"ギリシャのユーロ圏離脱" の可能性を巡っては、世界の各国が注視し続けている。
"結局は、合理的な選択がなされる" との見方が、希望的観測をベースとしつつ期待されてはいる......。
だが、"予断を許さない" というのがよりシビァな現実なのかもしれない。
下記引用サイト記事:「強まるギリシャのユーロ圏離脱観測、政府・企業は緊急対策作り急ぐ」/REUTERS/2012.05.25 によれば、欧州関係各国および各企業は、<危機管理策の一環として、ギリシャのユーロ圏離脱シナリオを検討している>とある。だが、必ずしも "一般的な危機管理策" とばかりとは言えないような "緊迫感" が立ち込めている気配のようだ。
"ギリシャのユーロ圏離脱" の "回避される" ことが、合理的には概ね "正解" と見なされてはいる。しかし、さまざまな "伏兵" 的要因を勘案すると、"予断を許さない" 可能性の方が警戒されるということなのであろうか......。
ところで、こうしたギリシャ情勢について、<ギリシャは典型的な「衆愚政治」に陥っている>と、いつもながらの明快な見解を提示しているのは、大前研一氏だ。
<今、ギリシャは典型的な「衆愚政治」に陥っていると思います。
次の選挙では、緊縮財政に反対する急進左翼進歩連合が第1党となりそうな勢いを見せていますが、一方でユーロからの離脱に関しては「残留」を希望しているギリシャ国民が78%という統計が出ています。
ユーロ残留の条件として求められたために前政権では緊縮財政の実施を決定したわけですから、「ユーロへの残留を希望するけど、緊縮財政は嫌だ」というのでは、ギリシャ国民は甘すぎると指摘せざるを得ないでしょう。......
ギリシャの将来を想像すると、短期的には地獄のような状況に陥りますが、中期的に見ればドラクマという弱い通貨になることで、昔のように海外からの外国人観光客を呼びやすくなるというメリットもあります。
日本は「円」という自国通貨を持っている点で、ユーロとの関係性のあるギリシャとは異なりますが、国家債務はむしろ日本のほうが大きく、明日は我が身と考えて慎重にギリシャが辿る過程を見ておくべきだと思います。>( ~大前研一ニュースの視点~『ギリシャ情勢と経済成長 ~緊縮財政を考える』/株式会社ビジネス・ブレークスルー『大前研一ニュースの視点』メルマガ事務局/2012.05.25 )
実のところ、ギリシャ国内のこうした "内憂" が見て取れるだけに、"ギリシャのユーロ圏離脱回避" という "合理的選択肢" が必ずしもスッキリとは浮かび上がってこない現実があるのかもしれない......。
強まるギリシャのユーロ圏離脱観測、政府・企業は緊急対策作り急ぐ
[ローマ/ヘルシンキ/ブリュッセル 24日 ロイター] 欧州で、ギリシャのユーロ圏離脱に備える動きが広がっている。欧州連合(EU)首脳が、非公式会議後にギリシャ残留をあらためて訴えたにもかかわらず、少なくとも半数のユーロ導入国政府がギリシャ離脱シナリオを描き始め、銀行など企業にも同様な動きがみられている。関係筋の情報によると、EU高官が加盟各国に、ギリシャが離脱した場合に備えた緊急対応策を準備するよう求めたとされる。欧州各国は、ギリシャが残留することが最善との立場を維持しつつも、離脱の事態に備え始めている。
イタリアのグリリ経済次官は24日、ギリシャのユーロ離脱回避を目指しているものの、その可能性に備える必要があるとの見解を示した。......
フィンランドは、ギリシャのユーロ離脱を含む、債務危機がもたらす可能性を想定した緊急対応策を用意している。......
ユーロを導入していないスウェーデンも、ギリシャの離脱を想定した準備をしている。...... ギリシャがユーロを離脱した場合に備え、万全の体制をとっていると説明し、当局間で緊密に連絡を取り合っていることを明らかにした。......
<企業も準備>
ギリシャのユーロ圏離脱の可能性は企業の間でも意識されている。
独自動車大手BMWの世界販売担当責任者は「ユーロには長期的な未来があると確信している」と述べたが、「それは、必ずしも現体制の維持を意味しない」と語った。
欧州金融界でも、危機対策作りが進む。
あるパリ駐在の銀行関係者は「どの銀行も、ギリシャ離脱の影響を検討するタスクフォースを設置している」と述べた。
ブリティッシュ・エアウェイズ(BA)の親会社インターナショナル・エアラインズ・グループのウォルシュ最高経営責任者(CEO)は24日、危機管理策の一環として、ギリシャのユーロ圏離脱シナリオを検討していると語った。
( 強まるギリシャのユーロ圏離脱観測、政府・企業は緊急対策作り急ぐ/REUTERS/2012.05.25 )( ※引用者注 ―― 文意を損なわないよう留意して割愛しています。)
ギリシャ国民の不安は "(ユーロ)預金引き出し"(既に、7億ユーロ:約710億円以上)という動きにも象徴されているようだ。まさに "予断を許さない" 推移に至っているというのが実情か...... (2012.05.26)
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