募価格の仮条件を引き上げたり、売り出し株数を増やしたりして人気の高さが評判になっていたFB株。ふたを開けてみれば「50ドル台」との下馬評に全く届かない水準で初日の取引を終えることになった。
取引システムの不具合で初値が付くのが予定より30分遅れ、投資家が売買に慎重になった不運を差し引いても、FB株は下げ止まらない株式相場の救世主になれたとは言い難い。>( フェイスブック、市場の救世主になれず(NY特急便)NQNニューヨーク・森安圭一郎/日本経済新聞/2012.05.19 )
熱狂し切れなかった(?) "新規上場劇" の観客の中には、
<FBの株価が公開価格を割り込まずにすんだのは「引受証券会社が買い支えたためだ」とまことしやかな噂が流れた。>(同上サイト)
ほどであったともいう。
期待の超大物ルーキーのフェイスブックを "市場の救世主" にさせなかった米国経済、世界経済の現状の苦しさは、やはり "並外れて" いたということのようだ。
< いまの世界経済や市場が歴史的な局面に立っていることを示す1つの事例がある。ダウ平均は直近の13営業日のうち12日で下落した。これは実に1974年10月以来の現象だという。38年前は石油ショックやウォーターゲート事件によるニクソン大統領辞任などで世の中が騒然とし、米経済も不況のどん底にあった。>(同上サイト)
"明暗こもごも" と言えども、"闇の暗さ" が勝り続けるかのような現状......。
< 一連のお祭り騒ぎの裏では、事態が着々と深刻化した。言うまでもなく欧州の債務問題や金融システム問題のことだ。18日はギリシャの金融5社が格下げされた。同国のほかスペインでも銀行からの預金流出が伝わっている。
投資家は身構える。米プルデンシャル・インターナショナル・インベストメンツ・アドバイザーズのジョン・プラビーン主席投資ストラテジストは18日、顧客に株式の持ち高を一時減らすよう推奨した。「ギリシャの無秩序なユーロ圏離脱や、他国へ問題が伝染するリスクが短期的に高まっている」ためだ。
17日にスペインの金融16社を格下げした米ムーディーズ・インベスターズ・サービスは「金融機関の経営を支える政府の能力が低下している」と警告した。>(同上サイト)
それにしても、"戦々恐々" とした雰囲気に包まれた現状の世界経済は、どこに "突破口" を見出すのか、見出せるのか...... (2012.05.20)
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